『葬送のフリーレン』一級魔法使い試験編:和氣あず未さん(カンネ役)×鈴代紗弓さん(ラヴィーネ役)が語る作品の魅力&新章の見どころ|言葉の意味、日々なあなあとしていることはないかと考えさせられる作品――
大人気TVアニメ『葬送のフリーレン』。【一級魔法使い試験】がスタートし、第一次試験も終了、危険なダンジョンに挑む第二次試験がスタートした。
第一次試験で、フリーレンとパーティーを組んだ、かわいらしい三級魔法使いの2人を演じた、カンネ役の和氣あず未さんとラヴィーネ役の鈴代紗弓さんにインタビュー。前半は作品の魅力や見どころを語ってもらった。
息の合った芝居ができた幼馴染のカンネとラヴィーネ
――原作やアニメを見たときの印象をお聞かせください。
カンネ役 和氣あず未(以下、和氣):漫画を読んでいるときも、物語に落差があるようには感じなくて、とても落ち着いていて、すごく読みやすい作品だなという印象がありました。私の演じているカンネちゃんは、この作品の中では感情の落差がある子なので、収録も頑張ろう!って思っていました。
アニメになると、フリーレン(CV.種﨑敦美)のしゃべり口調も淡々としているし、フェルン(CV.市ノ瀬加那)も、あまり感情を乗せすぎない感じだったので、物語に入っていきやすかったんですよね。暗いわけではないので、安心して観ていられるし、雑念が入らずにスッと集中できる感じがありました。漫画とアニメで雰囲気は少し違っているんですけど、どちらの良さがある作品だと思いました。
ラヴィーネ役 鈴代紗弓(以下、鈴代):原作第1巻でのヒンメルとの別れのところは涙が止まらなくて。この取材をしていただくにあたって、アニメを経た状態で、久々に第1巻を読んだんですけど、やっぱり泣いて(笑)。第1話自体、ゆったりとしたテンポではなく、ぽんぽん話が進んでいくんですけど、そこに詰まっている気持ちとか時間を考えると、最初に読んだときに見ていたはずの言葉なのに重みが違ってくるんですよね。
人がどうやって日々時間を過ごしているのかとか、言葉の意味というのを、すごく考えさせられる作品だなと思いました。フリーレンは、千年以上生きるエルフなので、時や言葉の意味を考えるということや、その言葉の裏にある意味を知るということすら、そもそも概念としてなかったと思います。でもそこから、フリーレンが人間の感情を知ろうとするところを見ていると、私自身、日々なあなあとしていることはないかと、考えさせられるんですよね。
あじゅさん(和氣)も話していましたけど、静かに進んでいく作風なので、それを凪のような感じで観れちゃうのも不思議な感覚です。アクションもあるんですけど、気づいたら時が経っている、みたいな新鮮さがありました。アニメだとバトルシーンに迫力があったり、グラフィック面でのアプローチがより細かかったりしたので、どんな方向からも楽しめる作品だと思いました。
――途中からアフレコに参加する、ということについてはいかがでしたか?
鈴代:ラヴィーネに決まったときは、もうアフレコが進んでいました。事務所から出演の連絡をいただいたときには、もう盛り上がっているのは知っていたので嬉しかったんですけど、緊張もして。原作を読んで、ラヴィーネって、どんなふうにしゃべるんだろうと思っていたからなおさらです。
和氣:私も緊張していました。カンネとラヴィーネが出てくるのが、一級魔法使い試験編からで新キャラも多く、「周りも初登場だし大丈夫だよ」って種﨑さんに聞いていたんです。でも行ってみたら、初登場とは思えないくらい世界観が出来ていて、「違うじゃんっ!」って思いました(笑)。私もオーディションではなかったので、第一声で何て言われるんだろうってドキドキしていました。
鈴代:同じです!
――オーディションがないと、どんな感じで言葉を発せばいいのか、わからないですよね。では、それぞれのキャラクターについても教えてください。どんな印象を持ちましたか?
