![『響け!ユーフォニアム3』石原立也監督×小川太一副監督が考える『ユーフォ』の面白さとは【連載02】](https://img2.animatetimes.com/2024/04/46b1d3cc73bd20e739f0462d73fe5974660fa4cf356dd4_83407589_d80b6644dd4434e8b878aa75bab69a126f090edd.jpg)
新キャラクター・黒江真由をはじめ、一人ひとりを“人間”として描きたい――『響け!ユーフォニアム3』石原立也監督×小川太一副監督インタビュー|いろいろな立場があって、どの視点も納得できるのが『ユーフォ』の面白さ【連載第2回】
第1話は、「『ユーフォ』が始まったぞ!」という楽しさを大事にした
――先日放送された第1話で特に大事にしたポイント、まずはここを見せたいと考えたことなどを教えてください。
石原:やっぱり物語の出だしということで、吹奏楽部の幹部をやっていく久美子と(塚本)秀一と麗奈の関係性は大事にしました。
――小川副監督は、第1話ではコンテと演出を担当されています。
小川:僕自身、テレビシリーズの1話でコンテと演出を担当するのは初めてだったということもあるんですが、まずは何においても、自分自身がワクワクできる回にしたいと思っていました。
石原:1話は大変だよね。一通りのキャラクター紹介も必要だし。
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――1話は、どうしても盛り込む必要のあるタスクが多くなりがちですよね。
小川:もちろん、そういうタスクがあるというか、キャラクター紹介的な側面はあるんですが、それ以上に、この世界観にスッと入っていけるようにという役割が一番大きかったかなと思います。それこそが演出家の腕の見せどころだったりもするので……頑張りました(笑)。
石原さんが仰った通り、久美子と秀一と麗奈の立場が今までとは大きく変わっているので、その関係性をしっかりと見せつつも、僕自身、「『ユーフォ』が始まったぞ!」という脊髄反射的な楽しさをすごく求めていたと思います。
石原:1話には、特殊なオープニングが付いていますが、吹奏楽で始まったりして、すごくワクワクする感じだったと僕は思っています。
小川:ありがとうございます。あと、高校3年生って“特別なようで特別ではない”じゃないですか。
石原:え? けっこう特別じゃない? 僕は特別感あったな。「ああ、もう3年か」って。
小川:もちろん特別でもあるんですが、たぶん、3年目の高校生活ということで、慣れきっているとも思うんです。なので、特別な1年間が始まったけれど、学校生活や部活に関しては、一番慣れていて自然と入っていける。そのあたりの雰囲気は少し自分なりに意識した気がします。
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『ユーフォ』を全然観たことが無い人でも、3期は面白い
――第1話のコンテと演出に関して、特にこだわったシーンなどがあれば、教えてください。
小川:石原さんも挙げてくれたオープニングは、やっぱりすごく気合いを入れました。3期の最初として、ちゃんと盛り上がるものにして、ワクワク感を繋いでいきたいですし。ああいうところは、シナリオ段階でカッチリ内容が決まっているわけではないので、そこを自分なりにどう構成するかが一番難しかった気がします。
――第2話からの通常オープニングは、1期、2期と同じく石原監督がコンテと演出を担当されていると伺いました。
石原:作っていたときは、久美子の立場などの見せ方に主眼を置いた気がします。ただ、出来上がったものを観ると、やや過去を振り返っているというか、少し切ない感じは出ていますね。あまり意識はしていなかったんですけど(笑)。
あとは、オープニングも最終回まで観た上で、また観直してもらえると「これはこういうことだったのか」と感じてもらえると思います。
――最終回まで観た後は、感じることが変わってくるわけですね。
石原:そう思います。それに、オープニング曲(「ReCoda」)の歌詞を書いてくれたTRUEさん(作詞の名義は唐沢美帆)は、毎回そうなのですが、作品のことを本当に理解してくださっていて。なので、これまでの『ユーフォ』の曲の歌詞とは、少し違った目線になっている気がするし、「これは、どういうことなんだ?」と考えながら観ていただくのも楽しいかもしれません。
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――最後に、『響け!ユーフォニアム』が大好きな読者の皆さんに向けて、第2話以降の見どころも含めたメッセージをお願いします。
小川:キャラクターそれぞれの成長している姿を改めて観ていってもらえると、より楽しめるんじゃないかなと思います。それに、2回、3回と繰り返し観ることで、また違う景色が見えてくる気がするんです。いろいろな捉え方があると思うのですが、最後まで観ないと分からないこともあったりするので、ぜひ観逃さずに観てもらえると嬉しいなと思います。これまでのシリーズもそうでしたが、楽しいことだけじゃなかったりはするんですけど(笑)。それも引っくるめて、本当に良い青春が描けていると思うので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。
石原:最初にもお話ししましたが、10年近く続けてきた作品が最終章になると考えたら、若干寂しくもあります。でも、結末まで描けるということはありがたいし、視聴者の皆さんも同じような気持ちだと思うので、1期から観て下さっている皆さんには、ぜひ最後まで楽しんでいただけたらと思います。
それに、『ユーフォ』という作品を全然観たことが無い人でも、3期は面白いと思うんです。ただ、いろいろなところで前の作品を観られる機会もあるので、1期や2期を観て頂けると、より楽しめるとは思います。
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先ほど、3期は何度も観るとより面白いという話をしましたが、僕たちの感覚で言えば、最終回まで(コンテなどを)作った頃、最初の方のアフレコが始まるんですよ。すると、アフレコのときに思いがけないところで泣けたりするんです(笑)。なので、最後を知ってから、また最初の方を観るとより面白いというのは、僕が実際に体験していることなんですよね。きっと、みなさんも同じような気持ちになってもらえるかなと思います。
小川:いろいろな情報が補足されて、自分の中でより説明がつくようになるというか。思いがけず、グッとくることはありますよね。本当にいろいろな立場の子がいるので、「この子の立場に立ったら、そうだよな」ということもあったりします。『ユーフォ』は、1期からそういう作品ですが、そこが面白い作品だなと、作り手ながらも改めて思いました。
[取材・文=丸本大輔]
作品概要
![響け!ユーフォニアム3](https://img2.animatetimes.com/2022/06/98adf828dac0543dd3c54a57ae42749c65f7c2d585dc31_50218129_ead6ba0678cd3e7a1479a5e0f5c735d0aaa6ed84.jpg)
あらすじ
キャスト
(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会