この記事をかいた人
- 笹本千尋
- 1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。
本作の魅力を一言で表すと「紗都子と進平の不思議な関係がクセになる」でしょうか。
16歳の紗都子、18歳の進平には不安定な部分もあり、紗都子は家を出て初めて暴力には敵わないこと、家名や地位が通用しないことなど世の中の辛辣さを知り、元々凛としていましたが自分なりに考え、たくましくなっていきます。
そして進平は今は亡き母親も遊女で、天女島で育っています。進平の生い立ちを聞いて、「この島から逃げたいのはあなたでは?」「私と一緒にここを出て自由になりましょう」と紗都子は言うのです。仲間意識のような関係にも見えますね。
身分こそ対極ですが、ふたりが抱えているものは似ているように思います。進平は一見、発言から風変わりなキャラだと思う方もいるでしょう。しかし、そんな進平が紗都子との「結婚」に興味を示したのも、「結婚」「愛のある家庭」に憧れを抱いていたからなのかもしれません。そのためか、「好きだよ」「可愛いー♡」と進平の言葉はいつもストレートで、その言葉には嘘がないように思います。
そして紗都子は紗都子で、遊女の葵が話した「自由に人を愛する権利はある」の意味を段々と身を以て知っていくのです。
本作は、時間が限られているラブサスペンス。紗都子の人生が長くないことが前提に描かれているためか、ストーリー全体に跳躍感があります。その中で育まれていく2人の愛はまだまだ小さいものかもしれませんが、その気持ちが移ろう様子が読者の心を掴んで離しません。
話は変わりますが、2023年8月にはアーティスト・DAZBEE(ダズビー)さんのオリジナル曲 「愛じゃない」とのスペシャルPVが公開されています。どことなく和を感じる楽曲ももちろんですが、ストーリーとの親和性がある歌詞にもぜひ注目してみてください。
2024年2月現在、公式YouTube フラワーコミックスチャンネルでは『ホタルの嫁入り』のボイスコミックが公開中。桐ヶ谷紗都子を石川由依さん、後藤進平を内山昂輝さんが演じています。
●キャスト
後藤進平:内山昂輝
桐ヶ谷紗都子:石川由依
桐ヶ谷美和子:原田彩楓
裏サンデー『ホタルの嫁入り』作品ページ
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