Netflixの社員にもアニメ&ゲーム&漫画ファンがいた! 漫画を月◯万買う!? オンラインゲームで知り合った人と結婚! 世界的大企業のみなさんの推し活に迫る【有名企業に突撃!オタク訪問】
Netflix社員にとっての推し活とは?
ーー最近のNetflix事情についても質問させてください。配信で第1話から制作することが決まった『THE ONE PIECE』は、ここ最近でも一番大きなニュースかと思います。社内のオタク代表の皆さんは、この一報を聞いた時にどう思われましたか?
栗田:世界的な反響も大変良くさすが『ONE PIECE』だと思いました! アニメファンとしてもNetflix社員としても素直に嬉しいです。Netflixとしては、世界中の視聴者がまだ見た事のないストーリーを日本から届けて喜んでいただければと思います。これからも国内外の皆さんがワクワクする作品を届けることを目指していきます。
ーーここ数年のNetflixのアニメ・漫画の実写化作品が、どれも原作ファンも納得の完成度で話題になっています。社内から見て、その要因や以前のNetflixと変わってきたところなど感じることはありますか?
桒原:原作がある実写については原作ファンも原作をご存知ない方々にも楽しんでいただけるようにグローバルワンチームで制作をしていると聞いています。『ONE PIECE』でははじめてグローバルワンチームとして、シナリオ作りやキャラクターについて、原作者である尾田栄一郎さんとアメリカのチーム、そして日本とアジアのNetflixの実写担当の間で深く話し合うことで、原作のエッセンスをきちんと残した「再現ではなく、表現」を可能にした作品にすることができました。いいものつくろう『幽☆遊☆白書』では、不可能と言われた表現を、世界6カ国18社の協力体制で作り上げることができました。
また、Netflixは作品を作る前にバイブルという、作品に関わる全ての関係者が制作過程を共通理解できる設計図のようなものを作成します。その中には、物語の構成設定をはじめ、なぜこの作品を作るのか、作品が目指す世界観、トーン(印象や雰囲気)、さらに登場人物のキャラクター性や相関図、ロケーションやセット、ビジュアルイメージ、色彩設計が記されています。作品によって異なりますが、名前、年齢、在住地や仕事、背景情報、また、物語の中での行動原理についても把握できるように 設定を深掘りしていきます。
例えば、登場人物は何者で、何を望んでいる人物なのか、どうやってそれを手に入れようとしているのか? 中核となる葛藤は何か? どんな結末が待ち受けているか? 行動に危険やリスクはあるのか? などなどを詳細に掘り下げていきます。
栗田:原作者さまに限らず、制作に関わる全ての方に対して安心・安全な環境であることを目指し、リスペクト・トレーニングなどを導入しています。
ーーやはりそういった取り組みが行われているんですね。みなさんも「この作品詳しいから意見をください」とか言われたことがありますか?
桒原:僕は結構ありますね。「このアニメどう思う?」「どうだった?」と、ビジネスにかかわらずに意見交換しています。
栗田:面白いものを作るのって、会議ではなくてふとしたコーヒーチャット(雑談)から生まれることもあると思うので、常にみんなで共有はしていますね。
コダッ子:全然ありますね。作品の面白さを聞かれることもありますし、「高校生向けのドラマを作りたいんですが、この作品どうですか?」と聞かれて、ちょっとエッチなので難しいかもしれないです……って答えるとか(笑)。
ーーやはり知見があると、相談されるものなんですね。グローバルな企業なので、社内で作品に関することをお話する際に、国や文化の違いで受け取り方が違ったりすることもあるのでしょうか?
コダッ子:場所によって、楽しみ方が違うのを羨ましく思うことはありますね。例えば、シンガポールでしかやっていないイベントだったり、その国でしか売っていないグッズであったり、アメリカンスタイルのコンベンションって良いな〜とか。
あと、その国の言葉だからこそ面白いアニメや漫画関連のミームがあったりすると、すごく面白いのに言語の違いで伝わらなくてモヤモヤしたりします。
桒原:日本の作品は、世界中で愛されていて、イベント等で現地のファンの様子を見ると単純にすごいなと感動しますね。
どこに行っても面白いアニメは面白いと言われていますし、人気のキャラクターも大体共通しているし、この国だから、この文化だからという風には感じないですね。文化や好みを狙って何かを作るのではなく、面白いものを作ったら世界にも届くはずだという考え方なんだと思います。
ーー面白いものは世界共通なのかもしれませんね。では、最後にみなさんが思う推し活やオタ活の良さを教えて下さい!
桒原:好きなものがある人生って良いですよね。何も楽しくない人生より、ひとつでも多く好きなものがあったほうが良くない? と思います!
栗田:自分の感情や、想像力や夢が広がる感じがします。仕事や社会生活に追われて、現実世界に囚われがちなので、そこを広げてくれるものなのかなと思います。
コダッ子:ちょうど、他の社員さんとも話していたんですが、好きなものは生きる理由を与えてくれると思います。好きなものがある世界と、ない世界は全然違うと思うので。
ーー今日はありがとうございました!
Netflixっていいじゃん
今回は世界的有名企業であるNetflixさんにお邪魔してきました。読者のみなさんが考えるイメージとの違いはありましたか?
筆者は取材をしていて感じた印象は「この人たちオタクだ!」ということでした。あの好きなものを語る楽しそうな笑顔はいつ見てもいいですよね。オタクの自分の推し語り、あれは何度聞いても聞き飽きません。
それと同時にNetflixのみなさんには「好きなものを好きと言える空気」と「そこから生まれるクリエイティブ精神」を感じました。それはこれまで働いてきたNetflixのみなさんが作り上げた独自のものなのでしょう。Netflixに名作が多いのも頷けます。
今回はとてもいいオタク訪問になりました! 次回はどこの会社にお邪魔することになるのでしょうか。今後のオタクとの邂逅もお楽しみに!
[取材/石橋悠 岩崎航太 文/石橋悠 撮影/MoA]