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『アクアリウムは踊らない』橙々×真島こころ スペシャル対談

『アクアリウムは踊らない』サウンドトラックレコード盤発売記念 制作者・橙々さん×音楽・真島こころさんスペシャル対談 | 数多くのプレイヤーを魅了した『アクおど』の音楽はどのように生まれたのか

仲間が作っていたものは全部捨てて、一人で作り直した

――既に有名なお話ではあると思いますが、『アクおど』が完成するまでの経緯について、改めてお話いただけますか。

橙々:『アクおど』は、私が一人で作ったゲームなんですけど、元々は大学の時の友達4人から、「これからフリーゲームのホラーゲームを作りたいんだけど絵を描ける人がいないから手伝って欲しい」と言われたのが関わったきっかけでした。

私はホラーは苦手だったので、「絵だけなら……」という条件で引き受けたんです。でも、なんか私だけやる気をちょっと出しすぎて、他の人がついて来れなくなってなってしまったみたいで……(笑)。

――(笑)。なるほど。

橙々:それである日、LINEで「私はここまで絵を描いたんだけど皆はどうかな?」みたいな感じで進捗を聞いたら、2日間返事が来なくて。それからさらに2日後くらいには、気づいたら全員グループを退会してたので、もう一人で作ろうって。元のメンバーが作っていたシナリオやマップもほぼ終わっていたんですけど、それは全部捨てて1から自分で作り直しました。

そのせいもあって8年くらい掛かってしまったんですけど、ゲーム開発の知識もなく、周りに詳しい知り合いもいなかったので。本当にGoogleが話し相手みたいな感じでしたね。

――途中まで出来ていたものを一切使わなかった理由としては、何が大きかったのでしょうか。

橙々:正直な話をすると、もしゲームがヒットした時に、後からあれこれ言われるのは面倒くさかったというのはありました。あとは何より、複数人で作っている時は、自分は「絶対こっちの方がいい」と思っていても、多数決で別の案になってしまって進むことも結構あって、それがちょっと嫌だったんですね。

なので、せっかくなら全部自分が「絶対にこれがいい」と思ったもので作って、その結果を出したかったというのが1から作り直した大きな理由です。

――結果的に、実際それで大ヒットに繋がっているのがすごいですよね。先見の明があったというか。

橙々:私も、多分これで良かったんだろうと思っていますね。やっぱり他の人の意見が入ると、だんだん誰が作ったゲームかが分からなくなって、どんどんぼやけていくので。 やっぱり自分1人で作って自分の名前で出せるのが、インディーゲームのいいところなんじゃないかなと。

――ただ、その流れなら、おそらくほとんどの人は作るのを諦めると思うんです。何故、そこから一人でもやろうと思えたのでしょうか。

橙々:よくも悪くも、仲間がいきなり蒸発したおかげかなと。やっぱり私の中で「何クソ」みたいな想いというか、「私がせっかくキャラクターデザインしたのに逃げやがって」っていう、見返してやりたいっていう想いは大きかったんじゃないかと思ってます。

あとは、もうその時点でスーズとルルのデザインが決まっていて、「このキャラクター達が捨てられて可哀想」っていう感情もありました。私自身、キャラクターへの思い入れが強いタイプで、しっかりと物語にあわせたキャラクターを作ったのがその時が初めての経験だったのもあって、「このキャラ達を物語に落とし込んで、完結させるまでは死ねない」みたいな気持ちはありましたね。

――モチーフに水族館を選んだのには何か理由があったのでしょうか?

橙々:実は私にとって、水族館って恐怖の対象なんです。……といっても、水族館自体はすごく好きなんですけど、海洋恐怖症で水が怖いんですね。水槽とかを見下ろした時に、すごく深くて真っ暗になっている部分を見ていると特に恐怖感が強くなって。ホラーゲームのテーマを決める時にその感覚を思い出して、「水族館とホラーの組み合わせって、今までありそうでなかったな」と思って、これで行こうと決めました。

――好きなんだけど怖いものは怖い、みたいな感覚なんでしょうか。

橙々:そうですね。なんか、愛してるんですけどすごく怖いんです。実はホラーに対しても同じような感じで、ホラーのことはすごく愛していて、つい色々な作品を見たりするんですけど、見た後は後悔する、けどもう1回見ちゃう……みたいな。

――怖いもの見たさみたいな感覚、すごく分かるような気がします。水族館をテーマにするにあたっては、取材みたいなのもされたのでしょうか。

橙々:もうめちゃくちゃ行きましたね。旅行先に水族館があったらとりあえず何も考えず行くくらいにはいろいろ回っていました。さすがに全部とは言えないんですけど、関東の水族館はだいたいは行きましたし、作中ではクラゲが重要な生物になっているので、イメージを固めるためにクラゲで有名な山形県の水族館に行ったこともありました。

あとは水槽側からの景色を見るために、水槽にダイビングできる水族館に行って、頑張ってダイビングしたりもしましたね。水が苦手にも関わらず(笑)。

――真島さんは水族館に普段行かれたりしますか?

真島:実は、私も水族館は結構好きです。旅行とかでそこに水族館があったりすると結構行きますし、そもそも動物自体が全部好きなので、直接触れ合えるコーナーがあったら触れ合いにいったり、餌やりタイムがあったらあげてみたり、結構夢中で回ります。

(C) daidaisan
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