「友達」にはグイグイ、それ以外にはスン……明確に線引きをするのえるに共感!──TVアニメ「ワンルーム、日当たり普通、天使つき。」リレーインタビュー 第4回:和泉のえる役 大西沙織さん
ごく普通の高校生・徳光森太郎と天界からやってきた天使・とわの同居生活が描かれるTVアニメ『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』(以下、『天使つき。』)。天使、雪女に続き、吸血鬼のリリーシュカが登場し、森太郎の周辺はますます賑やかになりました。
本作の魅力を掘り下げるリレーインタビュー第4回は、雪女・和泉のえるを演じる大西沙織さんが登場。クールビューティー、でも本当は友達づきあいが苦手という彼女をどのように演じているのか、ここまでのエピソードを振り返っていただきました。
前回はこちら
のえるにはずっと共感しながら演じていました
――大西さんは、matoba先生原作のTVアニメ『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』に、ベルゼブブ役で出演されていました。matoba先生の作品は本作で2作品目の出演となりますね。
大西沙織さん(以下、大西):そうなんです。体感だとそんなに時間が経っていない印象だったのですが、いつの間にか『天使つき。』も長期連載になっていたので、時の流れの早さにびっくりしました。アニメはもう5年以上も前だそうです!
2作品連続でアニメ化されるというのは、やっぱりmatoba先生が作る物語の面白さ、世界観の素晴らしさがしっかりファンの方に伝わっているからなんだろうなと思います。
――大西さんが演じられるのえるの印象についてはいかがでしたか?
大西:のえるはオーディション原稿に抜き出されていたセリフだけでも面白かったんです。感情が高ぶって吹雪いてしまったときのシーンや、森太郎に友達としてグイグイ迫っていくときのシーンなど、ピックアップされていたシーンがものすごい振れ幅だったので、この子をもっと知りたい、演じてみたいと思いました。
――のえるは「両極の女」と本編でも表現されているくらいですからね。
大西:コミカルに描かれていますが、スペック自体は相当高いんです。学校での立ち位置でいえば、美人でスタイルもいい高嶺の花。そのうえ人と話さないから、「氷の女王」と呼ばれるクールビューティーとして扱われている。しかも正体は雪女で、感情のコントロールが苦手だから友達づきあいが下手という不器用な女の子。一見すると、設定が盛り盛りのヒロインなんです。
でも、私が一番魅力を感じたのはまっすぐなところでした。友達というものに焦がれ、友達ができたらまっすぐに突き進むけど、でもうまくこなせなくて苦しんでしまう。完璧ではないところに人間味やかわいらしさを感じました。
――森太郎とそれ以外の人間に対する対応の違いも面白いところです。
大西:森太郎か森太郎以外かはのえるの中ではっきりしている部分なので、私もしっかり意識するようにしています。それは別に好きとか嫌いというわけではなく、森太郎は友達だから頭ひとつ抜けているというだけなんです。感情がコントロールできず、友達とうまくいかなかった子どもの頃のトラウマがあるので、のえるにとってはその「友達かどうか」の境界線がとても重要で。「友達かどうか」によって人間関係が大きく左右されるんです。
――そういう意味では、とても繊細なキャラクターですが、演じやすさとしてはいかがでしたか?
大西:のえるはとても演じやすいタイプでした。とわやつむぎは友達の友達、自分の友達ではないけれど大事な友達が心を許している人だから秘密を共有できるし、信頼もできる。でも、バイト先の同僚や店長は友達でもなければ森太郎と密に関わっているわけでもなさそうだから、基本的にスンと塩対応。森太郎か、森太郎ではないか、あるいは森太郎の知り合いかという明確な線引きがあるので、とてもやりやすかったです。
――友達の友達にはそれなりに愛想がいいというか、とわに対しては第4話でかわいいと興奮していましたね。
大西:とわについては森太郎の知り合いという理由に加えて、天使だからという理由も大きいと思います。のえるは漫画やアニメにたくさん触れてきた子ですし、本人も人間とは違う存在なので、天使という存在自体に興味があるというか。
――そんなのえると性格的に似ている部分や逆に全然違うと感じるところはありますか?
大西:演じていてかなり性格が似ているなと思いました。私ものえるのように線引きが激しいんです。仕事を始めたばかりの頃なんて、みんな敵だと思っていたくらいなので(笑)。
――ええっ!?
