『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』公開記念インタビュー | オルガ・サブナック役の小田井 涼平さんと『ガンダムSEED』を振り返る! 今だからこそ話せる思い出に、ディープな『ガンダム』ファンならではのトークが満載【PR】
深すぎるガンダムシリーズへの愛
――元々ガンダムシリーズのファンだったという話でしたが、どういった流れでシリーズに興味を持たれたのでしょうか。
小田井:僕は、というか僕らの世代はもう単純にガンプラですね。本編を見ていないのにガンプラが流行っちゃって、皆ガンプラを買った後で本編を見るんですよ。地方に住んでいたのもあって、自分が観てたのって再放送なのか本放送だったか今でもよく分かっていないんですけど、とにかく世の中がガンプラ一色になっていた頃でした。
その頃に流れてたCMもかっこよかったんですよね。ものすごく渋い声で「ジオン脅威のメカニズム!」ってナレーションが入って。なので自分の場合は物語とかではなく、そういうメカ的な要素に惹かれた形でした。
――最初に買ったガンプラって覚えておられます?
小田井:何だったかな……たぶん、ガンキャノンとジムですね。
――それは、ガンダムを買えなかったからという理由だったり?
小田井:いや、ジムとガンキャノンの顔が好きだったんですよ。ガンダム見たいな2つ目でも、ザクみたいなモノアイでもないあの連邦系のMSの顔が。大人になってからジオンの機体の良さにも気づきましたけど、当時は連邦のMSの方が好きだったのもあります。
ただ、その後はマニアックなガンプラばっかり買ってましたね。ザクレロとか……。
――まさかのザクレロ。一応確認しますが、それも子供の頃ですよね(笑)。
小田井:いやもう、僕は子供の頃からずっとカッコいいと思ってたんですよ、ザクレロを。けど、ガンダムはどこにも売ってないんですけど、ザクレロならどこにいっても買えるんですけど(笑)。
他にも、これも周りは誰も買ってなかった武器セットとかも買ってましたね。ザクレロの腕につけたり、口にハンマーはめこんだりして遊んでました。
――当時からなかなかコアな楽しみ方をされていますね。
小田井:あと『ガンダム』の後は、サンライズアニメの質がちょっと変わってきて、リアル系になりましたよね。
『エルガイム(『重戦機エルガイム』)』とか『ダンバイン(『聖戦士ダンバイン』)』とか『ダグラム(『太陽の牙ダグラム』)』とかやってましたけど、あのあたりのロボットアニメも全部観てました。
――そうなると、『機動戦士Zガンダム』もリアルタイムで?
小田井:そうですね、確か中学3年くらいの頃だったと思います。
『Z』については、なかなか続編始まらないなぁと思っている時に、本屋で見たアニメ雑誌に先行で情報が出ていて、その時にガンダムMK-Ⅱを見て混乱したのを覚えてます。「タイトルは『機動戦士Zガンダム』なのに、主人公機はガンダムMK-Ⅱってどいうこと?」って。
――ああ! 確かに、その頃は基本的に番組名=主役メカですよね。
小田井:そうなんです。実際『Z』でも、後からZガンダムは出て来るんですけど、番組が始まる前だから当然そんなことは知らないわけです。今だと、途中で新しい機体が出てくるのは当たり前になってますけどね。
――『ゲッターロボ』みたいに番組名が変わったパターンを除くと、最初に主人公メカの交代をやったロボットアニメは『戦闘メカ ザブングル』だと記憶しています。けど、確かこの『ザブングル』も……。
小田井:そう、後から“ウォーカーギャリア”という主役メカが出ますけど、最初に出てくる主役メカはやっぱり“ザブングル”なんですよ。『ダンバイン』や『エルガイム』も同じで、後継機はあるけど最初は“ダンバイン”と“エルガイム”という名前の主役メカが出てくる。
だから『Z』については、「全然Zガンダムが出てこないやん」と思っていた印象が強いですね。
――そう考えると、当時のガンダムMK-Ⅱが衝撃的だったというのは頷けます。
小田井:けど、あのティターンズカラーのMK-Ⅱはめちゃくちゃカッコいいし好きですね。ガンダムといえばトリコロールカラーだったので、初めて見た時はすごい斬新だと思いました。
それからはずっとティターンズの虜になってます。家にあるガンプラ、全部ティターンズカラーですからね(笑)。
――あのカラーはどんなデザインにも合いますよね。兵器っぽさもありますし。
小田井:ティターンズといえば、ちょうど僕が雑誌で連載やってた時、『AOZ(ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに)』が始まったんですよ。当時、コラムを一緒にやってた空竜(空山竜司)さんがたくさん原型を作ってて、ウーンドウォートを見せてもらった時、めちゃくちゃかっこいいですって話したのは今でも覚えてますね。
――それはすごい思い出だ。『AOZ』のMSはどれもカッコいいですよね。
小田井:ヘイズルもいいんですけど、個人的にはギャプランがベースになってるフライルーがとくに好きですね。本当、『AOZ』をなんでアニメにしてくれないのかと思いますよ(笑)。
ただ、ガンダムシリーズ全体まで広げると、一番好きなMSはZプラスになるんですけど。
――またまた渋いところが来ましたね。アムロが乗ったりもしている機体ですが。
小田井:いえ、アムロが乗ったのは赤いテスト機(ZプラスA1型試作機)なんですけど、僕が好きなのはグレーの方(ZプラスC1型)なんですよ。
というのも、『ガンダム・センチネル』が好きななので。個人的には、『AOZ』と一緒に『センチネル』のアニメ化も是非お願いしたいですけど(笑)。
――大変失礼しました。……おそらく今のお話で、小田井さんがどれくらいガンダムシリーズへの造詣が深いか、読者に伝わったのではないかと思います(笑)。
『SEED』は永遠に終わらないガンダムであって欲しい
――それでは、『SEED FREEDOM』についての話もお聞かせください。2006年頃に劇場版が発表されてから続報がなく、もどかしく思っていたファンも多いと思います。小田井さんはどのように感じられていましたか?
