春アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』渡部俊樹さん・榎木淳弥さん・武内駿輔さん・橘 龍丸さんインタビュー|セバスチャンとシエルはどこかいちゃついているようにも見える
セバスチャンとシエルは、どこかいちゃついているようにも見える
――物語の中心であるセバスチャンとシエルへの印象も教えてください。
武内:本作のシエルは必死で頑張る場面が結構あって。セバスチャンに翻弄されつつも必死でやっている姿を見ていると、等身大の少年らしさを感じました。セバスチャンはつかみどころがない。実態があるようでない感じで、本当に存在しているのかも怪しいようなあの独特の雰囲気が魅力的です。素晴らしいキャラクターですよね。
渡部:シエルくんのセバスチャンに対する毒づき方が個人的にはすごく好きです。声が入って絵が動いて立体的になり、より印象的なものになりました。今回はそのやり取りを目の前で見させていただきましたが、「これぞ『黒執事』!」と唸りましたね。
橘:物語的にはふたりは出会ってから色々な経験をしている訳ですが、それでも関係性は変わっていない気がしました。それが作品の魅力に繋がっていると思いましたし、見ていて「『黒執事』、帰ってきましたね」とも感じました。
榎木:セバスチャンとシエルのやり取りや距離感って、絶妙なんですよね。お互いが好意を示しているわけじゃないんですけども、どこかいちゃついているようにも見えると言いますか(笑)。あの関係性はセバスチャンとシエルならではだと思います。
――今回演じるP4は、それぞれ重きを置いている分野が違う寮の監督生です。みなさんは学生時代何に重きを置いていましたか?
渡部:僕は自由に過ごしたかったですし、勉強にも積極的に取り組むタイプじゃなかったので、遊びに重きを置いていたかも(笑)。高校生になってからはダンスをやっていました。青春時代はダンスに没頭していましたね。
榎木:高校時代は部活で剣道に打ち込んでいました。古の体育会系の部活で、正直すごくキツかったですね。先生を端っこに追い込むまで終わらない稽古など、だいぶしごかれました(笑)。今となってはいい思い出です。
橘:僕は小さい頃から大衆演劇で活動していて転校も多かったので、あまり学校生活を経験していなかったので、そういう意味では学校生活とは離れてしまいますが、仕事に重きを置いていたかもしれないです。早くフリやセリフを覚えたり、新しい台本を書いたり、セッティングも考えたりしなきゃと思ったり…。そういう生活でした。
――学校生活に憧れたことはなかった?
橘:仕事をしている生活が普通だったので、当時は憧れることはなかったです。東京に出てきてサークルや部活動、文化祭とかをみんなは経験してきたんだと改めて知って、むしろ今はやってみたかったなと思うことがあります。でも、本作のように、声優の仕事は学生のキャラクターを演じる機会もあるんですよね。そういう意味では、今が青春と言えるかもしれません。
武内:僕は中学生の頃に養成所に入って、高校生ぐらいからもう働いていたので、学校生活の思い出があまりなくて。でも、友達との時間はとても大事にしていましたね。放課後は時間があれば誰かと遊んでいましたし、ゲームセンターに行ったり、自転車で行ける限りの場所まで行ったりと、色々とやっていました。
『黒執事』は意外とコメディ要素が多くてユーモアあふれる作品でもある
――セバスチャンは何でもこなせる完璧に近い執事ですが、みなさんはこれまでの人生で「完璧だな」と思った人物に出会ったことはありますか?
武内:僕は画家の東園基昭さん。明治天皇の玄孫に当たる方なのですが、決してその立場に驕ることもなく、僕みたいな若者の話も楽しそうに聞いてくださって。ファッションは最新のストリートファッションみたいな感じで、学生時代はスケボーをされていたらしいんです。一方で日本の伝統芸能についての造詣が深くて。日本の伝統事は紙に残さないで口伝えで文化を継承させる「口伝」について僕は教えていただいたんです。人柄も素晴らしくて、神様に近い人だと思いました。一緒にいるだけでものすごく勉強になりましたね。
橘:僕は諏訪部順一さん。この業界に入って右も左も分からない時に、諏訪部さんと作品関連のラジオをやらせていただいたことがありました。諏訪部さんはとても博識な方で、どんな話題であっても何かしらの知識を持っているんです。どのジャンルでも話を広げられる話術が「すごい!」と思いました。お芝居も素敵ですし、大先輩ですが物腰柔らかくて人柄も素晴らしくて。僕もこうでありたいなと思いました。
榎木:僕は大学時代に所属していた剣道部の師範です。剣道の最高段位である8段で、皇室の方を護衛していた皇宮警察だったのですが、もう80歳ぐらいのおじいちゃんで。身長は180cmくらいあったのですが、動きはゆっくりなんですよ。だから稽古でも「余裕だろう」と思ってぶち当たってみると1ミリも動かない。打ちどころもすごく上手ですし、体当たりしてもびくともしないんです。むしろ笑っていました。本気で挑んだのに、一度も動かせたことがなかったです。すごく優しくて、人格者でもありました。あのときは「達人っているんだな」と思いましたね。
渡部:僕はみんなよりも身近な人になってしまうのですが、パッと思い浮かんだのは母親。完璧とはちょっと違うかもしれないですが、自分のなかで人として一番尊敬できる大人ですね。自分が大人になってから、よりすげえなと思うことが増えました。
――最後に「寄宿学校編」の注目ポイントを教えてください。
渡部:たくさんありますが、やっぱりP4をとにかく見て欲しいです。例えば初登場のシーンは「こういうの好き!」と思ってもらえるはずなので、注目してください。セバスチャンとシエルという2人がいてこその『黒執事』ですが、そこにP4が加わることでどういう風が吹くのか、作品がどう転がっていくのか。楽しみにしていてください。
橘:シリアスのなかにちょっとおちゃらけたパートもあって、メリハリが効いています。過去に登場したキャラクターに新キャラクターが加わって、どんな変化があるのか。変わってよかったこと、変わらなくてよかったもの、どちらも楽しめる作品に仕上がっていると思いますので、ぜひご覧ください。
榎木:「寄宿学校編」ということで、学校内の描写がすごく多いと思います。イギリスの寄宿学校独特の雰囲気がどういう風に表現されるのか。このインタビューの段階ではまだ僕たちも色が付いた映像を見ていないので、オンエアが楽しみです。
武内:本作の魅力のひとつは人間ドラマ。原作の素晴らしい画力で描かれたキャラクターたちの表情感が映像化されて、コマとコマの間がどういう風に補完されるのか。アニメならではの構図に期待していただければと思います。また『黒執事』って、意外とコメディ要素が多くてユーモアあふれる作品でもあると僕は思っていて。重たい話もありますが、それさえもちょっとおかしく見えてしまうような謎の魅力がある気がします。まさに悪魔的な魅力とでも言いますか。真面目な場面すら滑稽に見えてしまうときがあるので、セバスチャンとシエルの会話から、それを感じて欲しいなと思います。
[取材&文・M.TOKU / 写真・MoA]
『黒執事 寄宿学校編』作品情報
あらすじ
名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負っていた。
ある日、シエルの元に女王から、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通う親族・デリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届く。
かくしてセバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入する。事件の真相とは…?
キャスト
(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Black Butler