大西:今はだいぶ落ち着きましたよ! でも、今では仲のいい声優さんも初めて会ったときには「なんだこの人は」と思っていましたし、もうハリネズミのようでした。最初から毛を逆立てていて、ずっと警戒しているような(笑)。でも、いったん仲良くなったら急激に距離を縮めていくんです。まさにのえるのように友達かそうではないかで線引きするようなタイプでした。
もう一つ、わかるなぁと思ったのが「友達の友達」への接し方です。私も友達の友達という相手にどう接していいのか困ってしまうタイプで、友達と同じように踏み込んでいいのか、遠慮した方がいいのか判断に迷うことがあります。まったく知らない方だったら初めましての対応でいいと思うのですが、ちょっと知っている顔見知りくらいの方だとどういう接し方が正解なのだろうと考えてしまって。のえるにはずっと共感しながら演じていました。
――友達と認識した人にはグイグイいくんですね。
大西:そうなんです。そこものえると一緒で、友達と認識した人、友達になりたいと思った人にはグイグイいきます。それで失敗することもありますが……。
――あるんですか!
大西:それこそ、しう役の久野美咲ちゃんがそうです。「仲良くなりたい!」と思ってグイグイいったら、最初はすごく引かれてしまって(笑)。一回、スンってされたんです。そこから徐々に仲良くなっていって、今でこそ二人でご飯に行ったり、悩み相談をしたりする仲になりましたが……。のえるは距離感を間違えないように気をつけてほしいです!
――(笑)。さて、第5話Bパートではのえるがクローズアップされました。こちらのエピソードの感想はいかがでしたか?
大西:第3話で森太郎と友達になれたのに、なかなか友達らしいことができないうえに、バイト先では距離感をつかめずにいたのえるが、放課後の買い食いというようやく友達らしいことができました。3話、4話と引っ張っただけあって、本当によかったねとホッとしています。
――そのときに二人で分け合ったチューブアイスのフタを大事そうに持ち帰ったのが、また……!
大西:めちゃくちゃかわいかったです!! 現実的に考えたら絶対にポッケがべちょべちょになるから、洗って持って帰ったほうがいいんです。でも、それは重要なことじゃなくて。のえるにとって大事なのは、何よりあのフタを持ち帰ることなんです。私たちだったらゴミになるようなものでも、友達と初めて買い食いして、アイスを分け合った思い出がつまっているので。一生あれを部屋に飾っておくんだろうな、なんて想像しながら見ていました。
――のえるにとっては一生の宝物ですよね。
大西:駆け足でコンビニに入って、出てきたときにぜえぜえと息が上がっていたので、たぶんコンビニの中を急いで探しまわったんでしょうね。それぐらい森太郎と一緒にアイスを食べたかったんだというのが伝わってきて、キュンとしました。
――別れ際の「ありがと」もすごく爽やかで、笑顔も素敵でした。
大西:氷の女王と呼ばれていたのは、吹雪かないように一生懸命感情を抑えていただけで、本来はものすごく表情が豊かなんです。あんなに楽しそうにしているのえるを見ると、森太郎に出会えて本当によかったねと思います。
――ちなみに、大西さんからご覧になった森太郎の印象はいかがですか?
大西:あんな人がいたら好きになっちゃいますよ!
――そうなんですか(笑)。
大西:もし私自身が作品世界に入り込んでキャラクターとして動いていたらわかりませんが、友達のいないのえるは男の子と話す機会もなかったと思うので、自分を変えようと一歩踏み出した先に森太郎みたいな男の子がいたら、絶対に好きになるような気がします。
ただ、着替えていたところに森太郎が入ってくるハプニングがなかったら、きっと森太郎に対しても氷の女王で通していたと思うんです。あの失敗があり、それを受け止めてくれたのが森太郎だったからこそ、氷が解けたともいえるので、そういう意味でも森太郎はのえるにとって大事な存在だし、その出会いは人生の分岐点といっても過言ではないと思います。
――とわという天使の存在があるとはいえ、雪女であることを疑ったり、からかったりせず、正面から受け入れられるのも森太郎の度量の広さですよね。
大西:matoba先生の作品には、相手を否定せず、受け入れて、そこからどうするのかを一緒に考えてくれる純粋で器の大きい男の子がいるというイメージがあるんです。森太郎もまずは相手を受け入れてくれますよね? それが本当に素敵だなと思いますし、みんながそういう男の子だったらいいなって思います!(笑)
――森太郎役の梅田修一朗さんとの掛け合いはいかがでしたか?
大西:実は、梅田くんとは彼がデビュー間もない頃にご一緒させていただいたことがあって、そのときはずっと緊張した様子だったんです。今回、久しぶりにお会いしたら、当時よりもぐっと大きくなっていて、成長を見守るお母さんのような目線で見ちゃいました(笑)。
以前の現場だと少しセリフがずれてしまったときに、慌ててしまうところがあったんです。新人だから仕方ないのですが、今はもう全然動じることなく、ちゃんとその役の感情をつないでいけるようになっていて。「大きくなったね~」といったら、「大きくなりました」と返してくれたのが嬉しかったです。
――では、恒例の「最近見た天使な人、もの、こと」を教えていただけますか?
