漫画編集者・林士平さんはアニメイトで一体何を買う?——林さんならではの視点で巡る池袋本店が面白すぎた! 嗜好から、仕事、老後の夢の話までたっぷりと語っていただきました!【店舗貸切!お小遣いアニメイト】
林さんのお仕事について深堀り! 絶対にやめたくない"漫画編集"の魅力
ーー編集者さんって、作品のことだけでなく販売や宣伝の仕事も行うんですか?
林:全然やりますよ! 宣伝部があるんですけど、その部署の方と内容や費用などを諸々話し合いながら、もちろん作家さんにも相談して、宣伝の仕方や時期なんかを決めていきますね。作品が軌道に乗ると、やれることも増えていくので結構楽しいですよ。
ーー漫画の編集の方って、お仕事が多岐にわたっていますよね。本企画もそうですし(笑)。
林:本当になんでもやりますね。この企画の前に、アニメイトに早く着いたので、行きの電車で読んでいたネームに対する返答を電話していましたよ。店前の端っこの方で(笑)。
かなりiPadに助けられています。どこでもネームが読めて、どこでも原稿の入稿や校了ができるという。
ーーお忙しいなかありがとうございます。それだけ多忙だと、常に頭のどこかに作品や仕事の案件がある感じですか?
林:そうなると、身動きが取れなくなってしまうのでカレンダーとTo do リストの奴隷と化しています(笑)。あと、自分の会社の社員たちにアシスタントをしてもらっているので、案件ごとに人を割り振って抜けを教えてもらっています。
ーーなるほど。そういう工夫があったんですね。
林:外部脳みたいな感じです(笑)。すごく優秀な子たちなので、「林さん、これやってないっすよ」ってちゃんとリマインドしてくれます。
ーーそうやって日々仕事をこなしていくと。
林:そうしないとやっていけないです。僕は気が狂いそうなほど働いていると思うので(笑)。少しづつ効率化して回せるようにしています。
ーーそれも以前はおひとりでやっていたという……。
林:去年の11月に入院してしまって、流石にまずいと思ったのでこのシステムを構築しているという段階です! いろんな人に「働き過ぎ……」って怒られました。
でも、今は改善が見られているので、すごく気が楽です。こんだけやってもらっているんだから大丈夫かなと。
ーーこのような体制になってから、自分で判断するものと、ある程度アシスタントの方に任せる仕事があると思うんですが、どのような基準があるのでしょうか?
林:一応、全てに目を通して判断は僕がしています。その中でルーチンになっていくものもあるじゃないですか。自分が実際に作業しなくても、横で一緒に見ていたら大丈夫なものは渡しています。新規の作業があれば一度自分でやって、ルールや流れをしっかりと作ってから、預けるみたいな感じです。
僕自身でやればやるほど、渡せるものも増えていくのでどんどん楽になっていく感覚はあります。でも、僕は空白恐怖症なんです。
ーー空白恐怖症?
林:あ、時間が空いた、仕事増やそう〜! って思ってしまう(笑)。
ーー「仕事を入れなければ!」という感覚ですか?
林:そんなことはないんですけど、いろんなところからお声をかけていただくことが増えたんです。
例えば、「アニメ作ろうよ」とか「イベントやろう」って言われると、「面白そうですね」ってすぐ乗ってしまう。最近、僕は馬鹿なんじゃないか? と思うこともあります。
ーー(笑)。やはり、新しいことをするのがお好きなんですか?
林:変なことや、新しいことをするのが好きです。全く関係ないところや、面白そうだなと思ったらすぐやっちゃいます。漫画の編集も大好きなので、それもやりながらどんどんいろんなことをしていきたいです。もはや編集者という肩書きが疑わしくなってきてますけどね(笑)。
ーー自発的に何かを進めるのではなく、誰かに誘われて……という形が多いんですか?
林:そうですね。おそらく、僕が「何かやってみたい!」と言えばみんな混ぜてくれるんじゃないかなとは思いますけど、ふんわりと興味があるみたいな話をすると「オッケー! じゃあ今度持ってくるね」っていう流れが多いと思います。
大体、お酒の席で話して決まっちゃったり。飲みに行った翌日に「昨日テキトーなこと言い過ぎたな」とか反省していると、「予算取れたのでやりましょう!」って連絡が来たりとか(笑)。
ーースピード感がすごい(笑)。
林:書類とか、企画書とか要らないんだ、みたいな(笑)。面白いですよね。でも、一度始めた以上は、関わっている方々がハッピーになるように頑張っているつもりです!
