青山吉能さんの新曲『Flowery』リリースの取材に行ったら、声優デビュー10周年を振り返る時間になった/インタビュー
2024年2月28日に5thデジタルシングル「Flowery」をリリースする声優アーティストの青山吉能さん。
同楽曲は昨年開催された青山吉能 トーク&ライブツアー2023「こぼればな(し)」を経て、誕生したメモリアルソングである。
既にアーティストデビューから約2年が経過...。自分のやりたい音楽を自由に楽しむ彼女について考えているうちに、一つのことが思い当たった。
そう。2024年は青山吉能さんが声優デビューしてちょうど10周年が経ったメモリアルイヤーだったのだ。
トーク&ライブツアー、新曲「Flowery」。そして、声優デビュー10周年について訊いてみたので、ぜひ彼女を知る方もこれから知っていく方にも読んでいただきたい内容になったので、一読いただけると幸いだ。
こぼればな(し)のこぼればなし
――青山吉能 トーク&ライブツアー2023「こぼればな(し)」のコンセプトについて、お聞かせください。
青山吉能さん(以下、青山):ツアーをやりたいというのは、テイチクエンタテインメントさんから提案いただいたんです。歌だけをストイックにお届けするよりも、歌うことと同じくらい喋ることがとにかく好きだったので、いっぱい喋りたいけど、「ライブツアー」と銘打っておいて、喋りすぎたら……と悩みました。
スタッフの皆さんと相談して「トーク&ライブツアー」と銘打っておいて、トーク5割、ライブ5割でやらせていただくことを、許していただいたという感じです。
――実際にやってみていかがでしたか?
青山:実際にやってみると、思っていたよりも各地でコンセプトみたいなものが生まれました。熊本では、自分の地元ならではの地元の友人やプライベートに関わる部分まで、KKTさんという熊本県民は全員知ってるようなテレビ局にもご協力いただいて。大阪は大阪で、いつもお世話になっているハチパレさんにご協力いただいたんです。
自分はもっと何のテーマもなく、ベラベラ喋って、たまに歌ってという感じでやろうと思っていたんですけど、ガッツリトークはトークコーナー、ライブはライブコーナーという流れになっていきました。当初に自分の考えていたものとは違いましたね。それこそ適当に尺も決めずに喋って、たまに「ちょっと歌うか」という感じで呼び込むみたいな。無計画なものを考えていたんですけど、今となってはそれぞれの良さが出たおかげで、結果的にはすごく良かったと思います。
――東京に参加させていただいたんですけど、熊本と大阪はどんな感じでした?
青山:大阪と東京は昼夜公演があったんですけど、熊本は1公演限りで、熊本県民テレビというガチのテレビ局完全監修のもと、私の地元の幼稚園、小学校のときの友人にインタビューして、「青山吉能クイズ」をやったんです。
「デビューが決まったとき、地元の上通りのサンマルクでやっていたことは?」みたいな。私ですら全く覚えていないような友人ならでは、かつラジオで喋っても大して面白くないような、友人との日常を思い出させてくれました。全エピソードが一切記憶になくて、私は声優として生きているから面白いエピソードだけを記憶しているんですけど、友人たちは何気なく生きていたあの日々の私のことをずっと覚えていてくれていたんだなと。そして、呼びかけてみたら会場にいるみたいな(笑)。
関係者席にいて、直接喋ったんですよ。「ひ、久しぶり」みたいな感じで、配信もあったので、一部友人の顔が映ってしまって。それもまた面白くて、私に何の連絡もなくチケットを取ってきている中学校の同級生の家族に「めっちゃ久しぶり!〇〇のお母さん」みたいな。本当に熊本ならではだと思いました。
――地元ならでは感がすごく伝わってきます。行けた方はレアな体験をしましたね。
青山:結構な体験ができたと思います。
――大阪はどうでしたか?
青山:大阪は、ハチパレさんがいつも作っていらっしゃるような番組テイストにして、ラジオのコーナーで流す用に、公開収録のような形にさせていただきました。「みなさんの拍手や歓声もそのままラジオで流れる」みたいな。熊本とは違う大阪ならではの「大阪クイズ」や「紙飛行機飛ばしレース」という東京じゃちょっと思いつかないようなこともやらせてもらいました。
――そういうゲームってやりそうでやらないですよね。
青山:そうなんですよ。東京では手が引っ込んでしまうところもできて、大阪ならではだと思いました。あと、大阪ではその場にいるみなさんにリクエストを募ったんです。「歌ってほしい曲ある?」みたいな。どうやらバックバンドのふたりは、今までやってきた曲、「青山吉能 SPECIAL LIVE 2021 よぴぴん家」までの楽譜を何となく持ってきているらしい。それでやった曲ならできるかもと。
「マジでリハしていないから、ぶっつけになる」と言ったら、昼の部では「日食なつこさんの『水流のロック』が聴きたい!」と言ってくださった方がいて。楽譜も持っていたので、「じゃあやるか」と。「ちょっとやってみよう……入りってどんな感じだっけ?」と言いながら、歌ってみたりとか。
夜の部もその場にいた人が、「Buono!さんの 『初恋サイダー』をもう一回聴きたい」と言っていて、私は好きだったから覚えていたんですけど、キーボードの杉様が「ちょっと楽譜、上っすね」と言って、でもすぐ歌いたかったから、「木原さんと2人でやっとくか」と。杉様はいないんですけど、2人でやって、「歌詞わかんねーわ」となったので、最前のオタクにスマホを借りて、「ちょっと初恋サイダーって調べて」と言って、オタクのスマホを見つつ歌っていたら、サビくらいから杉様が戻ってきたんです。「なんでやってるんですか!?」って言いながら、慌て顔でサビくらいから合流して。そういったことも、その場ならではで面白かったですね。
――それは参加したかったです。
青山:楽器隊がいなくなる様も、リハをしてないからこそのセッション感というか。東京では、かっちり決めたいという気持ちがどうしても強くなっちゃうので、地方は遊び心が発揮できる場所だと思いました。ツアーなので同じ曲もやるけど、そうやって地方ならではの遊び心を入れることができるので、すごく良いなと。
#こぼればなし2023 in熊本
— 青山吉能 (@Yopipi555) November 4, 2023
ありがとうございました!!!!
