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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。
4月から放送中のアニメ『忘却バッテリー』。中学生怪物バッテリーと評された清峰・要バッテリーが、捕手・要圭の記憶喪失により無名の都立高校に進学し、そこで出会ったチームメイトと甲子園を目指す物語です。
主人公チームの小手指高校には天才投手・清峰葉流火と要圭のバッテリーに加え、最強の二遊間・藤堂葵と千早瞬平が所属しており、彼らは努力と才能で名門校にもスカウトされる実力を持っています。1年生ながら彼らがチームの柱であることは間違いありません。
しかし、小手指野球部には鈴木と佐藤という名のいかにもモブ役っぽい部員も在籍しています。名前も見た目も地味な鈴木と佐藤ですが、実は彼らは物語において必要不可欠な功績を残しているのです。本稿では普段なかなか日の当たらない彼らに注目してみました!
※本稿にはネタバレが含まれます。
鈴木と佐藤は小手指高校野球部の2年生部員です。シンプルで素朴な顔立ちで、2人ともよく似ていますが血縁はなく、細い方が鈴木で太い方が佐藤です。清峰たちを勧誘するシーンで初めて登場します。
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— 『忘却バッテリー』公式@TVアニメ好評放送中! (@boukyakubattery) April 10, 2024
⚾️新キャスト解禁!⚾️
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TVアニメ『#忘却バッテリー』
鈴木 役は #鈴木崚汰 さん
佐藤 役は #佐藤元 さんです✨
葉流火たちを野球部に勧誘してくれた優しい先輩たちです!⚾️#忘却バッテリー pic.twitter.com/1HTGrVyaCA
声優は鈴木役を鈴木崚汰さん、佐藤役を佐藤元さんが担当しており、キャストにもこだわりを感じられます。
それではさっそく2人の功績を見ていきましょう。ここからは敬意をこめておふたりのことを鈴木先輩、佐藤先輩と呼んでいきたいと思います。
第一の功績は、小手指高校に野球部を発足させたことです。清峰たちが入学する前まで小手指高校には野球部がありませんでした。当然1年生たちもそれをわかったうえで進学してきています。
しかし、鈴木先輩と佐藤先輩が発足させたことで、清峰は野球部に入ることができましたし、野球をやるつもりのなかった要、藤堂、千早、山田も野球を再び始めることができたのです。
おそらく清峰一人では野球部を発足させることはなかったでしょうから、鈴木先輩と佐藤先輩がいなければ物語そのものが始まらなかったはず。野球の経験値自体は高くないものの、部を新設するほど彼らが野球好きなことは確かです。
そして何より野球は9人いなければ試合ができない団体戦。鈴木先輩と佐藤先輩がいたから公式戦への出場も他校との練習試合もできたのです。
とにかく優しくて温和な2人。球児ではあるものの、体育会系特有の厳しい上下関係にこだわりがなく、後輩にもフラットに接する優しい先輩です。むしろ野球の上手い後輩たちを純粋に尊敬しており、そんなところからもおふたりの素敵な人柄が感じられます。
控えめな性格ではあるものの、上級生としての責任感があり、実力のある1年生に頼りきりになることを良しとせず練習に精を出します。それだけではなく、部員やマネージャーの勧誘などでも野球部に貢献しようとする姿勢も見られます。
また、そんな先輩たちを藤堂や千早ら1年生部員は、きちんと先輩として敬っています。自分より実力が劣るからといって生意気な態度を取ることはない彼らの礼儀正しさも鈴木先輩と佐藤先輩がいるからこそ垣間見えるのです。
小手指の絶対的なエースである清峰ですが、長いトーナメント戦を勝ち抜いていくには彼一人に投げ続けさせるわけにはいきません。そんな中、唯一部内で投手経験があったのが鈴木先輩でした。
小学生の頃に「補欠の補欠の補欠だった」と謙遜していう鈴木先輩ですが、球速はないものの安定したサイドスローを投げることができます。
小手指は夏の大会の3回戦で鈴木先輩を先発投手に起用。4点を取られたものの7回途中まで全力で投げ切った鈴木先輩。奮闘の甲斐あって交代した清峰の投球は絶好調。そのまま試合終了まで1つのヒットも許すことなく、試合は小手指の勝利で幕を閉じます。
試合に勝っただけでなく、鈴木先輩が先発となったことで投手の力に頼らない打たせて取るスタイルで試合を進めたため小手指はチームとしての結束を強めることができました。
夏の大会初参加ながら目を見張る成績を残した小手指には翌年大勢の新入部員が入ってきました。その中には鈴木先輩と佐藤先輩を凌ぐような実力を持った者もおり、小手指野球部には初めてレギュラー争いが発生します。
進級し3年生となった鈴木先輩と佐藤先輩にとってこの夏が高校最後。しかし、佐藤先輩は背番号10番(代打選手)となり、レギュラーから外れてしまいます。
それにもかかわらず、佐藤先輩は不貞腐れることなく自分が結果を出せなかったからだと自分を省みます。さらに、「今日から日課の素振りを増やそうと思う」と宣言。試合で代打が来たときにちゃんと打てるよう準備をすると言うのです。
そして最新話では、名門・帝徳高校との公式試合でついに代打が回ってきます。しかも、エース清峰の代打として起用されたのです。彼の努力を知るチームメイトたちの期待を一身に背負って打席に立つ佐藤先輩。3年間の思いを込めた渾身の一振りは鋭い打球を捉えます。ひたむきに頑張ってきた佐藤先輩の活躍に多くのファンが胸を熱くしました。
[第148話]忘却バッテリー - みかわ絵子 | 少年ジャンプ+ [ https://t.co/W9vCrdMAy9 ] pic.twitter.com/X1oekvkn9E
— みかわ絵子 (@mikawaeco) April 17, 2024
鈴木先輩と佐藤先輩、同学年の土屋先輩の成長が描かれているのは原作第97・98話。彼らが3年生になった春、新入部員として入ってきた1年生の中には、夏の大会であまり活躍を見せていない3年生たちを舐めてかかる者も。
そこで智将・要圭の提案で2・3年生vs1年生の紅白戦を実施することに。3年生を見くびっている1年生チームの投手を相手に、トップバッターの土屋先輩はサードゴロで出塁、2番打者の佐藤先輩はライト前にクリーンヒットを放ちます。
さらに、3番打者の鈴木先輩はレフトオーバーの大きな当たりを出し、走者一掃のランニングホームランで見事3点を先取。その後、投手としてマウンドに上がった鈴木先輩は投球でも活躍。1年生チームに1点も取らせることなく6対0で2・3年生チームが勝利しました。
全国レベルの実力を持つ後輩たちに追いつくため、秋から冬にかけて必死に練習を重ねてきた先輩たち。癖がついていない分、吸収が早く、驚くほどの伸びを見せ、小手指の立派な戦力へと成長していたのです。
一見するとモブキャラのように見える鈴木先輩と佐藤先輩をご紹介してきましたが、彼らの素晴らしさは伝わったでしょうか。鈴木先輩と佐藤先輩のように、飛びぬけた才能がなくとも、ひたむきな努力が報われるキャラクターがいるところが『忘却バッテリー』の魅力のひとつ。放送中のアニメでもぜひ彼らに注目してみてくださいね。
1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。