和氣:カンネちゃんはすごくかわいらしい子で、活発に見えるんですけど、臆病な一面もあるんです。あと素直じゃないけど素直!(笑)。ラヴィーネに励まされているときに、私のことをもっと褒めてよって言っちゃったり、ツンツンしているけど、そうやって甘えられる子なんですよね(第18話)。
鈴代:その素直なところってカンネの育った環境に影響していると思っていて。家族に褒められて、愛を受けて育ってきた子なんだろうなっていうのが、ラヴィーネの台詞にもあったし、カンネの台詞自体にも時々出ているんですよね。真っ直ぐ育ってきたんだなと感じられて、とてもかわいらしいんです。
ラヴィーネはラヴィーネで、育ち自体はいいんですよ。でも、それが逆に型にはまりたくないという気持ちになっていき、口が悪いところが出ているんです。でも映像で見ると、みんながあぐらをかいているようなところで正座していたり、隠しきれない育ちの良さが出ちゃってるんです。上品さがあるけど、そこにハマりたくなくて反発しているところがかわいいなって思いました。
あと、その第18話の過去回想で、「ラヴィーネなんか嫌い」とカンネに言われて「知ってるよ」と言っておきながら、ちゃんと褒めるんですよね。褒めない選択肢もあったはずなのに、何ならすごく褒めているし(笑)。2人は似ていないけど、そういう素直さは似ているんだなって思いました。
和氣:ラヴィーネだったら、「気持ち悪っ」とか言うのかと思ったら、ちゃんと褒めてくれてました(笑)。
鈴代:最後は「笑っている顔が可愛いところ」でしたけど(笑)、「本当は臆病なくせに頑張っているところ」とかは、カンネのことを見守ってきたからこそ出てくる、近しい人が褒めるときの言葉なんですよね。だから、2人はお互いのことを見合っているんだなと思いました。
和氣:幼馴染だけあって息もぴったりだし、いい関係だけど、私はラヴィーネの兄弟がみんなかっこよくて、お母さんもきれいだったから、ラヴィーネ家のビジュアルいいな!って印象がすごくありました(笑)。
鈴代:ラヴィーネのお兄ちゃんの話、もっと聞かせて!ってなりますよね(笑)。
――幼馴染で息もピッタリというところで、お互い掛け合ってみていかがでしたか?
和氣:さゆみん(鈴代)とは、他の作品で1クール一緒だったのですごくやりやすくて。はじめましてでもキャラクターが幼馴染だからやりやすかったのかもしれないんですけど、さゆみんだからこそ、すごく安心感がありました。カンネとラヴィーネが2人で戦うところも、隣にさゆみんがいてくれるから、ここで!というときに行けたし、ラヴィーネの勢いのある芝居を見て、私もすごく気持ちを乗せやすかったです。2人の関係性というところで、さゆみんがいてくれたからこそ楽しく出来たと思っていました。
鈴代:この言葉、録音したかったです(笑)。私も最初に台本を読みながら、勢いとかが想像できたというか。結構カンネとラヴィーネはアドリブもあるんですけど、2人で打ち合わせもそんなにしていなかったんです。してなかったですよね?
和氣:してないかな。
鈴代:そのくらい安心してやれたのは、相手があじゅさんだったからだと思っています。掛け合いでも、カンネのほうがラヴィーネより、心のテンションが高いんです。そのテンションも、カンネが上げてくれるから、それに乗っかっていけるようなところがあって、すごく楽しく演じさせていただけたと思っています。
ラヴィーネって、どこまでテンションを上げていいかわからなくて、最初は迷っていたんですけど、カンネがもう、一発目からカンネだったので、それなら私はこう行こうと思えたんです。だから、あじゅさんのお芝居を聞いて、ラヴィーネというキャラが自分の中で固まったのかなと思っています。
――カンネとラヴィーネの喧嘩シーンを映像で見ていかがでしたか?
和氣:めちゃかわいかったです! この前、種﨑さんとラジオ風番組~トークの魔法~を録ったときも、2人の登場を楽しみにしていて、「第一声を聞いたときに、本当にかわいくて、これだ!と思った」って言ってくれて、すごく嬉しかったです。
――ちなみに、お芝居ではどんなことを大事にしていたのですか?
和氣:カンネって、基本的にテンションが高いんですけど、自分の弱さも知っていて、ラヴィーネには甘えられる素直な一面もあるので、すごく普通の女の子だと思ったんです。なので意識していたのは普通感で、一級魔法使いを目指しているから強い子ではあるけど、普通の女の子だと思いながらお芝居をしていました。
鈴代:「だらしねぇ」とか、「〜〜だ!」とか、ラヴィーネはとにかく口が悪いんです。でも育ちの良さはなければダメだと思ったので、あくまで品があるように。品がなくなるのは違うと思ったので、常に品が乗っているようにしました。強い口調を言っていても、きれいな感じが出るように意識していたと思います。
[文・塚越淳一]
作品情報
あらすじ
千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。
その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。
その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。
キャスト
(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会