春アニメ『夜のクラゲは泳げない』連載第5回:音楽 横山 克|さまざまな国でレコーディングをした理由
さまざまな国でレコーディングをした理由は……
今回の劇伴は、イタリア録音、ブルガリア録音、日本録音となっていました。「ヨーロッパ各地の特色をそれぞれ活かしながら収録」しているとコメントされていましたが、なぜそのような形になったのでしょうか?
横山:前述のレトロに通じるのですが、結局、いまってさまざまな音楽が溢れています。さまざまな国のミュージシャンとセッションをすることは、これまでも大切にしてきました。最大の理由は、感情の表現の仕方が違うからだと思っています。
音楽は、どの国に行っても同じ音楽ですし、同じ楽器から奏でられます。しかし、同じ楽譜から得られる表現は、クレッシェンドやダイナミクス、リズムの捉え方も違います。より表現としてフィットしそうな部分を、それぞれの国でフィーチャーしながらレコーディングしました。イタリアは感情的な表現、ブルガリアはまろやかな表現、トーキョーは正確な表現を担当しています。また、ミキシングもイタリアと日本で行っており、感性の違いから生まれる個性も表現されるように仕掛けています。
めいのピアノをハラミちゃんに演奏していましたが、演奏はいかがでしたか?
横山:めいの演奏を収録するとなったときに、ハラミちゃんの演奏している姿に通じるところを感じました。めいは、内心にある強い想いが、フタを開いてしまうとダダ漏れてしまうところが魅力的なところだと思いますが、まさにそんな情熱的なところがイメージとピッタリでした。ハードヒットな演奏で素晴らしい演奏をしていただきました。
サンフラワードールズの「カラフルムーンライト」は3人のボーカルの個性が出ていました。ソロ・バージョンは出るのでしょうか?
横山:ソロ・バージョン、出ます! 各キャラクターには、それぞれの内なる想い、関係性もすべて説明し、しっかりなりきって歌ってもらいました。瀬藤メロなんて最高ですね!!
実際に映像と音楽が合わさっていかがでしたか? 音楽含めて印象的だったシーンがあれば教えてください。
横山:第1話で花音がヨルに「カラフルムーンライト」をぶつけるところ。このシーンは、高橋李依さんがご自身でアフレコされた映像を何度も見直しながら、花音の想いをぶつけるつもりで演じていただきました。
第5話では、水族館で流れていた音楽、まひるがヨルとして絵がうまくなる!と決意したところなどで流れている音楽がとても印象的でした。
横山:前述した通り、レトロな質感の音楽は、感情が入り込みやすいと思っています。その印象的なシーンもそうなのですが、“自分の好きに向き合う”というのは、とてもワクワクすることなんです。そんな表現ができたことがとても良かったです。
6月26日に発売される『「夜のクラゲは泳げない」Original Soundtrack』について、どんな作品になりましたか?
横山:さまざまな国の表現をキャプチャーしたサウンドトラックになりました。クリエイターの根源から作られた、私たち作り手にとって大切な作品です。自分の初心も思い出しながら手掛けた、思い出深い作品になりました。ぜひ、その熱量を感じてください!
TV 「夜のクラゲは泳げない」オリジナルサウンドトラック
TVアニメ『夜のクラゲは泳げない』作品情報
あらすじ
明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、
全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。
何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。
活動休止中のイラストレーター“海月ヨル”
歌で見返したい元・アイドル“橘ののか”
自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス”
推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん”
世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。
自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。
キャスト
(C)JELEE/「夜のクラゲは泳げない」製作委員会