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『キングダム』成蟜(せいきょう)とは?彼はどうして成長できたのか?

『キングダム』成蟜(せいきょう)とは? “まさか君に泣かされる日が来ようとは”。冒頭と最後のイメージが最も変わる人物、成蟜。彼はどうして成長できたのか?

『キングダム』は、中国の戦国時代末期(紀元前245年頃から)を舞台にした、週刊ヤングジャンプで連載中の原泰久先生の漫画作品です。主人公は、中華統一をめざす秦王 嬴政(えいせい)と、大将軍を目指す信(しん、李信)。彼らを取り巻くたくさんのキャラクターも魅力的です。
 
ここでは、秦王 政の弟である、異母弟 成蟜をピックアップします。
 
成蟜の特徴といえば、初登場時と最後のイメージががらりと変わることです。
 
なぜ彼は変わったのか? その理由を探っていこうと思います。
 
 

目次

『キングダム』成蟜とは

作品の序盤で“The悪役”という役どころで登場する成蟜ですが、ここでやっつけられて終わりではありません。重要な場面で再登場し、読者や視聴者を涙させる最期を迎えるのです。

涙の理由は人それぞれといえど、一言で表すとしたら、「彼が立派な人間的成長を遂げて”いい奴”になったにもかかわらず、これからという時に死んでしまう無念さ」からではないでしょうか。また、妻 瑠衣(るい)の慟哭も、涙腺崩壊に拍車をかけます。

アニメ版で成蟜を演じていらっしゃるのは、宮田幸季さん。映画版では、本郷奏多さんが演じていらっしゃいます。

さて成蟜の変化・成長の理由を知りたいわけなのですが、これを知るためにまずは作品を振り返り、彼の登場シーンを順番に見ていきたいと思います。

成蟜の登場シーン①作品冒頭の「王弟反乱」

まずは物語最初のエピソードとなる「王弟反乱」。この王弟こそが、成蟜です。

「王弟反乱」というのは、成蟜が左丞相(さじょうしょう)の竭氏(けっし)を味方に、2年前に即位した政を玉座から追い払い、亡き者にしようというものです。

もう一人の丞相、右丞相の呂不韋(りょふい)は、趙に遠征中で王都 咸陽(かんよう)にはいません。反乱に直接かかわってはいませんが、政が死ぬことを期待している人物です。つまり、王宮内のほとんどが成蟜側についているのです。

圧倒的に不利な政は、凶刃から身を守るために数少ない臣下とともに咸陽を脱出。潜伏先の村で、信と河了貂(かりょうてん。アニメ版 釘宮理恵さん、映画版 橋本環奈さん)と出会います。こうして、物語最初のエピソード、玉座を取り戻す戦いが始まるのですが、この“ラスボス”こそが成蟜というわけです。

この時の成蟜は、まさに絵に描いたような悪役です。玉座で、頬ひじをつき寝そべりながら命令を出す姿は、竭氏も含め臣下たちを心から見下していることがわかります。一方の臣下たちも、ただゴマをすっているだけで、成蟜を心から慕ってはいない様子です。

彼は、なぜわざわざ反乱を起こしたのでしょうか?

考えられる理由を、以下に2つ考えてみました。

①王になれるのはそれに相応しい血統の者だけだ!

政の母は邯鄲(かんたん、趙の王都)の踊り子だったのに対し、成蟜の母はどこかの王族または王族に近い家の出です。血統を重んじる成蟜にとっては、庶民の卑しい血の混じる政が王だなんてもってのほか。自分こそが王に相応しいと思っているのです。

②政への嫉妬

まだ荘襄王(そうじょうおう、子楚。政と成蟜の父)存命中の折、政一派と成蟜一派が廊下ですれ違う場面があるのですが、政の周囲には忠誠を誓う有能な者たち、一方の成蟜には心の奥で舌打ちをしながら媚びへつらう無能ばかりです。

