魅力的な声優は、人として魅力的――西山宏太朗さんが「81ACTOR'S STUDIO」のキッズクラス「81キッズ」を体験! 朗読やレクリエーションを通して小学生から得た学び【授業体験レポート】
水島さんと西山さんのプロの掛け合いに負けず、生徒も一生懸命の演技
この日、最後に参加するのは再び、「高学年クラス」の朗読のレッスン。当日使用している課題は様々な「感情」を擬人化したお話。主人公の心の中にいる喜怒哀楽などの感情が
主人公の心の中で渦巻くさまを描いたショートストーリー。
西山さんが入室した時は朗読中で、喜びの感情を演じた生徒のセリフから、「暗くなっちゃだめよ。私! こんな時は……そうだ! 歌おう!」と言い、「幸せなら手をたたこう」を歌うアドリブを見せた生徒に、水島さんは驚きながらも「良かったぞ!」と絶賛。
そして「1人の時、そのテンションで歌うかな? 自分を励ますためだったら泣きながら歌うと元気になりにくくないかな? 僕らは体と気持ちがつながっているから。台本通りに歌った歌と、少し頑張って歌った歌はどっちが自分を力づけてくれると思う? そこを意識して」とアドバイス。もう一度、同じシーンをやってみると、最初は元気に歌っていたのに、徐々に涙声になっていく修正をしていてビックリ。水島さんから1つひとつのセリフや感情を考えさせるアドバイスをもらうたびに、生徒自身が考えた読み方を試みます。
また座って朗読していましたが、「本来は立って動きながらやれたほうが距離感がわかるからいいんだよね。でも朗読では、僕らは動けないし、絵がなくて、台本から想像するしかないから難しい。例えば喜びの感情の一番近くにいるのが哀の感情だとしたらどう声をかけるのかは距離感次第だから」と、イメージしながら朗読することの大切さを説明してくれました。
そして西山さんも怒の感情の役、水島さんも非情な感情の役で参加することに。始める前にある生徒に「感情をもっと出そうか。自分を大げさなくらい出してごらん。レッスンだから完成形を求めていないから。声を大きく出せれば、小さくすることはできる」とアドバイス。
怒の感情の役の出番になると、西山さんの強めな表現と音圧に、見ていた筆者も思わず、体がびくっと動いてしまいました。また怒の感情と非情の感情の掛け合いシーンはプロ同士の迫力ということもあり、まさに圧巻。そんな2人に気後れせず、自分の演じる役を一生懸命にまっとうする生徒たちもすごい!
最初から最後まで朗読すると水島さんは「いいじゃん! 随分変わったじゃん!」。そして1人ひとりに感想とアドバイス。西山さんが参加する前に怒の感情の役を演じていた生徒に「自分との違いがわかる?」と尋ね、生徒もうなずきます。この課題の朗読は3回目になりますが、「最初と随分変わったね。変わることが大事だから」とほめられた生徒が「ありがとうございます」とお礼を言うと、「そういうのはいらないよ。あなたの努力だから」というやり取りも。
そして水島さんは「僕らが演じるのは言葉の説明じゃなくて気持ちだよね。“やったー!”のセリフ1つでもいろいろな“やったー!”があって、どれを選ぶかによるし、相手のセリフの強さによっても変わるし。それを探すのがおもしろいからそのおもしろさをいつも忘れないで。朗読はヒントがないから想像力を働かせないと大変だけど。アニメや洋画は合わせなきゃいけないと思いがちだけど、絵は探すきっかけだから、“ねばならない”という考え方はしなくていいから」と熱く話し、生徒も真剣な表情で聞いていました。水島さんの話に「そうですね」とうなずいた西山さんに、「裕さんだけじゃないだろ? 信じてみて」と水島さんが話すと緊張した空気が一瞬でほぐれました。