大西:我が家のむぎまるという男の子の猫がかわいくて仕方ないです! いつだってかわいい、いつだって天使なんです。おトイレしていてもかわいいし、ご飯を食べていてもかわいいし、毛玉を吐いている姿ですら天使に見えます。私にとってのとわちゃんのような存在です。掃除もしてくれないし、ご飯も作ってくれませんが、それでも天使は天使です!
――ありがとうございます。では最後に、第9話以降で期待してほしいポイントを教えていただけますか。
大西:のえるとしては、ぜひ第10話に注目していただきたいです。のえるにとって友達が重要なキーワードだとお話ししましたが、友達というものに改めて向き合うのが第10話なので、私自身も大切に演じさせていただきました。楽しみにしていてください。
TVアニメ『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』作品情報
放送・配情報
<放送>
4月6日(土)より放送開始!
TOKYO MX:4月6日より 毎週土曜日22:00~
関西テレビ放送:4月7日より 毎週日曜日26:29~
テレビ愛知:4月9日より 毎週火曜日25:30~
BS日テレ:4月6日より 毎週土曜日22:30~
AT-X:4月7日より 毎週日曜日21:30~
※【リピート放送】毎週水曜日29:00~/毎週日曜日6:30~
北海道テレビ:4月10日より 毎週水曜日25:55~
新潟テレビ21:4月15日より 毎週月曜日25:15~
秋田朝日放送:4月15日より 毎週月曜日25:20~
テレビ愛媛:4月15日より 毎週月曜日25:30~ ※初回のみ25:45〜の放送となります。
長崎文化放送:4月24日より 毎週水曜日25:18~
YTS山形テレビ:4月25日より 毎週木曜日25:40~
北陸朝日放送:5月11日より 毎週土曜日26:30~
東日本放送:5月17日より 毎週金曜日26:25〜
<配信>
■ABEMAにて3月30日(土)より毎週土曜日22:30~
地上波1週間先行・単独最速配信!
■dアニメストア:4月6日(土)22:00~配信開始
■4月8日(月)22:00~順次配信開始
【見放題サイト】
マンガUP!/Prime Video/ニコニコチャンネル/ニコニコ生放送/バンダイチャンネル/Hulu/FOD/DMM TV/J:COM STREAM/auスマートパスプレミアム/milplus/TELASA/U-NEXT/アニメ放題/Lemino/ひかりTV/SPOOX/TVer
【都度課金サイト】
Google TV/YouTube/クランクイン!ビデオ/Happy!動画
※放送・配信日時は変更になる場合があります。
イントロダクション
高校1年生になり、一人暮らしを始めた徳光森太郎。
ある日、ベランダを覗くと清楚で可憐な女の子「とわ」が眠っていた。
どこか天然だけど、間違いなくいい子な彼女。
その正体は――「天使」だった。
行くあてもないとわと始める、
とっても甘くて、とってもピュアなワンルーム生活。
森太郎は、無垢な天使と少しずつ心を通わせていくけれど……。
さらなるワケあり少女が次々と現れて!?
天使と高1男子が織りなす癒やされ同居ラブコメ、開幕!
スタッフ
原作:matoba(掲載 月刊「少年ガンガン」スクウェア・エニックス刊)
監督:大西健太(オクルトノボル)
シリーズ構成・脚本:ヤスカワショウゴ
キャラクターデザイン:上武優也
色彩設計:吉田隼人
美術設定:海津利子(スタジオちゅーりっぷ)
美術監督:根岸大輔(スタジオちゅーりっぷ)
撮影監督:青木睦希(旭プロダクション)
編集:本田優規(旭プロダクション)
3Dディレクター:中島 豊(旭プロダクション)
音楽:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
音楽制作:日本コロムビア
音響監督:中谷希美
音響制作:ブシロードムーブ
アニメーション制作:オクルトノボル
オープニングテーマ「君色のキセキ」/小倉 唯
エンディングテーマ「Sunny Canvas」/サンドリオン
キャスト
徳光森太郎:梅田修一朗
とわ:遠野ひかる
堤 つむぎ:集貝はな
和泉のえる:大西沙織
リリーシュカ:小倉 唯
蔓深ひすい:高尾奏音
関連CDはこちら
Blu-rayの購入はこちら
原作情報
原作コミックス「ワンルーム、日当たり普通、天使つき。」
著:matoba
(ガンガンコミックス/スクウェア・エニックス刊)
1~6巻 好評発売中!
最新7巻は4月12日(金)発売!