アニメ『ONE PIECE』新OP&EDテーマソングインタビュー|きただにひろしさん&大槻マキさんが語る『ONE PIECE』の主題歌を歌うということとは?
TVアニメ『ONEPIECE』は、2024年で放送から25周年を迎えます。現在放送中のアニメ『ONE PIECE』のエッグヘッド編の新オープニングテーマソング「あーーっす!」をきただにひろしさん、新エンディングテーマソング「Dear sunrise」を大槻マキさんが担当しています。
きただにひろしさんは初代オープニングテーマ「ウィーアー!」、大槻マキさんは初代エンディングテーマ「memories」の担当アーティストであり、作品を代表する楽曲を歌ってこられたお二人です。そんなアニソン界をリードするきただにひろしさんと大槻マキさんに、新曲への熱い思いから『ONE PIECE』の魅力まで、いろいろとお話をうかがいました。
アーティストの観点から語り合う「あーーっす!」&「Dear sunrise」
――最初に「あーーっす!」という楽曲を聞いた時の印象をお聞かせください。
きただにひろしさん(以下、きただに):毎回のことなんですけど、最初に曲を聞いた時に「そうきたか!」と思いました(笑)。
TVアニメ『ONE PIECE』の初代OP曲「ウィーアー!」からの3人(作詞:藤林聖子、作曲:田中公平、歌:きただにひろし)トリオで作っているので、(田中)公平さんは「ウィーアー!」を超える曲を作ろうと毎回プレッシャーだと思うんですよね。次の楽曲「ウィーゴー!」も、「ウィーアー!」のアンサーソングで素晴らしい。次に「OVER THE TOP」が来たんですけど、タイトルが「ウィー」何とかじゃないんだと思いました(笑)。
そして今回の楽曲「あーーっす!」です。公平さんから「今回の楽曲はスルメ曲を作った」と言われていたので、転調もそれほどしないけど、なぜか何度聞いても飽きずに、どんどん良くなっていくということが魅力だと思います。
全部の楽曲に言えるのは、曲の1番が終わったら、楽器ソロのパートになるのがお決まりになってきています。そして最後に、作品のタイトルを叫ぶ。それは僕たちが子どもの頃に見ていたアニメソングの良さや素晴らしさです。日本が持っているアニソンというものを大事にしながら作り上げてきた形だと思っています。
「ウィーゴー!」もそうですけど、これまでの楽曲は転調しまくりで、いい意味で変態的な曲を作られる先生なんです(笑)。今回の「あーーっす!」は、転調(※1)が2回なので、僕の中では少ない印象があるんですけど、譜面に起こしてメロディーを入れると、細かいことにいろいろなこだわりを感じます。
全曲に関していえるのは、ワクワク感を大事にしている。そして、きただにひろしの声を生かしている。そういうことがわかってもらえているので、あとはトライするだけです。
毎回今までにやったことのないことを1曲ごとにやらせてもらっているんですけど、今回の挑戦としては、最後にG(※2)の音を出すというところですね。
あとは、トラップビート(※3)。今までやったこともないですし、Bメロの前にトラップビートが来て、「バチバチNo limit ここからがONE PIECE!」と続きます。今風の感じも入れつつ、公平さんも藤林さんも俺も「進化をし続ける」というところを書いた楽曲だと思います。
※1:曲が途中でこれまでのキー(調)を離れ、別のキーに変化すること。
※2:音階を英語にしたもの。Gはソの音。
※3:重低音を強調したビートに、トラップ特有のハイハット(ドラムセットパーツの1つ)の連続音や派手な電子音を加えるリズムパターン。
――最初に「Dear sunrise」という楽曲を聞いた時の印象をお聞かせください。
大槻マキさん(以下、大槻):先に楽曲をいただいていて、自分が作詞したんですけど、今回は「memories」を彷彿させる楽曲になっています。とはいえ、あのままではなくて、その後の世界観、そこから25年経った今の「memories」のアンサーソングという雰囲気だなと感じました。「memories」の作詞をした時は『ONE PIECE』のことを知らなかったんですけど、今回は完全に知っている状態で作詞しました。
きただに:大槻さんも『ONE PIECE』の大ファンですからね。
大槻:ですから、距離感を大切にしています。「memories」の時のような、中に入り込みすぎないで、外から見るファン目線で聞きながら作詞したという感じもあります。
――アニメ『ONEPIECE』は今年で25周年を迎えます。きただにさんと大槻さんは、アニメ初代OP&EDテーマの担当アーティストであり、25年ぶりにお二人がそろってOP&EDを担当されていますよね。せっかくの機会ですから、お互いの楽曲の感想をお聞かせください。
きただに:アニメが25周年を迎えて、この二人でOPとEDを担当するというのは熱いですよね。正直に言いますと、「ここで二人が来るんだ!」と驚きましたけど、この二人でOPとEDを担当できたことが一番嬉しかったです。
大槻:そうですね!
