![『ヨルクラ』伊藤美来×高橋李依×富田美憂×島袋美由利が第11話までの名シーンを振り返る【連載11】](https://img2.animatetimes.com/2024/06/6b610c6646e2fa417d8644bb19277ca566724e502ea510_82661267_72314507602561f6068b95e9fe479d914ff28bde.jpg)
『夜のクラゲは泳げない』連載第11回:伊藤美来×高橋李依×富田美憂×島袋美由利|声優陣が第11話までの名シーンを振り返る
第10話ラスト、めいの歌唱シーンについて振り返る
――めいは11話も良かったですが、やっぱり第10話ラスト、JELEE解散危機での歌ですよね。あれは震えました。あの歌を聴いてから絵の表情を描いたそうですが、あの歌唱シーンについて教えていただけますか?
島袋美由利さん(以下、島袋):あそこはアフレコの収録を先にやっていて、そのあとに歌だけ別日に、ひとりで録りに行く感じだったんです。アフレコでは歌い終わったあとのセリフも録っていたんですけど、私が歌のときに泣きすぎてしまって、上手く繋がらない感じになってしまったんです。
そこから音響監督の木村絵理子さんが「もうちょっと気持ちをしっかり持って、でもところどころよれちゃう感じに」とか「ここの歌詞に思い入れがあるから、こういう風にやっていこうか」って、何度も何度もディスカッションをして、3テイクくらい録らせていただいたんです。おそらくそこから、いいところを繋げて編集してくださった結果、あの歌であり映像になっているんだと思います。
歌っているときに、今までの映像がフラッシュバックするじゃないですか。それを想像するだけで辛くなってしまって。でもめいはもっと一生懸命やっているから私がくじけちゃいけない、そのせめぎ合いもちょっとしんどかったので、それが形になって、絵も描き直していただいたということを知って、感無量でした。
――あの歌を聴いて、どうでしたか?
3人:すごかった……。
――言葉にならないですよね。
高橋:アニメを裏話なく見ている人からしたら、そんなに細かく丁寧に歌っていたことが信じられないくらいガツンとくるから、本当にこだわってくれてありがとうという気持ちです。表現をしている人間からすると、音痴に歌うとか、音を外すのってとても難しいんです。ましてやそこに感情を乗せたり、ここまでのエピソードを踏まえた気持ちを想起させるような流れを作るのって、すっっっごいテクニックが必要なことなんです。それが、感情的にもすごいし技術的にもすごい歌になっていたので、ヤバいことをやってるなって思っていました。ホントにすごいです!
伊藤:すごいです!
島袋:最後のほう、若干音程が合いかけるときがあるんですよ(笑)。
高橋:そうなるよね(笑)。
島袋:家で練習しているときは、わざと音を外すってどういうことだろう。でもめいにとってはわざとじゃないから、いかにも音痴な外し方をするのはめいに失礼だし、めいは真剣なんだぞ!って思っていました。だから家では「これ、やってんな」みたいな感じになることもあって。
富田:あざとくなっちゃうんだ。
島袋:だから確かに難しかったです。
――全然「やってるな」感はなかったです。
富田:うんうん。
高橋:ちゃんと譜割りは間違えていないんですよね。メロディーが違うだけで、音符の場所は合っているというのが、作曲しているめいだからこそだなって、見てて感じました。
島袋:李依さんに「テンポがずれないのに、音がさ~」って言われたときに、確かに!みたいな。意図してはいなかったから恥ずかしかったというか、そこまで考えて演じられていたらカッコよかったのになーって思いました(笑)。
――音痴なんだけど、この曲、確実にいい曲だろうっていうのはわかるんですよね。だから完成版を聴きたくなる。そして、もともとののたん推しのオタクですけど、ちゃんと花音を救うところがいいなと思いました。
島袋:ここでようやく対等になれた気がしました。
高橋:家の前に来てくれたとき、「アイドルの家の前じゃないです。友達の家の前です」って言ってくれたのも、すごく嬉しくて(第10話)。
島袋:あそこは実は一緒に収録できなかったんですけど、それでより、心の距離が離れている感じがしたというか。ののたんは何て返してくれるんだろう。こんな風になったののたんは見たことがないから、想像がまだ及ばない感じが苦しくて……。だからここのシーンを別に録れたことはありがたかったんです。
――確かに、会話には距離を感じました。しかも最後、JELEEの解散を告げられますからね。
高橋:確か、第10話と第11話って収録がバラバラだったんですよ。
富田:で、第12話で会えたことも、エモくて!
高橋:ちょうどみんなが会えていない、離れていたほうがいいというタイミングで、別々にアフレコができていたのも良かったんですよね。
――ここまでの振り返りだと、少し前半の話になってしまいますが、第5話のまひるの「私より上手い人が描かないでよ、邪魔だよ」も、とても印象に残っています。
伊藤:こういう気持ちって、持っていたらいけないと思っちゃうのもわかるというか。すごく疎外感を感じていたんです。自分のところだけ他の人がやっても成立しちゃうんだ、みたいな寂しさがすごくありました。
花音は大丈夫と言ってくれるけど、それに対しても、いつも通りを装うところとか。部屋に来てくれて帰ったあとに「全部は言えないな」って言うところも、辛かったです。
――その後、水族館で、花音にめんどくさい認定をされてしまうんですけどね。
伊藤:確かに、ホントにめんどくさいんです(笑)。
高橋:でも、それで言ったらみんなめんどくさくない?
伊藤:みんな、ちょっとずつめんどくさいかもね。でもこのシーンは、絵を描いている方が見たら、相当苦しいシーンだっただろうなと思いました。心の内が描かれてしまった気持ちになるんじゃないかな?
島袋:私もそうやって思ったことがあるので、ブスッと来ました。自分よりうまい人、みんな辞めたらいいのに……(笑)。
一同:(笑)
島袋:ってふと思ったことがあって。でも、そしたらこの世界はつまらなくなってしまうと思って、そう思ってしまった自分にも「きつっ」ってなったので、あそこのまひるに共感する人はいると思います。
――個人的にも、自分より上手いインタビュアーなんていなければいいのにといつも思っているので、思うくらいはいい気がします。人間ですから。
高橋:私、「邪魔だよ」って言ってくれたところはすごく気持ち良かったんです。確かに、自分の居場所を取らないでほしいって思うこと、あるよなって。例えば、せっかく築いてきた居場所を横から急に入ってきて取られたらズルい!って思うじゃないですか。「邪魔だよ」はシンプルで的確で、表では言えないことでもあるから、言ってくれてありがとうとは、ちょっと思いました。
富田:やっぱりみんなそういうことを思っているんですよね。どの仕事でも当てはまることだと思います。
――ありがとうございます! では次週も、4人での座談会になります。最終話後もよろしくお願いします。
[取材&文&写真・塚越淳一]
TVアニメ『夜のクラゲは泳げない』作品情報
![夜のクラゲは泳げない](https://img2.animatetimes.com/2024/03/c3fc2dcf3c8b52e075a3e5f3562ea93065e80250105d81_18635730_74f2f03a93b8702997a5081c666dc27a41f2be1d.jpg)
あらすじ
明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、
全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。
何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。
活動休止中のイラストレーター“海月ヨル”
歌で見返したい元・アイドル“橘ののか”
自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス”
推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん”
世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。
自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。
キャスト
(C)JELEE/「夜のクラゲは泳げない」製作委員会