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結束バンドとして『ROCK IN JAPAN FES. 2024』に立つ長谷川育美がライブで心がけていること/インタビュー

『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!』結束バンドとして『ROCK IN JAPAN FES. 2024』のステージに立つ長谷川育美さんがライブで心がけていること/インタビュー

 

喜多郁代、結束バンドとしての歌い方とは

――喜多郁代を演じてきて、改めて、どんな子だと思っていますか?

長谷川:喜多ちゃんは、友達が多くて、リア充というところもあるから、人との関わり方が上手い子だと最初は思っていたんです。でも結束バンドでいるところを見ていたら、割と強引だし、結構自分のペースも強いんです。わりとこの子、自由に生きているんだなと思って、そういうところが面白くて好きです。

それにすごく器用なわけではなく、周りが喜多ちゃんの陽気さとか雰囲気に巻き込まれて楽しくなるから、天性の愛され力、みたいなものを持っている子なんだろうなって思っています。

 

 

――劇場では、そんな喜多ちゃんのどんなところを見たいですか?

長谷川:やっぱりキターンってしているところ? 発光しているところを大画面で見てみたいです。皆さんもぼっち(後藤ひとり)みたいに「ううっ」ってなっちゃうかもしれないけど、ライブシーンではめちゃめちゃカッコ良いところを見せるから、そのギャップにもやられちゃうんじゃないかなと思っています。

――OPテーマ「月並みに輝け」も、すごくいい曲でしたね!

長谷川:「青春コンプレックス」の布陣で作っていただいた、すごく熱い楽曲で、内容的にも、変に自分に自信がある時期ってあるじゃないですか。自分、なんかすごいやつだ!と思う時期があって、でも少し世界を広げてみると、そんなことなかったんだって心が折れる瞬間がある……。その中でもがいていたら、自分なりの正解とか、自分なりの道が見つかる。挑み方は人によって違うと思うけど、どんなに折れても進んでいけるんだ!っていうことを歌っているから、すごく背中を押してもらえる楽曲だと思いました。

――共感もあったのですね。

長谷川:私も声優を志したとき、自分のことを天才だと思っていたんです。私は天才だろうなって、根拠のない謎の自信があってこの世界に入ったら、心をポッキリ折られたから、すごくわかる!って思いました。喜多ちゃんというより、長谷川育美としても「わかる!」って思ったから、大好きな曲です。めちゃめちゃいい曲です。

――すごく、後藤ひとりっぽいとも思いました。

長谷川:結構アニメを観ていると、ぼっちって特殊な人間だなと思うけど、ぼっちの書く歌詞って、どの人も思ったことがあるようなことが書かれているから、結構共感性は高いんじゃないかなと思います。

 

 

――長谷川さんが、劇場総集編で観てみたいシーンはありますか?

長谷川:多すぎるんですよね……。でもこれはあるかわからないし、カットされる可能性が高いと思うんですけど、ダムのシーンが好きなんです。あれが劇場のスクリーンで流れたら、意味がわからなすぎるじゃないですか(笑)。シュール過ぎて面白そうだなと思うんだけど、そういうシュールなシーンは、そこだけではなかったので、どれか残っていたらいいなと思います。

――では、アフレコで思い出深かったシーンなどはありますか?

長谷川:これはいろいろなところですでに話していますが、第8話の歌のシーンです。それまでアフレコ現場で歌ったことがなかったので、一生忘れない思い出だなと思っています。止めずに、流れのままマイク前で歌ったんです。ライブシーンを歌うというより演じていたので、新たな体験でした。

――アフレコスタジオでも、普通は歌だけあとで録りましょう、となるところですよね。

長谷川:そもそも最初は別日で、と聞いていたんです。でも「長谷川〜、ちょっとやろうか」って言われて(笑)。「どういうことですか?」と。結構急遽な感じだったので、思い出としては一番強いです。

 

 

――前編は第8話までとなるので、ぜひそのシーンは観てほしいですね。

長谷川:3人が緊張してて、うまくライブができないところで、ぼっちちゃんがカッコよく決めてくれるシーンなので、ぜひ観てほしいです。

――喜多郁代として、多くの楽曲を歌ってきていますが、どんなことを考えて歌っているのですか?