きただに:楽曲を聞く前は「どう来るのかな?」と思っていたんですけど、「Dear sunrise」を聞いた時は、サビの頭のところでわしづかみですよ!
曲中のサビ「太陽のように 笑うあなたへ」のところは、あそこに「の」を置くというのもすごいなと思いました。僕がたぶん作る立場だったら、「太陽のよ~う~に~」と普通はやると思うんですよね。そこを「太陽の~ように~」として、そこでためが1つ生まれるから、16ビートの裏になっているので、あそこでグッとくるんですよ。
その後に続く「大人になっても 忘れたくない」のところでトップの音まで行って、「この願いが届くまで」で下がるんです。これは忘れたくないという気持ちをグッとこらえている感じが来るんですよね。トップから下げると、さらに表現力が出るので、あそこはいいなと思いました。
大槻:(きただにさんのお話を聞いて)感動しております!
きただに:あの譜割りも本当に面白かったです。心が掴まれるんですよ。
――大槻さんが「あーーっす!」を聞いた感想をお聞かせください。
大槻:いち早く「あーーっす!」を聞かせていただく機会 があったんです。
きただに:両国国技館(映画の大ヒット、25周年を記念した関係者・スタッフに向けた宴)でね。
大槻:そこで、ダニーさんの生歌をTVサイズで聞くことができたんです。
きただに:初披露で、レコーディングの前日でした。
大槻:「なんじゃ、この曲は!」と思いました(笑)。今までの曲の感覚と全く違う曲を出してきて、どう受け止めたらいいんだろうと思うぐらい斬新な曲でした。「バチバチNo limit ここからがONE PIECE!」のところは、「こんなにかっこよく歌える人がいるんだ。自分だったら、こんなにかっこよく決められないな」と思いました。
今までの曲もかっこよかったですけど、「あーーっす!」で、さらにダニーさんのかっこよさが倍々に増えたんじゃないかなと思います。
そして、やっぱり歌唱力がすごいなと感じています。イベントでご一緒させていただくことがあって、「ウィーゴー!」で最初に出て行かれることが多いんですけど、やっぱりすごいんですよ。今回はもっともっと「わー! 来たぞ!」という感じの楽曲だったので、ド肝を抜かれました。
きただに:今回はゴスペルのコーラスもふんだんに入れてもらっているので、ゴージャスでしたね。
大槻:ゴージャスですね! 自分の曲よりも口ずさむ回数が多いぐらい本当にスルメ曲だと思いました。
――「あーーっす!」はこれまでの楽曲とまた違った感じなんですけど、『ONE PIECE』の楽曲だなという感じはします。
大槻:本当にそうですね。
きただに:歌詞に「ONE PIECE」って、入れちゃっていますからね(笑)。
一同:(笑)。
きただに:それは今のアニメではあまりしないですよね。でも、これまでの楽曲全てにタイトルを入れていて、すごいなと思いますね。
大槻:潔くて、めちゃくちゃかっこいいですよね。
きただに:嬉しいことです。