『夜のクラゲは泳げない』連載第8回:劇中歌&EDテーマ 作詞・作曲・編曲・40mPさん|クリエイターを志す者なら、JELEEの4人の誰かに自分を重ねられる
オリジナルTVアニメ『夜のクラゲは泳げない』。監督:竹下良平 × 脚本:屋久ユウキ × アニメーション制作:動画工房が贈る青春群像劇。
第8話は、絆が深まってきたJELEEの初ライブが描かれました。ファンアートによってファンと繋がれた無観客ライブの美しさ、そして「青一色」のリンク感も素晴らしかったです! アンチコメントも押し流すほどインパクトのある、JELEEだからこそ実現できたライブでした。
連載第8回は、そんなJELEEの楽曲やEDテーマを手掛けている40mPさんに、JELEE楽曲について、深掘っていただきました。
前回の記事
クリエイターを志す者なら、JELEEの4人の誰かに自分を重ねられる
ーー『夜のクラゲは泳げない』の物語、そして放送中のアニメを見ての感想をお願いします。
40mP:『ヨルクラ』は万人が楽しめる物語だと思うのですが、やはり特にクリエイターにとって共感する部分が多い作品だと思いました。
おそらくクリエイターを志す人なら誰しもJELEEの4人の誰かに自分を重ねて、気がつくと誰かを好きになっているのではないでしょうか。
僕はと言うと、自分に自信が持てず、でも他人に認めてもらいたいまひるの気持ちが痛いほどわかり、序盤ではちょっと同族嫌悪になってしまうくらいでした。そして、ブレずに自分の気持ちを貫く花音のことが眩しくて惹かれます。
そんな人間模様の中で補い合いながら作品を作り上げていく。モノを作るのって大変で難しくて辛いこともあって、でもたまらなく楽しいんだ、ということを改めて教えてくれる物語です。
ーー『ヨルクラ』のプロジェクトに初期から参加されていたそうですが、他ジャンルの方とのクリエイティブな作業はいかがでしたか?
40mP:このプロジェクトで自分が最初に担当したのは、花音がサンドー(サンフラワードールズ)時代に「橘ののか」として手がけた「カラフルムーンライト」の作詞で、これが一番大変で、かつ重要な作業でした。
まひるが描いたクラゲの壁画に出会った花音。その心情を歌詞にしようと書き始めたのですが、花音がいつクラゲの壁画に出会い、そのとき彼女はどんな境遇だったのか。まだ当時のシナリオや設定では触れられていなかったため制作サイドへ質問したところ、後々のストーリーにも必要になるとのことで、花音とクラゲの出会いをとても丁寧に描いたプロットを用意してくださいました。
物語のために曲を書き、曲の説得力を高めるためにさらに物語の設定を深める。そんなキャッチボールは今まで経験したことがなかったので、とても感激でした。
ーー楽曲を制作する際、JELEEの一員として行うのは、普段の創作活動とどんな違いがありましたか?
40mP:自分の普段の創作、たとえばボカロ曲を作る際などはできるだけ過去作と違うことをするように心がけているつもりですが、JELEEのプロデュースではいかにJELEEとしての一貫性を持たせるかを意識しました。
サウンドに関しては、めいのピアノをキウイの打ち込みトラックが彩り、花音のギターがリズムを牽引する、という構成をどの曲もルールとして共通するようにしています。
作詞についても、普段自分の作品では誰に対しての歌詞かはあまり限定し過ぎないようにしているのに対して、JELEEの楽曲では花音から誰に向けた歌なのかが物語に触れた人には具体的に想像できるような書き方をしています。
JELEEとはどんなアーティストなのかを限られた曲数の中で表現するのは、難しさもありつつとてもやり甲斐のあるものでした。