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『ユーフォ3期』解説記事|久美子たちが挑む吹奏楽コンクールとは? 吹奏楽部のリアルな姿を経験者が解説します!

『響け!ユーフォニアム3』北宇治吹部ってリアルなの? 吹奏楽部を経験した編集部員が実際の様子をまるっと解説します!

2015年4月にアニメ化され、劇場版を含めて現在までに計9作品が制作されている『響け!ユーフォニアム』。2024年4月より、新作アニメ『響け!ユーフォニアム3』が放送開始しており、今期最注目の作品のひとつといっても過言ではありません。

吹奏楽部の生徒たちが部活動を通じて人間関係やアイデンティティに迷い、葛藤する様子が丁寧に描かれている本作。かなりリアルに描かれるシーンもあり、心が締め付けられた方も多いことでしょう。

しかし、ああいった吹奏楽部の人間関係や部活動自体の内容などは、経験者ではない者にとっては「そんなことってあるんだ……!」くらいに見えてしまうものかもしれません。

そこで本記事では、本作をもっと深く楽しめるように、作中に登場する”吹奏楽部”特有の単語、現象、起こっている問題や、それに対するあるあるについて、小・中・高・大・一般バンドと長年吹奏楽を経験してきた私と、アニメイトタイムズ編集部の吹奏楽経験者の意見をもとに解説していきます!

みなさんが疑問に思っていたあれこれを解決していきますよ!

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響け!ユーフォニアム3
高校3年生になり、部員90人超となった北宇治高校吹奏楽部の部長に就任した、黄前久美子。久美子たち3年生にとっては最後となる吹奏楽コンクールを控え、練習にも熱が入る。悲願の「全国大会金賞」は達成できるのか? 部長として踏み出した久美子、高校生活最後の熱い青春を描く!作品名響け!ユーフォニアム3放送形態TVアニメシリーズ響け!ユーフォニアムスケジュール2024年4月7日(日)〜2024年6月30日(日)NHKEテレにて話数全13話キャスト黄前久美子:黒沢ともよ加藤葉月:朝井彩加川島緑輝:豊田萌絵高坂麗奈:安済知佳黒江真由:戸松遥塚本秀一:石谷春貴釜屋つばめ:大橋彩香久石奏:雨宮天鈴木美玲:七瀬彩夏鈴木さつき:久野美咲月永求:土屋神葉剣崎梨々花:杉浦しおり釜屋すずめ:夏川椎菜上石弥生:松田彩音針谷佳穂:寺澤百花義井沙里:陶山恵実里滝昇:櫻井孝宏スタッフ原作:武田綾乃監督:石原立也副監督:小川太一シリーズ構成:花田十輝キャラクターデザイン:池田晶子 池田和美総作画監督:池田和美楽器設定:髙橋博行楽器作画監督:太田稔美術監督:篠原睦雄3D美術:鵜ノ口穣二色彩設計:竹田明代撮影監督:髙尾一也3DCG監督:冨板紀宏音響監督:鶴岡陽太音楽:松田彬人音...

未経験者が歓迎される理由

どの部活も、あるいはどんな環境においても、歓迎されるのは即戦力や経験者。やはり何事も「やったことがある」という経験は強いもの。裏を返せば未経験者を0から育成することは手間も時間もかかってしまいます。

しかし、吹奏楽部は未経験者大歓迎! 楽器をはじめて手に取る人を募集するのです。作中でもその描写があります。

主人公・久美子のクラスメイト、加藤葉月。彼女は中学時代テニス部に所属しており、吹奏楽は未経験、楽器は初心者でした。

トランペットに憧れて北宇治吹奏楽部に入部した葉月。結果的にチューバを担当することになりますが、先輩や同級生の経験者から入部時に未経験を理由に邪険に扱われることはありませんでした。

高校の部活だから、という単純な理由もありそうですが、吹奏楽部が未経験者を歓迎するのには理由があるのです。

それは、大会における出場規定人数が多いから!

