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『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』今井一暁監督が「音楽」をテーマにした理由とは/インタビュー

コロナ禍を経て「音楽がなくなってほしくない」という想いが強くなった――『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』今井一暁監督インタビュー|子供たちが音を鳴らしてくれれば、音楽があり続ける未来につながるはず

 

服部隆之さんが手がけた音楽のすごさとは? ゲスト声優陣の演技と歌にも注目!

――音楽面の力の入りようもすごかったです。連続テレビ小説『ブギウギ』などでおなじみの服部隆之さんが音楽を担当されていたり、葉加瀬太郎さんが曲を書き下ろされたりと、予算が大丈夫なのか心配になりました(笑)。

今井:たぶん上から文句を言われていると思います(笑)。ですが、今回関わってくださった音楽関係者の方が“ドラえもん×音楽”という組み合わせをおもしろがってくださり、今までとは違うことができるかもしれないと、乗ってくださって。

今回はお客さんに映画館に来ていただいて、いい音楽を聴いてもらいたかったのと、音楽を演奏している気分になってもらいたくて。半分はストーリーを楽しみながら、もう半分はコンサートみたいな、それもお客さん自身が演奏しているコンサートになる、“演者側になる体験”になればいいなと、企画当初の頃から思っていました。

 

 

――のび太たちがリコーダーで吹いていた曲や、ミッカが歌っていたメロディが、この映画のモチーフ的なものになっていて、何度も流れることで観終わった後もしばらく頭に残っていました。

今井:ぜひずっと残ってほしいですね(笑)。作曲してくださった服部さんが素晴らしい曲を作ってくださったからこそ、可能になったことで。のび太くんたちの音楽の課題曲とミッカの歌が大きくあって、何度も繰り返していって、後でオーケストラで演奏されていますが、子供たちの記憶に残って、口ずさんでくれたらいいなと思っていました。

服部さんのすごいところは、子供たちになじめて、リコーダーで吹けて、それでいてみんなを感動させるようなすごい交響曲にしなければいけない、というすごく難しいことを実現してくださって。音楽的な技巧を凝らしつつ、子供たちが吹けなければいけないという絶妙なラインで作曲していただきました。

――ミッカを演じる平野莉亜菜さんのお芝居と歌もとても素晴らしかったです。

今井:いいですよね。いろいろな偶然が重なりましたが、ミッカ役に彼女を見つけられたことが一番大きかったと思います。こなれていたり、訓練されて作った子供の声ではなく、等身大の子供の声で、かわいらしくて、きれいで。それでいて、こちらが求めるお芝居に対応できる子なんていないんじゃないかなと思っていましたが、平野さんはすべてできたので、僕を含めてスタッフ陣が驚いたくらいで。彼女の存在がこの映画の大きな魅力になっていると思います。

――ゲスト声優の吉川晃司さんと石丸幹二さんのお芝居も存在感がありました。

今井:最高でした。石丸さんに演じていただいたワークナーは、シナリオの段階でおもしろいキャラにしたいよねと思ったので、語尾をオペラ調にして。(実在の)ワーグナーが知ったら怒るんじゃないかと(笑)。石丸さんならこういうキャラをうまく演じてもらえるんじゃないかと思って、オファーさせていただいたら引き受けてくださいました。最初のアフレコで歌った時は「すごい! これがワークナーだ!」と思ったし、子供にも楽しんでもらえるんじゃないかなと。

マエストロヴェントー先生は、声を選ぶのにとても悩みました。ヴェートーべンが出す声は普通ではないはずだし、カリスマ的で芯がある声というのはハードルが高くて。また石丸さんもそうですが、ゲスト声優の方は音楽をやられている方がいいなと思っていて、そうなるとなおさら難しくて。そんな時、ふと「吉川さんがピッタリじゃないか!」と思い浮かんで。「でもやってくれないだろうな」と思いましたが、後悔したくないのでダメ元でオファーしたところOKをいただけて。マエストロヴェントー先生が最初に発声するシーンを聞いたら「おおっ!」と感動して、お願いして良かったなと思いました。

 

 

映画を観た人が音楽に触れたり、楽器を始めるきっかけになれば

――本作の見どころや注目ポイントのご紹介をお願いします。

今井:音楽を題材にしたアニメはたくさんあるし、だいたいは音楽を通して人間ドラマを描いていると思いますが、この映画は主語と述語が逆で、“『ドラえもん』で音楽を描いた”というニュアンスがあって。この映画を観てくれた子供たちが音楽をゼロから始めて、音楽の世界に触れてくれたらいいなと思って作ったし、今までにない映画になったかなと思っています。

テーマは音楽なので、音響の方々がものすごく音楽にこだわってくれました。それは映画館じゃないと絶対に感じられないと思います。

――ミュージカル的な要素を感じましたし、「この映画の音楽いいな」で終わらず、「楽器をやってみたいな」とか「リコーダーを久しぶりに吹いてみようかな」と思わせてくれました。

今井:本当ですか? それは嬉しいです。観てくださった方がそう思ってくれればいいんですけど。今はひやひやドキドキしています(笑)。

――また、ギャグシーンはいつも通りですし、スタッフさんの遊び心も感じました。個人的には謎の生命体「ノイズ」が研究所に出現したシーンの『ウルトラQ』的な演出、音楽が好きです。

今井:ありがとうございます(笑)。小さなお子さんも見られるので、地球外生命体といえどあまり怖いものとして描きすぎるのも『ドラえもん』っぽくないなと思って。愛きょうがありつつも、怖いヤツという風に感じてもらえたらいいなと。ギャグシーンはやっぱり『ドラえもん』なので、いつものように子供たちが笑ってくれるようなものにしました。

――上映を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。

今井:難しい映画ではないので、ドラえもんやのび太くんたちと音楽のおもしろくて楽しい世界を冒険して楽しんでほしいと思います。

そして映画を観終わった後に、「楽器をやってみたいな」とか「音楽に興味が湧いてきたな」となってくれたら嬉しいです。ぜひ映画館で観てください。

 

 

作品情報

映画ドラえもん のび太の地球交響楽

あらすじ

藤子・F・不二雄 生誕90周年記念作品!》

“音楽の未来”は…のび太に託された!?

ドラえもんたちが奏でる交響曲(シンフォニー)で地球を救う大冒険が始まる―――!!

学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太。

その前にあらわれた不思議な少女・ミッカは、のび太の吹くのんびりのんきな「の」の音を気に入り、音楽がエネルギーになる惑星でつくられた“音楽【ファーレ】の殿堂”にドラえもんたちを招き入れる。

ミッカはこの殿堂を救うため、一緒に演奏をする音楽の達人【ヴィルトゥオーゾ】を探していたのだった!

ひみつ道具「音楽家ライセンス」を使って楽器を選び、ミッカと共に演奏することで、少しずつ殿堂を復活させていくドラえもんたち。

しかし、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってきて、地球にも危機が…!!

はたして、“音楽の未来”、そして地球を救うことができるのか!?

キャスト

ドラえもん水田わさび
のび太:大原めぐみ
しずか:かかずゆみ
ジャイアン:木村昴
スネ夫:関智一
ミーナ:芳根京子
ミッカ:平野莉亜菜
チャペック:菊池こころ
タキレン:チョー
モーツェル:田村睦心
ミーナ:芳根京子
マエストロヴェントー:吉川晃司
ワークナー:石丸幹二
加賀翔(かが屋)
賀屋壮也(かが屋)
パロパロ:悠木碧
ネコ・ラジオDJ:天月

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
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