しのぶの中にある想い・信念がどんどん強くなっている――『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』胡蝶しのぶ役・早見沙織さんインタビュー|柱稽古に参加しないという彼女にも注目してほしい【連載第1回】
「鬼滅の刃」待望の新シリーズ『柱稽古編』が、全国フジテレビ系列にて好評放送中!
先日放送された第二話では、柱稽古を行うにあたって、一人心を閉ざして協力しない冨岡を、炭治郎がお館様(産屋敷耀哉)から命を受け説得することに。炭治郎が積極的にコミュニケーションを取っていくうちに、亡くなった親友・錆兎との約束を思い出した冨岡は柱稽古に参加することになりました。
一方、しのぶはカナヲに今回の柱稽古に参加しないことを告げます。さらに、姉のカナエを殺した鬼について、そして鬼の殺し方について話す、と語ったところでエンディングを迎えました。
アニメイトタイムズでは、「柱稽古編」のスタートを記念し、キャストインタビュー連載をお届け! 今回は胡蝶しのぶを演じる早見沙織さんです。第二話を振り返った感想や、「柱稽古編」の収録でのエピソード、これまでのシリーズで印象深いシーンなどを語っていただきました。
※錆兎の「錆」は「金+青」が正式な表記
第二話の一番最後のシーンは何パターンも収録した
――先日放送された第二話を振り返っての感想と印象的なシーンをお聞かせください。
胡蝶しのぶ役・早見沙織さん(以下、早見):ここから柱稽古が始まるというところで、全体としては冨岡さんと炭治郎くん、そして錆兎さんのシーンが印象的なお話だったなと思います。
頑なで無口な冨岡さんにあそこまで語らせるのは、炭治郎くんにしかできないんじゃないかなと思いました。お館様が炭治郎くんに冨岡さんが前を向けるようにと伝えていたことも素敵だなと思いました。
冨岡さんは思っていることはたくさんあるけど、決して全部をしゃべってくれない人なので、こちらは察していくしかない状態のまま、一緒に行動するしかなくて。しのぶさんは根掘り葉掘り尋ねるタイプではないけど、よく人を見ているし、察する力もある人なので、そういうことを経たうえで、信頼関係を築いてきたのかなと思います。
お館様の指令もあって、炭治郎くんがしつこいくらいに冨岡さんにアタックするのはさすがだなと思ったし、アニメの映像を観て、「冨岡さん、こんなにすごい顔をしているんだな」と。冨岡さんにあの表情をさせる炭治郎くんはすごいなと思いました(笑)。
また、冨岡さんと錆兎さんの絆もいいなと思いました。
――最後は、しのぶがカナヲに重大な事実を告げる、強烈なシーンで終わりました。
早見:一番最後のシーンは何パターンも録りました。丁寧にディレクションをいただけるので、その都度、スタッフさんのイメージを伝えていただいていますが、今回、しのぶさんとしては結構核心に迫っていくようなシーンが第二話にあるということで、どんなふうに言うのかで、見え方がまったく変わってくるシーンだと思いました。どこで句読点を打つのか、どれくらいの強さ・テンションで言うのかなど、いろいろ録った記憶があります。
――第二話では、しのぶが感情を抑えようとしているのが伝わってきましたが、演じる上で意識されたのでしょうか?
早見:実は、常に穏やかで優しくて、慈愛に満ちている人……だとは思わずにずっとやっています。「竈門炭治郎 立志編」で描かれた胡蝶三姉妹の過去エピソードからわかるように、しのぶさんはすごく怒りやすいし、いつもちょっとプリプリしているところがあって、負けん気も強いし、何か言われたら言い返す勝気さも持っていて。外部の刺激に敏感に反応する人でもあるので、心が揺れるところがある人だと思うんです。
なので「柱稽古編」の第二話でも、たぶん本人は感情の制御を意識してやってきたんだろうなということを念頭に置いたうえで、姉さんに心のうちで助けを求めるようなところだけは、過去のしのぶさんが少し見えるような意識で演じていました。
――「柱稽古編」の台本を読んだり、演じられた上での印象をお聞かせください。
早見:「柱稽古編」は、「刀鍛冶の里編」からだいぶ空気が変わったなと感じましたし、『鬼滅の刃』のコミカルな部分が今回もしっかりエピソードの中に込められているので、『鬼滅の刃』の魅力も改めて感じていただけるかなと思いました。
あと柱を待ち望んでくださった方には楽しんでいただけるシーズンになるんじゃないかなと思います。柱稽古に参加しない彼女にも注目してほしいですね。
他の柱たちやカナヲとの掛け合いを通して感じたこととは?
――「柱稽古編」の第一話では柱合会議のシーンが描かれましたが、柱を演じる皆さんとの収録はいかがでしたか?
早見:すごく緊張しました(笑)。あれだけの人数で一斉に収録するのは久しぶりであり、珍しいくらいの状況だったので、「あっ、(以前は)これだけの人数で録っていたんだな」と思い出すと同時に、人がたくさんいて、しかも先輩たちということで、かなり緊張しました。
ただ収録が始まると、先輩たちの頼もしさとか、いてくださることで自然と空気が作られていく感覚がわかりました。内容はシリアスですが、現場は本当に和やかで、素敵な空間でした。
――収録中や休憩時などに皆さんとお話しされましたか?
早見:いろいろみんなとお話ししましたが、今回、蜜璃ちゃんがエッジの効いた動きをしていて、(アフレコ)テストが終わった後、(実弥役の)関 智一さんが「花澤(香菜)さんだけ別の作品にいるみたいだね」とおっしゃっていたのがすごく印象的でしたし、私も「そうだな」と思いました(笑)。
――今シリーズでは、継子であるカナヲとのやり取りもありますが、カナヲ役の上田麗奈さんとの収録はいかがでしたか?
早見:まず一緒になることがだいぶ久しぶりでしたし「竈門炭治郎 立志編」で描かれた三姉妹での物語はみんなで録っていましたが、今回は麗奈ちゃんと二人で収録だったんです。同じ日に柱合会議のシーンも収録しましたが、メンバーを入れ替えて収録したので、全然気持ちや空気が違いました。
カナヲと二人でしゃべっているところはカナヲへの優しい気持ちとか、核心の部分を「この人になら話せる」という信頼感もシーンの空気から感じましたし、柱合会議のピリッとした空気とはまた違う、“大事なことを大切な人に話す空気”みたいなものが流れていたなと感じました。
また、麗奈ちゃんがしのぶさんに対しての真っすぐな想いも、これまで築き上げてきた三姉妹の軌跡があるからだと思いますが、それを言葉に乗せて掛け合ってくださったので、私も引き出されるような形でやることができました。
――しのぶはカナヲと接しているときは、他のキャラクターといるときよりも壁がない気がしました。
早見:今回、セリフでもありますが、「師範ともっと稽古したい」と口にできるくらい、カナヲ自身が自我を出したり、ずっと成長や変化してきているので、そういう姿を見て、「今の状態のカナヲにだったら、自分のこともさらけ出せる」と思ったのかもしれません。