小田井:劇場版は、僕に限らず皆が望んでいたことだと思うんですよ。でもガンダムシリーズとしては、『SEED DESTINY』が終わった後に『00』が始まって、『00』の劇場版もやったりして、次のシフトに進んだみたいな雰囲気があって。
両澤さんが亡くなられたのもあって、「ひょっとしたらもうないんじゃないか?」ということは、正直思ってました。ただ、それでもいつかは、という想いはあったので、続報が来た時はめちゃくちゃ嬉しかったですよ。『SEED DESTINY』のその後が、やっと見れるわけですからね。
――コズミック・イラという世界が、あの後どうなったのか。
小田井:さっきの話にもありましたけど、『SEED DESTINY』のままだと、根本的な問題が何も解決されてないんですよね。
ただ、正直そこはどっちでもいいかなと思う部分もあって。もちろん綺麗に終わるならそれはそれですけど、全部中途半端に終わってくれても全然いいと思ってます。永遠に終わりのないガンダムでもそれはそれでいいし、『SEED』ならずっと新作が作られ続けても、全然持てるシリーズと思うんですよ。むしろどっちかというなら「To Be Continued」で終わって続きを作って欲しいくらいかもしれない(笑)。
僕は台本は読んでないので、どうなるかはまだ知らないんですけど、主人公も視聴者と一緒に歳をとっていくようなシリーズでも良いと思うんですよね。20年経っているので、当時観ていた子供たちも大人になっているわけで、また違った楽しみ方ができると思いますから。
――事前情報でいろいろなキャラやMS情報が出ていますが、気になっているキャラやMSはいますか?
小田井:実は、設定とかキャラクター情報をあまり事前に入れないようにしていまして、まだその辺がよく分かってないんです。ただ、森崎ウィンくんとは純烈時代から夫婦で仲良くさせて頂いていることもあって、ウィンくんのキャラクターは応援しようと思ってます。
だって、スピルバーグ作品でガンダムに乗った日本人なんて、他に一人もいないわけじゃないですか。しかも実写で!! なので僕の中の最強のガンダムパイロットは森崎ウィンなんです(笑)。
――『レディ・プレイヤー1』の「俺はガンダムで行く」は、あまりにも名言すぎましたね(笑)。森崎ウィンさんは、新興国「ファウンデーション王国」の部隊「ブラックナイトスコード」に所属する、グリフィン・アルバレストを演じられています。
小田井:(相関図を見ながら)なるほどなるほど……。ファウンデーションのMSはちょっと今の段階だとデザインが慣れないかもしれないですね。
ただ、たぶんこれも映像を観れば変わるんだろうなと。メカデザインする人ってそれが凄いなと思ってて、違和感があってもしばらくすると全然印象変わるじゃないですか。正直なことを言うと、カラミティだって第一印象はそんなに……だったんですけど、今はすごくカッコいいと感じてますから。
――劇場版にもカラミティが登場してくれると嬉しいですよね。
小田井:回想シーンでもいいのでね。ネタ的なところだと、『SEED DESTINY』の時みたいに、実は誰かに影響を及ぼしてた、とかないかなと期待してます。「また俺のせいか!」っていう(笑)。
――オルガは残念ながら死んでしまっているので、劇場版に出ることはなかなかないと思うんですが、もし生き残っていたらどういう風に過ごしていたと思いますか?
小田井:きっと本を読んでるでしょうね。たぶんジュブナイル小説を。もしくは、植物を育てて、何か合法的なトリップの方法を見つけてるか(笑)。
ただ、あの世界にはクローン技術もありますから、オルガそっくりの奴が出てくる可能性もゼロじゃないですよね。ザフト側に、クルーゼと同じDNAを持つレイが出てきたみたいに、連合側でオルガ達のクローンが作られている可能性もある。
――確かに。その可能性はあまり頭になかったです。
小田井:まぁ、でもそもそも生き残っていたら面白くないと思うんですよ。さっきも話しましたけど、彼らは、死んだからこそ良いキャラになっているというか。
死ぬことで次のキャラクター達に悲しみを背負わせて、そのキャラたちと関わることで主人公に何かを学ばせていく、布石的な存在だと思うんです。『ファースト』だとララァ、『Z』だとフォウがそれをやっていますよね。
――強化人間の悲しさというか。
小田井:そういう意味だと、番号じゃなく名前がついているだけ幸せだったのかなとも思いますね。名前で呼ばれる分、まだ感情移入の余地がある。
オルガみたいな存在であっても人間としてファンの皆様に愛してもらえるキャラづけをしてくれているのが、福田監督や両澤さんのすごいところかなと。だって、ほぼ戦闘中しかセリフがなくて、日常シーンとかもほとんど描かれていないキャラなのに、出てきたら観てる人が盛り上がれるってなかなかないじゃないですか。
そうでないとキャラとして愛せないですし、ガンダムに乗るということは、それだけ特別な意味があることだと思っているので。