あなたの”尊い”ポイントはどこ? 『薬屋のひとりごと』猫猫と壬氏のピュアでじれったい関係性を愛でる「壬猫(ジンマオ)」が熱い!
後宮を舞台とし、花街の薬師だった少女・猫猫(マオマオ)が豊富な知識と経験をもとに、不可解な謎や事件を鮮やかに解明していくストーリーが大きな話題となっているアニメ『薬屋のひとりごと』。
日向 夏先生のライトノベルを原作とし、ほぼ同時期に2社でコミカライズされるという異例の本作。ちょっとした違和感や”気づき”から推理していく猫猫の明晰な頭脳や、サスペンス要素も含んだストーリー展開などが人気の要因となっていますが、そっけない振る舞いの猫猫とそれに振り回される壬氏とのもどかしい恋愛模様も、実は多くの視聴者の注目の的となっています。
アニメ放送後にはSNS上で『薬屋のひとりごと』のハッシュタグが常にトレンド入りするなど大きな話題となっている中、そんな猫猫と壬氏の関係性を愛でる「壬猫(ジンマオ)」タグも大盛り上がり!
本稿では、そんな「壬猫」タグが盛り上がるゆえんや、みなさんが愛でる「壬猫」の【尊い】ポイントの候補を探ってみたいと思います。
なお本稿の前半は、本作をアニメで初めて観て楽しんでいる方々も安心してお読みいただけるような、アニメ化範囲内エピソードのみの内容となっています。
しかし後半の「今後の2人の関係性」等については、アニメ化されたエピソード以降に展開する猫猫と壬氏の【重大なネタバレ】を含む内容となっています。原作小説を未読の方はご注意ください。
【尊い①】ぶれない、媚びない、なびかない。猫猫のかっこよさ
後宮という、女性が多く集まる場所で起こりがちな陰湿ないじめやいびりをものともせず、時には上級妃の侍女たちの愚かな行為にも毅然とした立ち居振る舞いをする猫猫。自分の意見をしっかり持ち、歯に衣着せぬ物言いで伝える猫猫の姿は実に清々しさがありますね。
身分の高い妃たちや壬氏などに対しても一様に、媚びへつらうような態度や声音を使うこともなく、あくまでも素のままのスタイルを貫く猫猫の”ぶれないかっこよさ”に好意を抱く人も多いのではないでしょうか。
しかも壬氏に対しては、その魅力になびくどころか営業スマイルには半眼で対応してしまうこともしばしば。妓楼でさまざまな色恋沙汰を目にして来た猫猫にとって、うわべだけの美しさは評価するに値しないものなのでしょう。
見ためにとらわれず、その人の資質そのものを重要視しているかのような猫猫の「賢さ」「強さ」「潔さ」には思わず憧れてしまいますね。
【尊い②】本当は子どもっぽい!? 壬氏・二面性の愛おしさ
公衆の面前では麗しい笑顔を振りまき、妖艶な所作の壬氏。しかし、付き人の高順(ガオシュン)や猫猫の前では、素の表情を見せる場面が多くあります。
そばかすを落とし、化粧を施した美しい猫猫に頬を赤く染めたり、猫猫が自分ではなく李白を頼りにしたことにショックを受け、嫉妬の色を隠さないなど、一緒に過ごす時間を重ねるごとに、さまざまな表情を見せ始める壬氏。
猫猫に蜂蜜を舐らせようとするいたずらをしてみたり、妃教育に興味津々で扉越しに聞き耳を立てたり……出会った当初の大人な振る舞いからは想像もつかないくらい、壬氏の言動は無邪気そのもの。
そんなところは、天上人のような美しさの壬氏の”人間味”を強く感じる場面でもあり、「そこらにいる若き青年と変わらない」ことを実感する、とても愛おしく思う一面でもあるように思います。
猫猫が見ための美しさに惑わされない人物であるからこそ、素の自分をさらけ出せる心安さが壬氏にはあるのかもしれませんね。
【尊い③】身分の差から生まれるそれぞれの思い
宮廷の貴人である壬氏と、かたや花街に生まれ後宮で下働きする猫猫。その身分の差は甚だしく、通常であれば猫猫は壬氏と言葉を交わすことすらない境遇です。
そうした自身の身分をわきまえている猫猫は、忠実な部下であるべく、壬氏のプライベートに関わる部分には深入りしようとしません。むしろ考えないように、触れないようにすらしています。
壬氏は壬氏で、当初「うまく利用しよう」としていた目論見が外れ、気になる存在となった猫猫に不可解な事件を解決させるよう命令したり誘導するなどして、積極的に関わり合いを持とうとしているように見えます。
そんな壬氏ですが、猫猫が自分の命令を断れない立場にいることも理解しているため、本心をあまり見せない猫猫の意思を尊重しようとする対応も。
こうしたお互いの「大人な対応」や「思いやり」も、「壬猫」が尊い理由のひとつなのではないでしょうか。
【尊い④】実際の関係性は身分と真逆!?
