『怪獣8号』怪獣9号役 吉野裕行さんインタビュー|「僕の中で作りたかったのは、違和感、不快感。そういうものをちゃんと表現したい」
不安定なところはもしかしたら共通点かも
――こんなこと聞くのは申し訳ないのですが、吉野さんと9号の共通点、とかって……。
吉野:(笑)。さすがにちょっとねえ……あるかなあ。声が似てます、くらいしか言えない(笑)。
――そうですよね……!
吉野:あ、でも不安定な部分は共通点かもしれないですよ。僕が不安定なものを好んでいるのって……さっきも言った通り、同じ芝居をずっとやっていると飽きてしまうですよ。それは課題だなって思うんですけども。
いろいろなタイプの声優さんがいるじゃないですか。例えば、四ノ宮功を演じられている玄田(哲章)さんは、ものすごく力強い声で。突飛なキャラクターを演じるとなれば違った声になりますが、ひとつ筋が通っている印象があります。そして、それを求められれば、それをずっとできる。そういう方って思うんですけども……。僕の場合は、ずっと、同じ声を100%保っていく技術はないなと思うんです。
限られた楽器の中で、怪獣9号をやったり、ヤッターマン1号をやったりしていて。その2つってまったく違うキャラじゃないですか。でもその異なるキャラクターを演じるのも声優の仕事でもあって。
ちょっと極端な例ですけど、僕の場合は「ずっとヤッターマンみたいなキャラクターをやってね」って言われてもできないと思う。それは他のキャラクターにもしかりで。できることなら、いろいろな役をやりたいんですよ。
だから毎回、違うものを作る実験を繰り返していく。それが楽しい。違う思考を持った、違う別のキャラクターに会うほうが面白いかなって。その一環しない、ちょっとふわふわしたところは、もしかしたら共通しているのかなと。
でもまあ、それもあくまで僕が作った9号像ですけどね。読み手にとっては、違うイメージがある人もいるでしょうし。
――吉野さんは実際にいろいろなキャラクターを演じられていて。1日にいろいろな人格になるわけで。素朴な疑問ではあるのですが、その切り替えは難しくはないのでしょうか。
吉野:ああ、確かに……言われてみれば。声の限界はあるんですよ。例えば、がなるようなキャラクターのあとに、細いキャラクターの場合だと、喉の調整が難しいなとか。そこは気を使うところですけど、全然切り替えられます。声優ですから。
――いろいろなお話を聞かせていただきありがとうございます。あっという間に時間になってしまったのですが、今後の放送で楽しみにしておいてもらいたいことはありますか。
吉野:ものすごく人気の高い作品ですけど、まずはアニメを最後まで見てもらいたいなって思っています。漫画は漫画ですし、アニメはアニメで、それぞれ違った魅力があるものですから。だからそれを楽しんでもらえたらなと。
これからキャラクターも怪獣もたくさん出てきますから、皆さんは楽しいところだらけだと思いますよ。
[インタビュー&文・逆井マリ]
作品概要
あらすじ
怪獣を討伐する「日本防衛隊」への入隊を志していた日比野カフカは、いつしかその夢を諦め、怪獣専門清掃業で働いていた。
「二人で怪獣を全滅させよう」
かつてそう誓い合った幼馴染の第3部隊隊長・亜白ミナの活躍と、防衛隊を目指す後輩・市川レノとの出会いをきっかけに再び夢を追い始めるカフカ。
しかしその矢先、謎の小型怪獣によって強大な力をもつ“怪獣に変身”してしまう!
「怪獣8号」と名付けられ日本中から追われる存在になったカフカは、それでも防衛隊員への夢を諦めず、怪獣災害に立ち向かうのだった――。
キャスト
(C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社