ーーそんな中でも、漫画の編集は辞めないんですよね?
林:楽しいですから。あと、5〜10年くらいはやるなという感じ。その先はわからないですが、少なくともあと10年は今育てている子たちがバリバリ活躍中だと思うので、最低でも彼らを見届けないと。
ーー作家さんが優先なんですね。
林:そうですね。老後は同人誌なんか出そうかなと思っています。
ーーどんな作品ですか?
林:かつて担当した作家さんたちに1話ずつ描いてもらうっていう。
ーー最高の同人誌ですね! 読みたい〜!!
林:これはやりたいですね。老後に年に1冊本を出せばそれでいいみたいな。で、僕が年に1回みなさんのところに原稿を取りに行くんです。「もう! メールで送るって言ったじゃないですか!」とかみんなに言われながら、原稿取りに行きたいっすね〜(笑)。
ーー(笑)。林さん本当に来ちゃった! みたいな。
林:若い頃は、実際に原稿取りやってましたから! 今はもうメールになっちゃって寂しいです。みんなのくたびれた顔を見ながら原稿を確認するのが良かったなぁ。
ーー描き終わった先生たちの顔、確かに見たい。
林:描き終わる直前のタイミングで行くんですよ。ピリピリしている中で、一枚一枚回収して、数えて最後の1枚を貰ったら「では、預かります」って伝える。これがなくなってしまったのが、すごく寂しいです。
本当は今でもやりたいんですけど、物理的に、行ける作家さんの数が減ってしまう。限界状態の作家にちゃんと寄り添いたいじゃないですか。原稿を受け取った後に、「これ食べときな」とか「起きたら飯食ってね」って食べ物を渡したりとか。これを直接できない寂しさがあります。
ーーそれも含めて、編集者のお仕事なんですね。
林:前はそれが当たり前だったのに、今はもう全員そうではなくなっています。ただでさえ孤独な仕事なのに、アシスタントさんもリモートになっていたりとか。
ーーえー!
林:打ち合わせすると「2週間ぶりに喉使いました〜」っていう方もいますよ。便利になりましたが、良いところも悪いところもあるかもしれません。
ーーなるほど。企画に関係のないことまで聞いてしまって申し訳ないですが、貴重なお話を聞くことができました。最後に、林さんが本企画を通して感じたアニメイトの魅力をお聞かせください!
林:読んだことがない作品が絶対にあるところです。自分の知らないものに確実に出会えるし、漫画・アニメ文化のかなり深いところまで、「まじかよ?」と思うようなものまで置いてあるじゃないですか。
グッズもここまで揃っているところは、ポップアップストアなどを除くとアニメイトはやっぱり強いですよね。オタクの人も、オタクじゃない人も来て欲しいというか。オタクじゃない人の方が楽しめるのかな。本当に好きな人はより深いところまで自分で行っていて、その上でアニメイトを利用していると思いますし。
アニメイトに行ったことはないけど、最近アニメが好きなんだよな、みたいなカジュアルな人こそより楽しめる場所なのではないかなと思います!
アニメイトに行けば、未体験のドキドキがきっと味わえる!
お買い物のレポートだけでなく、インタビュー記事にもなってしまった今回のお小遣いアニメイト。アニメ・漫画カルチャーへのファンでありながら、カルチャーを支え発展させていく側でもある林さんのお買い物の様子や貴重なお話をたっぷりと楽しむことができる企画になったかと思います!
アニメイトには、流行の話題作のグッズや売れ筋の商品のような幅広い方が手に取ることのできる商品を多く販売していますが、あなたの大好きな作品をもっともっと好きになって、もっともっと楽しむことができるような、あなたのためのグッズも販売しています。
普段は手に取らないような商品でも、誰かの好きが詰まったものだと思うと、途端に素敵に感じますよね! ぜひ本稿をお読みになったあなたも、様々な視点・楽しみ方でアニメイトを巡って見てください。
まだ知らない素敵なグッズや作品に出会って、未体験のドキドキを味わうことができるかもしれませんよ!
[取材・文/タイラ・石橋悠 撮影/小川遼]