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- 笹本千尋
- 1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。
全世界シリーズ累計3,400万部を超えの『黒執事』(著:枢やな先生)のアニメ新シリーズ『黒執事 -寄宿学校編-』が2024年4月13日(土)よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送開始!
『黒執事』シリーズは今までに、2008年『黒執事』、2010年『黒執事Ⅱ』、2014年『黒執事 Book of Circus』のTVアニメが放送されてきました。(劇場版もあります)
そして2024年に放送される『黒執事 寄宿学校編』はコミックスでは14巻第67話〜18巻第84話に収録されているストーリー。寄宿学校編(14巻)が発売されたのは2012年とかなり前だったため、読者の方の中にはアニメ放送開始に先立ち漫画を見返したという方も少なくはない…はず。
そこで今回はコミックス『黒執事』の寄宿学校編を改めて振り返り。これまでのエピソードを含む、本編でのシエル・ファントムハイヴについてご紹介していきます!
※『黒執事 寄宿学校編』およびこれまでのTVアニメシリーズのネタバレが多分に含まれております。
※本稿はコミックス『黒執事』のストーリーを軸にご紹介しております。
本作の舞台となる寄宿学校(パブリックスクール)、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校は主に13歳〜18歳(6年制)の男子が寮で共同生活を行いながら学業に専念する場所で、“伝統と規律”を重んじている。また、歴史ある4つの学生寮が設備されています。
政府の介入を一切受け付けていない独立した機関であり、所属する寮をはじめ学園内の決定権は全て絶対君主である校長が所有している。なお、校長と面会できるのは基本的にP4の監督生のみ。
シエルたちはヴィクトリア女王陛下の命により、女王のいとこであるクレメンス侯爵の息子であるデリック・アーデンをはじめ、何人もの生徒が学校から頑なに帰省しようとしない原因を突き止めるべく、デリックが通うウェストン校に潜入することになりました。
P4(ピーフォー)とはPrefect 4(プリーフェクトフォー)の略。4つの学生寮「深紅の狐」「紺碧の梟」「翡翠の獅子」「紫黒の狼」の監督生(寮長)4名のことを指していて、学園の自治を校長から任されている存在。P4の合言葉は「伝統は絶対!」。
また、オーダーメイドで仕立てたベストの着用や校長主催の「真夜中のお茶会」への参加が許されている。(※お茶会はP4の寮弟や招待状が贈られた者も参加可能)
寮弟(ファッグ)は、決められたひとりの上級生のお世話をする下級生を指す。学園内限定の兄弟関係。
寄宿学校の寮に住み込みで働く教師のこと。朝は担当教科の授業を、夜は帰寮後、希望生徒の勉強を見ている。
第15条・・・いかなる時も学友に心を配り愛を以てこれを助けること
第48条・・・芝生を横切っていいのは監督生とその許しを得た者のみ
他・・・ファーストネームで名前を呼んではならない
Y(ワイ)とは、校則を破った罰の単位のこと。ひとつの「Y」につき、ラテン語の詩を100回書かされる。
「しまった 遅刻するっ」
シエルが入寮したのは紺碧の梟、通称・青寮(ブルーハウス)。青寮の監督生であるロレンス・ブルーアーの寮弟・クレイトンの寮弟となる。
所属寮:紺碧の梟(サファイア・オウル)
誕生日:12月14日
3月31日生まれ、東京都出身。『天空のエスカフローネ』神崎ひとみ役や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』真希波・マリ・イラストリアス役、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ルナマリア・ホーク役を演じています。
ウェストン校の生徒として生活をしていくのですが、これほどまでに多くの同年代のキャラクターたちと一緒に過ごし、協力して何かを成し遂げるシエルが今までにいたか、と新鮮さを感じてしまうストーリーでもあります。
『黒執事 Book of Circus』でも先輩・後輩のような上下関係はありましたが、学年で区別されるぐらいきっちりとした上下関係は今までにありませんでした。
ロレンス・ブルーアーが監督生を務める紺碧の梟寮に所属したシエルは下級生であることから、先輩からあれこれと身の回りのお世話を任されることになります。
そんなシエルたち生徒の1日はこちら(わかる範囲です)・・・
6:30 起床
7:00 早朝のお茶
7:30 始業
9:00 朝食
朝食後は「寮弟の時間」という下級生が決められた先輩のお世話をする時間が設けられています。
そしてなんといっても本作は“後輩らしい”シエルの姿が見どころ!
