この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
――実際に映画を観て、「étoile et toi [édition le noir]」が流れたのを聴いての感想を教えてください。
神前:3部作だったものが1本になったことで、メインテーマとしての意味合いが明確になったというか。映画の頭からそのメロディが出てきて、最後にまたそのメロディが流れるというのが、わかりやすくなっていたなと思います。
――しかも今回は、キスショットと阿良々木に焦点を絞って1本にしていたので、最後のデュエットの意味合いも、よくわかる感じでした。
神前:だからこそ最後にカタルシスが得られるというか。結構緊張感の強い作品で、音楽もかなり観ている人に緊張を強いるものが多かったんですが、最後は美しくもあり儚くもあるものになっていて、ビターかつ美しく締められたかなと思います。
高田:ただ美しいだけの楽曲だと、たとえば爽やかすぎたり、本編を観てきたのに「こんなにすっきり終わっちゃうの?」ってなると思うんですが、そうならない。ある意味、温度感のあるまま終わっていて。「ついにあのメロディが出てきた!」って思うところから、徐々に閉じていく感じも、作品全体が、その空気をはらみながら収束していくように聴こえて、とてもうまくいっているのではないかなと思いました。
神前:トータルで設計がピタッとハマったというか。主題歌って、そういうことだなと思いました。
クレモンティーヌ:メロディのモチーフがすごくしっかりしているので、本編を観させていただいても、いいところで流れてきたり、ちょっとジャズになっていたりする。本当に音楽の使い方が素晴らしかったです。最後も、あの音楽の広がりようで救われるという気持ちが少し出てくる。やはりモチーフがしっかりしていると、映画と一緒になって人間の心に残るんですね。なのでこの楽曲も絶対に残っていくし、このクオリティの高さは素晴らしいと思いました。
――では最後に、読者へメッセージをお願いします。
神前:映画館で観ることにすごく意味がある作品なんです。今回1本になったことで、特に濃密な映像と音楽の体験ができるので、ぜひこの機会に観て、聴いていただきたいと思います。
高田:僕も劇場ならではの音を感じてもらいたいです。やはり映画館は、自宅で聴く音量とかヘッドホンで聴くのとは全然違うんです。音がそこに出てきて消えていく空気感みたいなものがある。我々が音楽をミックスして仕上げていくときに目指していた空気感を体験できるはずなので、それを味わっていただけると嬉しいです。
神前:ダイナミックレンジ的にやっぱり違いますからね。映画館の音響って圧倒的なので。
高田:そうですね。あれはヘッドフォンや良いスピーカーで聴いても、なかなか得られないものなんですよね。
クレモンティーヌ:私もお二人と同じです。これをアニメと思わずに、ひとつの舞台のように思って観てほしい。ものすごくクオリティの高い映像や音楽を、映画館に行って感じてほしいです。
[文&写真・塚越淳一]
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