春アニメ『龍族 -The Blazing Dawn-』:山下大輝さん×本渡 楓さん×村瀬 歩さん 声優座談会|0話は主人公の成長に欠かせない要素であり、壮大な物語の第1歩
0話はミンフェイの豊かな表情が見どころのひとつ。村瀬さんはミンゼイのような役をやりがち!?
――登場するキャラはみんなクールな印象で、作品の喜怒哀楽の部分をすべてミンフェイが担っているのではと思うほど、キャラが一段と引き立っていますね。
山下:特に0話では、一人だけ感情豊かに演じていた気がしましたが、カッセル学院に入学したらもう一人、感情豊かなキャラクターが増えます。フィンゲルなんですけど(笑)。彼との同じ温度感での掛け合いはとても楽しいなと思いました。学園に入ったところからキャラクターも増えて、いよいよ本筋に入るんだろうなと。0話は本当にプロローグです。
――ミンゼイはポイントポイントで登場して、ミンフェイに思わせぶりなことを告げる、不思議な立ち位置ですね。
村瀬:そういう役をやりがちなんですよね(笑)。僕もまだ彼の中身を全然知らないので、どうしようかなと。ただオリジナル版で演じられている方がミステリアスな感じで、言語は違っても「こういう感じで芝居を残したいんだな」というところは汲んで、寄り添っていきたいなと思っています。
収録中に疑問が沸いた点を尋ねると、その都度、スタッフさんが確認されているので、きっと意図があるんだなと。それに、意外と知らないままやったほうがいい場合もあって、知ってしまうことで、「どれくらい自分の要素を入れよう」と考えてしまうと、意図していたところと違ってしまうこともあるので。そうなった時に「教えてください」と聞こうかなというスタンスで収録に臨んでいます。
――皆さんは演じる前に制作陣からオーダーやディレクションはあったのでしょうか?
山下:特にはなかったです。収録中に何かあった時にはディレクションをいただく形で。
村瀬:僕もです。たぶんお任せということだったと思います。
本渡:吹替だけど、TVアニメ寄りのお芝居の作り方でやってみてほしいという言葉はいただいた覚えがあります。
山下:確かに。原音は気にしすぎなくていいよと言われた気がします。
――台本を見せていただきましたが、ト書きの指示がすごく細かいですね。
山下:作中で出てくるギャグや例えは、中国のものだったりするので、日本語版にどう落とし込むのかの試行錯誤が見えました。
村瀬:翻訳の難しさだよね。
山下:逆に日本の四字熟語やことわざが中国では通用しなかったりするし…。
――「この尺の中に収めてください」という指示も結構書かれていますね。
村瀬:翻訳や演出の方が、尺に合うように考えて書いてくださって。それでもどうしようもない時に頑張る、みたいな。
本渡:セリフにも候補が書かれていて、「もし、これが入らなかったら、こっちで」とか「余裕があったらこちらのほうで」とか。ありがたいですね。
村瀬:あんなに代案が書いてある台本はあまりないと思うし、すごく丁寧ですね。
――収録は今、何人くらいでやられているんですか?
山下:バラバラではありますが、基本的にメインの人たちは固まって、多い時には4~5人で収録しています。
村瀬:タイムスケジュールも考えていただいて、極力掛け合う人同士が一緒にやれるようにしていただいています。1話だとミンフェイは基本的にずっとしゃべってますが、話が進んでいくと別軸で新しい人が登場することで、ミンフェイが話していないシーンも出てきたりして。
――それでもミンフェイはしゃべっているシーンが多いので、登場人物が増えると掛け合う相手も変わってくるのでは?
山下:そうですね。まだ全然掛け合っていないキャラもたくさんいるので。基本的にはフィンゲルとノノとミンゼイと一緒の収録が多いです。今後また新しい人と掛け合う時、どんなふうに会話して、変わっていくのか楽しみです。
アドリブを入れまくる山下さんがうらやましい。作品の随所に見える中国の文化も興味深い
――収録現場の雰囲気や裏話などお聞かせください。
山下:原音には入っていなかったけど、アドリブをよく入れまくろうとフィンゲル役の橘 龍丸くんと話して、実際入れまくっているんですけど、どれくらい使われるのかが楽しみです(笑)。
本渡:原音がないところでも、ずっとはしゃいでいる声を入れられていたので、最初に見た時はビックリしました。楽しんでやられているなと。
山下:そうなんです(笑)。
――あと本渡さんと村瀬さんはアドリブを入れにくい役なので、山下さんをうらやましく思われたりしているのでは?
本渡:思います! 「いいな」って(笑)。
山下:でも今後はあるから。今日録った話のあのシーンとか……。
本渡:そうですね。ノノにもテンションが上がる瞬間があるので。あと、0話でミンフェイさんが住んでいる親戚のおうちでのシーンがあるのですが、親戚の家族の張り具合がまくしたてるような印象で、こういう発声の仕方で自己主張していく文化なのかなと話をしていたら、中国の文化を知っている方が「そうなんですよ。自分の言葉をすべて立てて、相手に伝えなさいと教わるんです」とおっしゃって。アニメだからではなく、中国の家庭の風景をリアルに落とし込まれてるんだなぁと思いました。
山下:特にミンフェイのおばさんを演じている方の原音の声がすごく迫力があって、すべて全力で100%で出している感じなんです。
一同:(爆笑)
村瀬:あまり日本では聞かない音声の出し方だよね。
本渡:少しずつ現場で中国の文化を知ることができるのはすごく楽しいです。
――ご自身が演じるキャラ以外のお気に入りキャラをお知らせください。
村瀬:フィンゲルですね。おもしろいし。あとシーザーは、ちょっとダサいところがおもしろいです。
山下:何でもできるスーパーエリートかと思ったら、実はエリートを演じていたかのような。一番クサいセリフが多いのがシーザー。
村瀬:こういうキャラが後半に輝いたりするのかな。
山下:あと教授たちがかわいいです。
村瀬:ユルゲン教授がかわいい。
山下:実はミンフェイは、ノノよりもユルゲン教授に名前を呼ばれることが多いんです。
村瀬:そっか!
本渡:確かに多いかも(笑)。
山下:(ユルゲン教授のマネをしながら)「ルー・ミンフェイ! ルー・ミンフェイ!」って。
本渡:似てる(笑)。
――フィンゲルが登場する前は、テンションが高いキャラはミンフェイとユルゲン教授くらいでしたね。
山下:確かにそうですね。優しいし、ずっとテンションが高いし、ずっと名前を呼んでくれるので、一番距離が縮まって。それにたまに芯をついたことを言うんですよね。「君の両親は君を愛している」とか、欲しい言葉を言ってくれるし、そのシーンがキーになったりするので、ユルゲン教授は欠かせない存在です。
あと親みたいに感じる時もあって、ハグされた時の温かさとか、自分のことをこんなに必要としてくれているんだなと感じられて、すごく好きになりました。
――ユルゲン教授をはじめ、教授はみんな個性的ですね。
山下:クライン教授とか(笑)。ルールに厳しくて。
本渡:「その頭で照らしてくれ」とか、ちょいちょい失礼なことを言ったりして(笑)。
――そしてアンジェ校長はいかがですか?
山下:あの人が一番謎ですね。あとスーパーイケオジだなと。昔、超イケメンだったんだろうな。
――速水 奨さんが演じるだけで、ミステリアスな雰囲気がありますよね。
山下:たぶん、絶対何かあるでしょうね。あんなにメガネを光らせて、何もないわけがない。