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アニメ映画『デデデデ』シリーズ構成・脚本、吉田玲子インタビュー

本作に影響を与えた人物のひとり!? 偉大な脚本家が語る本作のテーマとは|『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』シリーズ構成・脚本、吉田玲子さんインタビュー

第66回小学館漫画賞、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞など多数の受賞を果たした浅野いにお先生の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(以下、デデデデ)』がアニメ映画化!

W主演に幾田りらさん、あのさんを起用し、脇を固める魅力的なキャラクターたちを種﨑敦美さん、入野自由さん、など豪華声優陣が演じる本作は、前章が大ヒット公開中、続く後章が大ヒット公開中です。

ある日突然、侵略者が襲来した世界で、主人公の小山門出と中川凰蘭が友人たちと日常生活を送りながらも、徐々にサスペンス的な様相が見えてくる不思議かつ巧妙なストーリーと、浅野先生による独特な表現・セリフが特徴的な本作がどのように映像で表現されているのか、巷で話題を呼んでいます。

このたび、アニメイトタイムズでは本作のシリーズ構成・脚本を担当した吉田玲子さんへインタビュー!

浅野先生本人が、オファーをしたという吉田さんは、数々の名作TVアニメ・劇場版の脚本や構成を手掛ける日本を代表する脚本家のひとり。

吉田さんの実際のお仕事の工程や、執筆の際に意識していること、作品や浅野先生に対する印象までたっぷりと語っていただきました。

吉田さんが『デデデデ』から受け取ったもの、吉田さんの"絶対"とは?

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3年前の8月31日。突如巨大な『母艦』が東京へ舞い降り、この世界は終わりを迎えるかにみえた──その後、絶望は日常に溶け込み、大きな円盤が空に浮かぶ世界は今日も変わらず廻り続ける。友情と初恋と終末と・・・2人の少女のディストピア青春日常譚!!作品名デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション放送形態劇場版アニメスケジュール前章:2024年3月22日(金)後章:2024年5月24日(金)キャスト小山門出:幾田りら中川凰蘭:あの栗原キホ:種﨑敦美出元亜衣:島袋美由利平間凛:大木咲絵子竹本ふたば:和氣あず未田井沼マコト:白石涼子大葉圭太:入野自由小比類巻健一:内山昂輝渡良瀬:坂泰斗中川ひろし:諏訪部順一小山ノブオ:津田健次郎イソベやん:杉田智和デベ子:TARAKO議長:竹中直人尾城:沢城千春須丸光:大西沙織宝田:松田健一郎三浦太郎:河西健吾荻野:こばたけまさふみスタッフ原作:浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊監督:黒川智之シリーズ構成・脚本:吉田玲子キャラクターデザイン・総作画監督:伊東伸高美術監督:西村美香音楽:梅林太郎アニメーション制作:Production+h.製作幹事・配給:ギャガ製作...

キャラクターたちの生活をしっかりと描いた作品

ーー『デデデデ』の前章が2024年3月22日に公開され、原作ファンだけでなく原作を読まれていない観客のみなさんからも非常に好評です。吉田さんのもとにも感想は届いていますか?

吉田玲子さん(以下、吉田):はい。仕事関係でお目にかかる方からも時々感想をいただきます。嬉しい限りです。

ーー浅野先生によると、本作は、吉田さんが過去に携わった作品からも影響を受けているそうですね。そういう経緯もあって、脚本を担当することになったのでしょうか?

吉田:本作のアニメ化が決まって、脚本家を決める際に浅野先生が「吉田さんに一番最初にオファーしていただけますか?」と仰ってくれたみたいです。

ーー吉田さん的にはこのオファーの意図と言いますか、なぜ吉田さんなのか納得する部分もあったのでしょうか?

吉田:原作を読ませていただいくと、門出や凰蘭たちを軸にストーリーが進行しています。

SF設定や、それに伴う事件や経緯など色々ありますが、ラクターたちが、その世界に生きている感じがしたので、まずは門出と凰蘭のストーリーを中心にして映像化を望まれているんだろうなと思いました。

青春物をこれまでも手掛けてきたのでお声掛けいただいた部分はあるのかもしれません。

ーー原作をお読みになった際、彼女たちへの印象はいかがでしたか?

吉田:門出や凰蘭たちの周辺の空気が、他の浅野先生の作品と比べてポップでいきいきとしている感じがあって。等身大でリアルな女の子たちを意識して描いていらっしゃるなと。

壊れかけた世界の中でも、友達がいて好きな人がいて、毎日があって。ゲームをしたり、ご飯を食べたりすることもあって。そういう生活の実感をしっかり描いた作品だなと思います。

シリーズ構成・脚本のお仕事とは?

ーーその世界観が吉田さんの脚本によってアニメーションに落とし込まれていくわけですが、シリーズ構成・脚本のお仕事としては、どのようなことから始めるのでしょう?

吉田:まずは構成です。この作品をどういう風にアニメーションとして組み立てていくのか。全体の流れを確認して、たたき台を作るところから始めていきます。

映像作品は時間が決まっています。映画ですと大体2時間くらいになりますよね。その尺で入る分量の判断、また、本作は2部構成になりますので、どういう風に配分するのかを決めます。

今回は原作がありますので、それをどう構成していくか、という作業が主です。

ーー今回は、原作コミックスで後半に描かれるエピソードを前章の後半に持ってきているのが印象的でした。

吉田:それは映画として、全体のバランスを考えての判断です。後半に膨大な情報を詰め込むと、2部構成としてのバランスが崩れてしまうかもしれないなと。

また、ここから先の展開は、門出と凰蘭の関係性が理解できた状態で見たほうがよりグッとくるのではないかと考えました。

心情的な部分の盛り上がりも踏まえて、そういう形に構成をしていきました。構成が決まった後は、中身を作っていく作業になります。書きながら、門出と凰蘭を演じるって難しいだろうな、と感じていました。

ーー実際の幾田りらさん、あのさんの演技はいかがでしたか? 

吉田:凰蘭の方は突拍子もないセリフが多いんですけど、あのさんはテンポも含めて非常に上手く表現してくださっているなと思いましたし、幾田さん演じる門出の方も内側と外側の心情表現の使い分けが素晴らしかったです。

キャラクターの感情が声によって伝わってくるので、より感情移入して鑑賞できますよね。そういう部分も前章の良かったところかなと思います。

平面のキャラクターに生きている感じを吹き込んでいただいたなと。特に、門出たちの友人であるキホちゃん(CV:種﨑敦美)が関係するシーンでの凰蘭の演技は想像以上でした。

ーーあのさんのあるセリフの叫びは前章の見どころですよね。

吉田:はい。おふたりの演技を含めてキャラクターが生きている実感がありました。あのシーンに限らずですが、本作の音楽も素晴らしいと思いました。シンプルなんですけど、登場人物に寄り添った、非常に繊細な音楽だなと。

<次ページ:観客の目線で物語を組み立てる技術、浅野先生との密なコミュニケーションが作品を形成する >
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