太子(たいし、いわゆる皇太子)に相応しいと認めざるを得ない政の人間性を見せつけられた成蟜は、悲しいやら悔しいやらでショックを受けます。これが、政に激しい敵意を向ける理由の一つではないでしょうか。

成蟜の登場シーン②呂不韋打倒のため政と手を組む

「王弟反乱」で敗北を喫した成蟜は幽閉され、その間の彼の様子は作品中に描かれていません。

幽閉生活が3年経った頃、政と対面するシーンで、久しぶりに登場します。この時の彼の様子を見ると、政への敵意は残りつつも、臣下への奢った態度を改めていることがわかります。政に対して「打倒呂不韋に協力する その代わりにこの城に幽閉されている成蟜一派全員を自由にしろ」という申し出を何度も送っていたことも明かされます。

宮廷では、政と呂不韋の権力争いがより露骨なものになっています。呂不韋は相国(しょうこく、丞相の上の地位でこれまで空席だった)となり、宮中の権力をほしいままに。不利な立場の政が、成蟜の幽閉先に出向いたことで実現したのが、この対面なのです。

政  「俺にお前の力を貸せ 成蟜」
成蟜「イチイチ頼むな 初めから これはお互いに感情を抜きにした大人の取り引きだ」
「俺は純血ではない身でありながら玉座につく嬴政がヘドが出るほど許せぬが 
それ以上に庶民の分際で権力の座にあるあの男の方がさらに我慢ならぬ」
「王族として王国の秩序を正すのは義務だ あのタヌキを叩き落とすぞ」

こちらの、成蟜の「大人の取り引き」「王族として」という言葉から、その成長が感じとれるのではないでしょうか。

その後の「対 合従軍戦(秦vs.趙・韓・魏・楚・燕・斉)」の際、蕞(さい)で想定外の戦が起きたことを受け、ここに政自らが出陣する場面にも注目です。なんと、玉座には成蟜が座り、呂不韋を牽制。玉座を守ります。これは、政が成蟜に留守を頼んだからでもあるのですが、その頼み方にも請け方にも熱い信頼が感じられます。

完全に2人の仲が良くなったというわけではないのでしょうが、お互いをビジネスパートナーとして認め信頼しあっているといったところでしょうか。

成蟜の登場シーン③「屯留(とんりゅう)の変」


相変わらず呂不韋vs.政(成蟜含む)の政争が続く中、成蟜の妻 瑠衣(るい)が屯留にある実家(屯留の統主の家)へ一時帰宅するのですが、なぜかこのタイミングで、趙がこの屯留を攻めてきます。

そこで成蟜は、自ら兵を率いて瑠衣を救うべく出陣。その凛々しい姿に、老齢の教育係が目を細めます。

成蟜は趙軍をひとまず退け入城に成功。しかし、屯留の新代官 蒲鶮(ほかく)によって、地下の牢獄に入れられてしまいます。この蒲鶮、なんと、成蟜を首謀者としてでっち上げ秦に謀反を起こします。

この計画の本当の首謀者、それはもちろん成蟜ではありませんし、実は蒲鶮でもありません。呂不韋なのです。つまりこの変は、秦の政権争いの一部。このからくりに気づいた政は、すぐに前線の飛信隊(ひしんたい、信の率いる部隊、当時の合計三千人)を差し向け、成蟜の救出を図ります。

しかし——。

成蟜の死のシーンの詳細は、ぜひ原作やアニメにて! 彼の戦いぶりと妻 瑠衣への想いが本当に格好いいです!

読者や視聴者の多くから上がった、“まさかおまえに泣かされるとは思わなかった”という叫びは、これからこのシーンを読む方にも、きっと分かっていただけると思います。登場時には思いもよらなかった成長を遂げたのに、切ない最期となってしまった成蟜。もっと生きていて欲しかったです。

最後に、成蟜の死に際に間に合った、信の心の台詞を。

「あん時は本当に“一人”って感じだったが あれからお前も大きく変わってたんだな 成蟜」

<次ページ:成蟜の成長のきっかっけ>
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