ついに「蛇の呼吸」と言えて嬉しかった――『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』伊黒小芭内役・鈴村健一さんインタビュー|「こんな人なんだ」という新しい発見がたくさんあった【連載第2回】
伊黒の好きなところは「ねちっこいところ」!?
――戦闘シーン以外で、伊黒を演じるときに意識されていることはありますか?
鈴村:ここ最近のシーンを観て思うのは、「ちゃんと人とコミュニケーションをとれるんだ」ということで、柱合会議に出席していること自体、彼は群れることも、人と接することもできるのがわかっていたので、「ちゃんと目的があって、鬼と対峙しているんだろうな」ということは大切にしていました。ただ闇雲に戦っているわけではなさそうですし、伊黒が生きていくためのベクトルが確実にあるんだろうなということを大切に演じています。
――伊黒の好きなところを挙げるとすれば?
鈴村:ねちっこいところはおもしろいですよね。原作で最初の柱合会議前の裁判のシーンを読んだとき、禰󠄀豆子を殺すべきだと主張する人がいたりと、柱のメンバーがみんな悪い人に見えました。その中でも特にねちっこかったのが伊黒で、「おもしろい役をいただけたかもしれない」と思ったし、好きになりました。
その後、「こんな一面があるんだ」というところが見えてくるようになってから、さらに愛おしさが増しました。
炭治郎を演じる花江さんのすごさは「これぞ役作り」。本人に伝えた反応は?
――伊黒は、蜜璃と接する炭治郎に嫉妬していましたが、鈴村さんご自身が思わず嫉妬してしまうほどのキャストはいますか?
鈴村:キャストはみんな、すごいですね。特に花江(夏樹)くんが演じている炭治郎は、役者として見ると激ムズの役で。まず技術的に難しそうなのが、モノローグです。常にセリフと心の声が同軸で流れています。あれはマンガだから成立している部分が多分にあったと思っていて、作劇においてモノローグは諸刃の剣で、簡単に言うと説明ゼリフになってしまうんです。演じる側としてはそうならないように演じなくてはいけないけれど、あれだけの量のモノローグを演じることはものすごく難しいことなんです。
なのでオンエアで見たときは「上手に演じているな」と思いました。説明っぽく感じないし、逆に心の声が聞こえてくる感じが炭治郎らしくて。「炭治郎はどこまでも真っすぐでピュアだから、ああいうふうに発露しちゃうんだろうな」というところにうまく着地できているのは「これぞ役作り」という感じで。ものすごいことをやっているなと思います。
――それを花江さんに伝えたことはありますか?
鈴村:この間、伝えました。「すごいよね」って。そうしたら「大変です」と返ってきました。あとは、「人があそこまでピュアになれることはなかなかなくて、どんな人間でも何かしら後ろめたいことや隠していることはあると思うし、それが当たり前だけど、炭治郎にはそれがないんですよね。そういう人間性を演じることの難しさがあるんですよ」と花江くんは言っていました。
――ご自身の演じるキャラ以外のお気に入りを教えてください。
鈴村:最近好きなのは悲鳴嶼さんです。強いし、カッコいいんですよね。締めるところは締めるリーダー感がありつつ、出過ぎない感じもあるのが好きです。
――本シリーズでは、柱による合同強化訓練「柱稽古」が行われますが、最近練習や稽古を受けているもの、やってみたい稽古ごとはありますか?
鈴村:最近は新しい技術に興味があって、AI(人工知能)などに触れています。いろいろなことが自動化できたりするので、自分の仕事や生活を助けてもらって、効率化する作業をしています。そのセッションが結構楽しいので、もっと学びたいです。
――『鬼滅の刃』が世界中の方に愛されている理由や魅力はどこにあると思いますか?
鈴村:普遍的なものがしっかり描かれていることだと思います。逆境にどう立ち向かうかという物語だと思いますが、ほとんどの人には日常でうまくいかなかったり、のみ込んでしまうことなど逆境があり、立ち向かっています、そんな逆境を炭治郎をはじめ、鬼殺隊のみんなが負けずに乗り越えようとするところに憧れるし、自分も頑張ろうと思える共感にも繋がっていて、世界中でも普遍的だと思うんです。
『鬼滅の刃』にはそれらがずっと根底にあって、しかもブレずにテンプレートで描かれていなくて。鬼も単純な敵として描かれず、鬼ももとを正せばいろいろなことを頑張っていた人だったり、はからずも鬼になってしまったケースがあったりなど、彼らにもバックボーンがあるところがドラマを熱くしていて。それらを素晴らしいエンターテインメントに昇華しているからこそ、世界中の方に愛されているんだと思います。
――最後に、『鬼滅の刃』ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
鈴木:「柱稽古編」では、ミステリアスだった柱の面々にスポットライトが当たって、それぞれがどんなふうに感じて、どう鬼に向き合っているかなどが描かれているので、各柱ファンの方には「お待たせしました!」と言えるシリーズになっていると思います。
「柱稽古編」を何度も観て気持ちを高めてもらえるくらい、高いクオリティで作られています。炭治郎たちがどう成長していくのか、ドキドキワクワクしながら一緒に楽しみましょう。
作品概要
あらすじ
吾峠呼世晴による漫画作品が原作。アニメーション制作はufotable。
家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため、
《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、
2019年4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』の放送を開始、
2020年10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開、
2021年から2022年にかけて、『テレビアニメ「鬼滅の刃」 無限列車編』
『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』を放送・配信、
2023年2月より『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を公開、
4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』放送・配信した。
2024年2月からは前作を超える140以上の国と地域で
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』を公開、
そして、5月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』の放送が決定。
柱稽古へ――
鬼殺隊最強の剣士《柱》と鬼殺隊士たち。
来たる鬼舞辻無惨との決戦に向け、《柱稽古》開幕。
それぞれの想いを胸に、
炭治郎と柱たちの新たなる物語が幕を開ける。
キャスト
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable