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『うる星やつら』第2期のエンディング映像ができるまで【インタビュー】

『うる星やつら』 第2期 第3クールエンディングスタッフ 刈谷仁美さん×陽子さんインタビュー|可愛さと切なさが融合した唯一無二の“キラキラ”は如何にして生まれたのか?

2024年1月より、フジテレビ“ノイタミナ”にてTVアニメ『うる星やつら』 第2期が好評放送中です。

新シーズンを迎え、原作ファンにはお馴染みの“やつら”(キャラクターたち)も続々と登場!? ますます盛り上がりを見せるなか、懐かしさと新しさ、可愛さと切なさを両立させた第3クールエンディング(ED)映像が、様々な方面から注目を集めています。

アニメイトタイムズでは、本映像のEDディレクターを担当した刈谷仁美さん、EDキャラクターデザイン・作画監督を担当した陽子さんに独占インタビュー。なかなか聞けないEDアニメーションの制作過程をたっぷりと伺いました。

SNS上で驚きの声も上がったおふたりのコラボは、どのような流れで実現したのでしょうか? お互いに対するリスペクトや信頼がかけめぐり……まさかの展開も!?

『うる星やつら』のファンはもちろん、アニメーター、イラストレーターが好きな方にも必読の内容となっています。ぜひ最後まで楽しんでほしいっちゃ!

 

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「でもうちは、やっぱりダーリンが、好きだっちゃ。」地球“最凶”の高校生・諸星あたると、宇宙から舞い降りた“鬼っ娘”美少女ラム。二人の出会いからすべてが始まった…!今なお第一線で活躍する高橋留美子による鮮烈のデビュー作「うる星やつら」。小学館創業100周年を記念し、選び抜かれた原作エピソードを4クールに渡ってテレビアニメ化!(第1期2022年放送予定)監督は『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』を手掛けた髙橋秀弥・木村泰大、シリーズ構成に『はたらく細胞』の柿原優子、キャラクターデザインに『おそ松さん』『映像研には手を出すな!』の浅野直之、アニメーション制作は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ、『炎炎ノ消防隊』のdavidproductionが担当。そして、主人公の“ダーリン”こと諸星あたると、ヒロイン・ラムという稀代のカップル役を神谷浩史と上坂すみれが演じる。大胆不敵、恋にも全力、でもどこか切なくて…あたるとラムのボーイ・ミーツ・ガールを、銀河中から集結するキャラクターたちが彩るラブコメディ。目を見て「好き」と言えない今だからこそ届けたい。ゴージャスでタフ、クレイジーな“やつら”の青春がかけめぐる!作品名うる星やつら放送形態TVアニメスケジュール2022年...

 

陽子さんの絵柄に宿るアニメ『うる星やつら』との親和性

ーーまずは、簡単な自己紹介と今回のED映像におけるご担当を教えていただけますか。

刈谷仁美さん(以下、刈谷):刈谷仁美です。普段は主にアニメーターとして働いていて、時々イラストレーターのお仕事もさせていただいています。今回の『うる星やつら』エンディングでは、ディレクター、原画、色指定などを担当しました。

陽子さん(以下、陽子):イラストレーターの陽子と申します。私はキャラクターデザイン、作画監督として、今回のED映像に関わらせていただきました。

ーー本日はよろしくお願いします。おふたりはどのような経緯で今回のED映像に携わることになったのでしょうか?

刈谷:まずはスタジオコロリドを通じて、私のもとに「『うる星やつら』のED映像を作らないか」という依頼がありました。まだ楽曲も決まっていない段階でしたが、一旦受けさせていただいて。その後「スタッフはどうしようか」という話になり、私から陽子さんにお声がけしたという流れです。DM(ダイレクトメッセージ)で「陽子さん、作監をやってくれませんか?」と。

 

 
陽子:本当に驚きました。連絡を受けたときは「えっ!?」と声が出てしまったくらい。こういった形でアニメに関わらせていただく経験は初めてだったので、自分の中では「大丈夫かな」という不安もあったんです。

ただ、『うる星やつら』で刈谷さんとご一緒できる機会なんて二度とないかもしれないので、「挑戦してみたいです……!」とお答えしました。

ーーそもそも、刈谷さんが陽子さんに依頼しようと考えたきっかけは?

刈谷:学生時代から陽子さんのファンだったんです。陽子さんの絵は、昔の良さと新しさが融合した独自のスタイルと言いますか、90年代アニメのような懐かしさもありつつ、塗りや細かいパーツには現代的な絵柄が取り入れられています。

『うる星やつら』のアニメ本編を観る中で、リメイクでありながら、今の世代にも受け入れられるようなポップな印象を受けたんです。「きっと陽子さんの絵柄が合うんじゃないかな」と思い、お願いさせていただきました。

ーークレジットを見て「このふたりがED映像を……!」と驚いていた方も多かった印象があります。

陽子:ありがたい限りです。

刈谷:ありがたいですね。上京したての頃、『らんま1/2』同人のイベントに行ったのですが、陽子さんが参加されていた本は既に売り切れていて、泣く泣く手ぶらで帰ったという思い出があります。今回のお仕事をご一緒できて、本当に光栄です。

 

 

ーーSNSではお互いへのリスペクトを感じるやり取りも見られましたが、以前から「一緒に何かを作りたい」という思いはあったんですか?

陽子:一方的なのかもしれないですが、私個人としては常々思っていました。以前から刈谷さんのイラストは拝見していたので、「いつか一緒に」と。

刈谷:私自身も薄々ではありますが、「陽子さんの絵をアニメにしてみたい」と考えていましたね。「アニメとの親和性が高そうだな」と勝手に思っていたんです。

ーーそれこそ陽子さんの絵が動くことも、ファンには嬉しいポイントですね。

陽子:どうなんでしょう? 個人的には自分の絵を刈谷さんに動かしてもらって、めちゃくちゃ嬉しかったのですが、「もしかして、私が得をしているだけなのでは?」と思ってしまいます(笑)。

 

絵コンテとキャラデザに込めた1981年版へのリスペクト

陽子:私が『うる星やつら』に初めて触れたのは、初代アニメ版(1981年版)だったんですよ。刈谷さんの絵コンテを拝見した際、初代へのリスペクトが散りばめられていると思ったので、キャラクターデザインも、そういった雰囲気を感じられるものにしたいなと。

 

 
刈谷:私は、イラストを受け取るたびに「眼福眼福」と思っていました。陽子さんの絵をなぞりつつ、アニメーションにしていくのですが、その時間が一番楽しかったですね。

陽子:嬉しすぎます……! 高橋留美子先生が生み出したラムちゃんのデザインには、頭身のバランスも含めて、可愛らしさが凝縮されていますよね。刈谷さんの絵コンテに合わせる形で絵を置いていったのですが、角度まで合わせる必要があるので、なかなか難しかったです。改めて、イラストの仕事とアニメの仕事の違いをひしひしと感じました。

刈谷:作画監督という仕事は初めてだったと思いますが、先ほど仰っていたように、顔の角度や表情を絵コンテから汲み取ってくれていたんです。プロのアニメーターレベルのものが最初から上がってきたので、なぞるときにも違和感がありませんでした。

陽子:とても安心しました。「刈谷さんに多大なる迷惑をかけていたら……」と思っていたので(笑)。

刈谷:いやいや! 全然そんなことはなかったですよ。

ーー刈谷さんのXでは、陽子さんの絵が入る前のイメージボードも公開されていますね。

刈谷:楽曲のリズム感や歌詞を見ながら書き起こしたのですが、陽子さんの絵が入らないと、もっと地味な映像になっていたんだろうなと。立場上、組み立てや土台作りはこちらで行いますが、華やかな画面を作るためには、陽子さんの絵が絶対に必要でした。

 

 
陽子:刈谷さんの絵作りがカッチリしていて、最初から完成形をイメージできたんです。経験のない仕事でしたが、問題なく作業を進められました。

刈谷:よく動くカットに関しては、動きのラフも描かせていただいたんです。発注に合わせて陽子さんが絵を起こしていき、その絵柄を基に、自分が原画でアニメの動きをつけていくという流れでした。

ーーまさにおふたりのコラボレーションと言えますね。

刈谷:そうですね。陽子さんの絵柄がしっかりと出たアニメーションになったので、良かったんじゃないかと思っています。時間が許せば、映像自体について「どうしたいですか?」という相談もしたかったです。今回は絵柄だけ発注する形になりましたが、もし機会があれば、陽子さんのイラストがそのまま動いているようなアニメーションも作ってみたいですね。

陽子:ええ〜!?

(横で聞いていた)スタジオコロリドのスタッフ:良いことを聞きました。うちでやりましょう!

刈谷:やった! ぜひお願いします。

陽子:熱すぎますね。本当に良いのでしょうか?(笑)

ーー(笑)。期せずして証人になってしまいました。

 

 

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