深紅の狐(スカーレット・フォックス)寮のエドガー・レドモンドの寮弟であるモーリス・コールに意地悪をされ、コールのこれまでの悪行をP4に訴えたり、クリケット大会で涙の優勝に輝いたり…学園生活ならではの青春がここにあります。
クリケット大会のエピソードでは父・ヴィンセントの学園時代の回想があり(ヴィンセントも青寮出身)、ヴィンセントの代で1度だけクリケット大会に優勝したことが、学園の歴史において「碧の奇跡」と呼ばれていると明かされます。その「碧の奇跡」をシエルが再び導くため、どことなく親子の繋がりを感じること間違いなしです。
本来の目的であるデリックの真相や、校長の正体などが話数を重ねるにつれ明らかとなっていくのでこちらも見どころです!
『黒執事 寄宿学校編』の放送開始に先駆け、Netflixでは『黒執事』、『黒執事Ⅱ』、『黒執事 Book of Circus』の全3期が配信中(2024年3月現在)です!
そこで各シリーズのシエルの名場面をピックアップ。コミックスを読み返したり、アニメを見返したりしていると当時とはまた違った所感が残るかも?! 新シリーズの前に、一度見たことがある方も初見の方も、ぜひ視聴してみてください。
2008年に放送された第1期『黒執事』はコミックス1巻〜4巻&アニメオリジナルのエピソードが収録されています。
本作の名場面といえば、まず第6話のマダム・レッド(シエルの叔母:アンジェリーナ・ダレス)のお葬式のシーンが思い浮かびます。1期から、シエル&セバスチャンをはじめ、アンダーテイカー、劉、ドルイット子爵と多くのキャラクターが初登場を果たしていますが、その中でもグレル・サトクリフ&マダム・レッドの真っ赤なコンビは目を引き、そんなふたりが起こした「切り裂きジャック事件」は印象に強く残っている方も多いはず。
マダム・レッドの葬儀に、真っ赤なドレスを抱え登場したシエル。マダム・レッドが恋をしたシエルの父・ヴィンセントと同じ「地に燃えるリコリスの色」という言葉をマダム・レッドに贈り、見送ったシーンは切なくも美しく忘れられないシーンです。
(そういえば、シエルが初めて女装をしたのも1期(第4話)でしたね)
2011年放送の第2期である『黒執事Ⅱ』はアニメ完全オリジナルストーリー。本作ではアロイス・トランシー(CV:水樹奈々さん)&クロード・フォースタス(CV:櫻井孝宏さん)ほか、複数のアニメオリジナルキャラクターが登場しました。
アロイスとシエルふたりの若き当主が対比的に描かれており、なかでもアロイスがシエルに抱く劣等感の描写が半端なかった。第1話から使用人であるハンナ・アナフェローズの目をアロイスが抉るシーンがあり、これまでにないゾワゾワとした感情を本作に抱きました。
様々な人間と悪魔の想いが交差して全体的にダークな雰囲気が漂っていましたが、やはり第12話(最終回)のシエルの結末が1番の名場面と呼べるのではないでしょうか。
アロイスに身体を奪われたシエルが悪魔となって蘇るという、誰も予期していなかっただろう展開。最後の馬車でのセバスチャンとの掛け合いはとても冷たく感じて、(メリーバッドエンドとでも言うのか)ハッピーエンドともバッドエンドとも捉えられる終末に衝撃を受けました。
2014年に放送された第3期『黒執事 Book of Circus』はコミックス5巻(第22話後半から)〜8巻に収録されているエピソードです。
ジョーカー(CV:宮野真守さん)率いる旅一座「ノアの方舟サーカス団」が立ち寄った街で、何人もの子供が行方不明になっている事件の真相を探る過程で、シエルたちはサーカス団に入団することになりました。
第3話、入団テストの最後にジョーカーに“笑って”と無茶振りを受けるのですが、その際のシエルの作り笑顔の威力が凄かったですね。(シエルは「スマイル」、セバスチャンは「ブラック」という芸名で活動することになります)
そして、なんといっても印象的だったのは事件の犯人であるサーカス団の黒幕が登場した第9話。シエルの最も暗い過去に触れられ、動揺した様子でセバスチャンに事件を終わらせるよう命令を下す様子は、これまでの飄々としたシエルとは異なる部分を感じた場面でもあります。内にある弱さというか、年相応のものが表面に出たような。シエルの逆鱗に触れたエピソードでした。