身分の差がある2人ですが、実際の関係性はどうでしょうか。
出会った当初こそ、壬氏に対して必要以上の言葉を交わさなかった猫猫ですが、次第に”猫猫節”が出て来たり、自身の処分をしなければならない時は「毒殺で」とお願いするほど、壬氏と打ち解けた様子も見せています。
しかしながら、そもそも花街で薬師として生活していた猫猫と、宮廷で「坊ちゃん」育ちの壬氏。いくら後宮内の人心を掌握している壬氏といえど、生活力や経済観念、人を見抜く力などでは、圧倒的に猫猫の方が二枚も三枚も上手のように見えます。
身分も高く、高身長で顔もいい男性が、か弱く小柄な女性に軽くあしらわれている……不憫な状況にも見えますが、そんな壬氏も手強い猫猫に負けておらず、果敢にアプローチを仕掛けています。そのため、2人のやりとりは時に小気味よく、コミカルさすら感じる場面も。
ともに過ごす時間を重ねるにつれ、2人の関係性が身分を超えてフラットになりつつあるようにも思われます。
【尊い⑤】小柄な猫猫を包み込めてしまう壬氏との体格差
SNS上にあがる「壬猫」ファンアートの多くは、壬氏と猫猫の体格差から生まれる「胸キュン」な瞬間を切り取っています。そんなところからも察するとおり、その体格差は「壬猫」が尊いエピソードの中でも大きな割合を占めていそうです。
小柄で華奢な猫猫に対し、180cmほどの長身である壬氏。アニメでは、髪にかんざしを挿す際や、園遊会から猫猫を連れ出す時など、多くの場面で2人の身長差が如実に表されています。
また、塀の途中から落ちてきた猫猫をなんの支障もなく受け止められる(下敷きになる)ほどの壬氏。そのままバックハグする場面では、ほとんど猫猫に覆い被さるような体勢なのに、小さな猫猫にまるで子どものようにすがりつく様子を見せていて、多くの女性の母性本能がくすぐられる瞬間でもありました。
「仕方ない」とそのまま身を委ねる優しさを見せる猫猫の姿も、前述した身分差や実際の関係性が掛け算されて、まさに【尊い】の極みのように思われます。
【尊い⑥】もどかしい関係性
一緒の時間を重ねるに従って、上司と部下以上の関係性を築きつつあるかのように思える壬猫。しかし、その速度はあまりにもゆるやかすぎて、もどかしさを感じる人も多いのではないでしょうか。
いつも素っ気ない猫猫に壬氏が寄せる好意は、とても純粋かつまっすぐなもので、見ている者に好印象を与えているように思われます。
誰しもが魅了される美貌を持つのに、そんなアドバンテージも猫猫にはまったく通じず、どこまでも報われない壬氏。そんな彼を思わず応援したくなってしまう視聴者・読者も続出するほど。
2人に幸せになって欲しいと思う反面、このままこうしたまどろっこしいほどの関係性であり続ける2人をずっと愛でていたいとも思ってしまう──壬猫沼が深いゆえんはそこにあるのかもしれません。
次のページでは、アニメ化された部分よりあとのストーリー展開の【重大なネタバレ】が含まれます。原作小説を未読の方、これから読む予定の方は回避をお願いします。