本当に本当に楽しかったです本当に😭🌹
さて、いまからわたしは配信でご覧いただいた皆さんの記憶を消すためにどうにか脳に直接攻撃を与えなければ……。https://t.co/ualC8217dW pic.twitter.com/kLXxVd2IwR
――東京についてはいかがですか?
青山:東京は、逆に熊本と大阪でやり切ってしまって、「どうしようか?」と悩みました。お世話になっている作家の浅野さんに「なんかやってください」と丸投げしたんです。そしたら、素敵な企画をたくさん出してくださって、それぞれでやりたいことをやってきたからこそ、「まだこういうのがあったんだ」と思ったし、なんやかんや東京が良い公演になりました。 旨い思いもできたので、すごく良かったです。
――昼公演にあったクイズに答えたら豪華景品がゲットできるガラガラは全て粗品でしたが、夜公演はどうでしたか?
青山:夜公演は、新型iPadと55インチの有機ELテレビを当てちゃって、あとはうまい棒30本セット。
――全部当たりじゃないですか。
青山:ちょっとかましちゃいましたね(笑)。
何の忖度もなく。しかもああいうのって、半分くらいは完遂されないじゃないですか。「おめでとう!」で終わるところが、その日の晩には「この中からどれが欲しいの?」と選ばせてくれて、次の次の次の日くらいにはテレビが届きました。最高です、今。
――最高ですね。
青山:でも、テレビが大きすぎて、とにかく部屋にインチ数が合っていないんです。完全に“テレビの部屋”みたいな。テレビが住む部屋に人間も住んでいるという状況になっていて。アンバランスなんですけど、とにかく快適です。
――昼だけ見た人は青山さんを哀れんだと思いますが、夜公演行った人は「マジか!」と。
青山:「コイツ……大稼ぎじゃねえか!」ってなっていると思います。
――今回のセトリは青山さんが組まれたんですか。
青山:そうですね。私は「既定路線のアンコールが嫌い」というのはだんだん周知の事実になってきたのかなと思うんです。ただ、一旦本編を終わらせて、最後にもっていくのは、エンターテイメントをお届けするにあたって、必要な部分もあると自分でも重々理解しています。一方で、「はいはい、叩くんだよね」という空気はやはり苦手なので、敢えてTシャツに着替えたり、早着替えしたりせず、5秒で出てくると決めて、最後は『STEP&CLAP』で締めるみたいな。そういうふうにさせてもらった感じです。
#こぼればなし2023 in大阪!
— 青山吉能 (@Yopipi555) November 18, 2023
昼の部・夜の部無事に終演しました〜!!!
色んな体当たりがあって心地よい疲労感🍻
「ならでは」が溢れた公演でした。
さあ次はちょこっと空いてラスト東京!! pic.twitter.com/MSNxwfrscR
――「自分がやりたいことをやる」と。ファンクラブについては、どうですか?
青山:実際やってみて、大きく変わった部分は正直ないです。
そうですね……。「本当にライブに行きたい」という方が買ってくださるチケットと「何となく取れちゃった」という人のチケットって同じチケットなんですよ。となると、本当に行きたい人のチケットをもうちょっと大事にしてあげたいと思ったんですよね。
「ファンクラブ先行」ができるから、ファンクラブを作ったんですけど、これからも「何が何でも行きたい」と思ってくださる方は大事にしたいし、「青山吉能のチケットって全然無理なんでしょう?」と考える人が増えるのも嫌なので、これからも自分がやりたいサイズ感と皆様の思いのすり合わせは、一生なくならない戦いだと思います。
――ファンクラブのブログも頻繁に更新されていますね。
青山:そうですね。「裏垢」という名前の。多いときは多いですし、少ないときは1行の場合もあります。「ジム行った」とか。SNSがどんどん億劫になってしまって。
ただ、皆さんとコミュニケーション取れる唯一のツールでもあるから、大事にしたいと思った中で、「あの告知してないのに、『ラーメン食べた』は言うんだ」とか。私しか思ってないのに(笑)。
「もっと気軽に生きていきたい!」という思いから、「裏垢」という名のブログを作ったんです。「青山吉能の何気ない日常を見たい」とファンクラブの方は特に思ってくださっているので、その辺はとてもマッチしているのかなと。本当にくだらないことばかりです。逆に闇も吐き出さないようにしてるので、「アフレコスタジオのトイレがいい匂いだった」とか。そんなのばっかり。
――良い話じゃないですか。
青山:ためになる話があるとしたら、「2023年ベストバイ」とか。ハッシュタグで交流ができるシステムも作ったので、「『#よぴぴん家DX』でみんなのベストバイを教えて」と言うことによって、「みんなこれ良いと思ってるんだ。よし買おう」みたいな。
ファンの方も「よっぴーとお揃いのやつ買おう」となるし、ブログのコメントという形じゃなくて、XというSNSをかませる空間の移動がちょうど良いし、ファンクラブに入っていない人が、急に「『#よぴぴん家DX』でみんなが買ったものの報告しあってる!」みたいな。興味を持って、それを見るためだけにファンクラブに入ってみたら、「おもろいやん」となってくれるのも嬉しいですし、「それが今はちょうど良いかな」と思って。