久美子たちも最も大きな目標に掲げる「吹奏楽コンクール」は、複数の部門に分かれています。それぞれの部によって規定人数が異なり、上位大会の有無にも違いがあります。

北宇治高校が出場を目指すのはAの部。支部大会を経て、全国大会が存在する吹奏楽コンクールの花形です。


●Dの部
出場規定人数:規定なし
上位大会:なし

●Cの部
出場規定人数:最大20名
上位大会:なし

●Bの部(Ⅱ)
出場規定人数:最大30名
上位大会:東日本大会

●Bの部(Ⅰ)
出場規定人数:最大35名
上位大会:なし

●Aの部
出場規定人数:最大55名
上位大会:支部大会−全国大会


Aの部の規定人数は最大55名。あくまでも最大であるため、極端な話をすれば55名以下であればエントリー可能です。しかし、パート編成やハーモニー調整、音圧、迫力を考えると人数は多いほど有利になるケースがほとんど。ですから、まずは頭数が必要なのです。

高校硬式野球のベンチ入りメンバーの定員が20名と考えると、倍以上の人数が求められるので、たとえ未経験であっても貴重な人材として重宝される……という裏事情がありました。

そして、私の肌感覚ですが、楽器未経験で入部した生徒は、数年も経てば経験者と同等か、それ以上の実力を身に着けているケースが多かったように思います。

部の戦力運営をする立場である顧問やコーチからすると嬉しい誤算。しかも、経験者へ意欲の底上げが望めるとなれば、このような嬉しい誤算も未経験者に期待されるひとつの要因かもしれません。

また、先輩部員の邪な希望ではあるものの、現状人数が足りていない楽器を担当してもらうために未経験者が歓迎されるケースも少なくありません。作中の葉月が、トランペットではなく低音を担当するチューバに配属されたのはこの理由でしょう。

ちなみに経験者も、もちろん貴重な戦力として歓迎されますが、先輩部員からすると「入部して当然」の存在であるため、少しだけ扱いが異なったりすることも……。それはどこの部活でも一緒なのではないでしょうか。

吹奏楽部の一年

楽しい体験入部、仮入部が終わればいよいよ本入部。コンクールに向けて練習……の前に、担当する楽器を決めていきます。タイミングは学校によって様々ですが、おおよそこのタイミングで3年間担当する楽器が決まります。

ちなみに吹奏楽部の年間スケジュールはこんな感じ。入部してからのスケジュールを、学生時代チューバを担当していた編集部社員と、サックスを担当していた私を例に紹介します。


●複数軸に力を入れる一年間
4月:本入部
5月:GW明けに担当楽器決定
6月:新入部員による初ステージ、吹奏楽コンクールに向けて曲決め、練習
7月:野球応援、コンクールに向けて練習
8月:コンクール、お盆の1周間だけ夏休み
9月:文化祭(有志)
10月:代替わり
11月:アンサンブルコンテスト
12−2月:定期演奏会に向けて練習
3月:定期演奏会

●コンクール特化型の一年間
4月:本入部、楽器決めオーディション、定期演奏会(新入部員初ステージ)
5月:コンクールに向けてパート決めオーディション、曲決め
6月:コンクールAの部、Dの部に向けて各チームで練習
7月:Dの部本番、Dの部チームは10月に行われるコンテストに向けて音源収、野球応援
8月:Aの部県大会、野球応援
9月:Aの部支部大会
10月:Aの部全国大会、Dの部コンテスト出場
11月:アンサンブルコンテスト地区大会
12月:アンサンブルコンテスト県大会
1月:アンサンブルコンテスト支部大会
2月:次年度コンクール課題曲見本演奏報告会
3月:アンサンブルコンテスト全国大会


文字に起こすと、意外と忙しなく動いている印象。作中でも細かい時期は変わるものの、おおよそこの予定で一年が過ぎていきます。

話は戻って担当楽器決め。部員の母数が多いとバランス調整のためにオーディションが行われたりもしますが、仮入部ではじめて握った楽器にいつの間にか配属されているなんて場合もあるそうです。

<次ページ:担当楽器が決まった! 最初にやることは……>
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