『アクアリウムは踊らない』サウンドトラックレコード盤発売記念 制作者・橙々さん×音楽・真島こころさんスペシャル対談 | 数多くのプレイヤーを魅了した『アクおど』の音楽はどのように生まれたのか
現在配信中のPC&ブラウザ向けフリーホラーゲーム『アクアリウムは踊らない』(以下、アクおど)。
個人制作のインディーゲームでありながら、25万DLを突破する異例のヒットを記録しているタイトルですが、実は本作は作者である橙々さんが一人で8年をかけて製作した作品でもあり、SNSを中心に大きな話題を呼んでいます。
本作の人気を支える要因の一つになっているのが、ゲームを盛り上げる様々な楽曲。『アクおど』のBGMは、フリーの楽曲が多くを占めますが、まるで最初から『アクおど』のために作られたかのように、プレイヤーを世界観に引き込む役割を果たしています。
さらに、そんな本作のBGMを収録したアナログレコード「『アクアリウムは踊らない』Soundtrack feat.真島こころ」の発売も決定しています。ゲームに使用されている真島こころさんの全楽曲に、3曲分のボーナストラックが、なんと12インチのアナログレコード盤に収録されます(CDではないのでご注意ください)。
今回はその発売を記念して、『アクおど』の生みの親である橙々さんと、『アクおど』のBGM内、多くの楽曲を製作した真島こころさんのお二人にお話を伺う機会を得ました。『アクおど』に関する裏話から、お二人のクリエイターとしての原点まで、たっぷりとお話を聞くことができたロングインタビューの模様をお届けしていきます。
フリーゲームが作曲を始めるきっかけに
――最初に、お二人のクリエイターとしての経歴について簡単にお聞きできればと思います。
橙々さん(以下、橙々):今でこそ私はゲーム作家をやらせていただいていますが、先日までは普通に会社員をしていて、ゲーム開発はあくまでも趣味としてやっていました。ただ、先日ついに会社を辞めて、今はクリエイター専業でやらせていただいています。宣伝目的ではありますが、Vtuberもやらせていただいていますね。
――ゲーム開発の前は、どんな創作活動をやられていたのでしょうか。
橙々:『艦隊これくしょん』とか『東方Project』が大好きで、2次創作の同人誌や絵を描いたりしていました。ただ、『アクおど』みたいに8年もかけて一つの作品を作ることはもちろん、そもそもゲームを作ったのも初めての経験でしたね。
――真島さんの方はいかがでしょうか。
真島こころさん(以下、真島):実は、私はフリーゲームがすごく好きなんです。というのも、ゲームが禁止の家で育ったのでゲーム機が家になくて。そんな時にPCでフリーゲームが遊べることを知ってハマっていくうちに、自分でもアプリゲームを作ってみたくなったんです。それから作曲を始めて、自分のサイトを立ち上げて楽曲を公開していきました。
最初は打ち込みみたいな形でデジタルの音楽を作っていたんですけど、家にピアノがあるので、もうリアルの音を録音した方が早いなと思って。それでピアノの曲を上げてみるようにしたら、自然といろんなご依頼をいただけるようになってきました。
――『アクおど』以外にも、いろんなタイトルに楽曲提供をされているんですね。
真島:そうですね。今回橙々さんに使っていただいたポケットサウンドさんで公開している曲も、結構いろんなゲームやボイスドラマとかに使われています。多いのはフリーゲームや同人ゲームで、直接依頼を受けて曲を作ることもありますね。
――橙々さんと真島さんは、時折SNSでご交流されていますが、こうして直接話されるのは初めてですか?
橙々:そうなんです! 昔から知り合いだったとかじゃなく、真島さんの楽曲を本当にたまたま見つけて、たまたま惚れ込んでいっぱい使っちゃったのが最初のきっかけだったので。
真島:前編が公開された際に、橙々さんの宣伝のPVに曲を使っていただいていることを伺ったんです。その前に私が素材屋さんで販売していた、一点もののオリジナルの楽曲を購入してくださっていたのもあって、リプライを送らせてもらったのが最初だったと思います。
――最近は動画にしろゲームにしろ、創作をする人が増えているので、やはりそうしたフリー楽曲の需要も増えているのでしょうか。
真島:そうですね。とくにフリーゲームだと、有料で素材を買われたり、楽曲を発注される方は結構多いです。
どうしてもフリー楽曲だと、「やっぱりフリーBGMか~」みたいに思われてしまうこともあるので、その作品でしか使えない楽曲ってすごく需要があるみたいで、最近はそういう依頼や購入をされる方も増えてきています。やっぱり、フリーBGMで有名な曲は他のタイトルとダブってしまうことも多いみたいです。