長谷川:もともと歌は大好きだったので、喜多ちゃんで歌うときは、どうやって歌おうかっていうのは考えたんです。最初のレコーディング前に家で練習をしているときも、喜多ちゃん全開で歌うのかとか、いろんなパターンを想定していたんです。でも、個人的には役柄の声には寄せたくなかったんです。

いつもの喜多ちゃんで歌うと、喜多ちゃんの歌になっちゃうんです。でも私が歌うのは結束バンドの歌だから、喜多ちゃんのキャラソンにしたら違うと思ったんです。歌手でも地声と歌声が違う方はいるので、自然なことだからいいのではないかと思って、試してみたんです。

レコーディングには、はまじあき先生もいらっしゃっていて「喜多ちゃんは、どんな曲でも歌いこなせる子なので、歌に合わせて歌っていただきたいです」と言っていただいたので、そこで最初の方向性が決まりました。

でも、ロックはあまり通ってきてないところだったので、歌い方は難しかったです。初期の頃は、歌うたびに「もうちょっとロック感マシマシで」ってご指導いただいたんですけど、ここ最近はそれも身についてきてて、瞬時に結束バンドの歌い方になれるんです。わりと皆さん、長谷川育美で歌っていると思われているんですけど、私としては結束バンドとしての歌い方があるので、そこは切り替えて歌っています。でも、それももはや意識しないで出せるので、細かいことは考えてないくらい馴染んできてはいますけど。

――全然キャラソンっぽい歌い方ではないから、そう思いますよね。

長谷川:でも、いろんなタイプの曲があるからこそ、たとえば「Distortion!!」とか「忘れてやらない」では、喜多ちゃんの良さっていうのも出してもいいなと思いながら歌っているんです。そのくらい、ひとつの道にこだわるのはもったいなくて、何より曲の良さを引き出したいので、結束バンドの歌い方の中で、いろんな表現の仕方ができるなと思いながらやっています。

 

 

――初期の頃ともディレクションはより、歌を良くするためのものになってきていたりするんでしょうか?

長谷川:表現というところにはなってきていると思います。「もっとこうしたほうが良くなると思うよ」って。音羽-otoha-さんとかは、レコーディング現場に来てくれることが多くて。

音ちゃんが「ちょっとリクエストで、こういう歌い方できますか?」って言って、試しに歌ってくれるんです。それを聴いて、なるほど〜と思って歌ったりはしています。

――音ちゃんと呼んでいるんですね(笑)。

長谷川:めっちゃ仲がいいんです(笑)。そう考えると、本当に素敵な出会いがいっぱいありました。『ぼっち・ざ・ろっく!』から交流が変わったなと思っています。

フェスのときも、先生とアジカンさんの「転がる岩、君に朝が降る」を聴いて、めちゃめちゃテンションが上がったりしていましたし(笑)。先生とも、ぜひご飯に行けたらいいなと思っています。

あとは結束バンドの編曲をしてくださっている三井律郎さんや、音楽ディレクターの岡村弦さんとも長い付き合いになります。年齢も離れているし、職業も全然違うんですけど、すごくフランクに接してくださるんです。作品に対する愛をものすごく感じるんですけど、私たちより長く作品に携わっている人たちと、同じ熱を持って作品づくりをできることが一番いいことなので、こんなにいい環境は他にないなって思いながら、活動しています。

――改めて8月4日に出演する『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』の意気込みをお聞かせください。

長谷川:熱いライブにはしたいです。そして動き回りたいです。『JAPAN JAM 2024』のとき、人が端のほうまでいてくださって、本当は端までは行かなくていいと言われていたんですけど、向こうに人がいると思うと行かなきゃ!となって、一番端まで走って行ったんです。そうするとみんな手を振ってくれたりしたので、どこの場所からも楽しんでいただけるようなステージにしたいなと思っています。

――しかも今回はキャスト4人で出られますからね。

長谷川:そうですね! だからまた違った雰囲気が出せるんじゃないかなと思います。みんな、キャラクターの良さが出ている曲を持っているので、『JAPAN JAM 2024』とはまた違う、良いステージになる気はしています。

 

 

――結束バンドって、長谷川さんにとって、どんな場所になっていますか?

長谷川:メンバーっていう感じがします。声優って個人の仕事じゃないですか。正直、仲間というほど常に一緒にいることはないし、作品もすぐに終わってしまう。そんな中で、『ぼっち・ざ・ろっく!』は、結束バンドの4人での稼働がすごく多いので、こんなにも長い間一緒に動く経験は今までなかったんです。だから本当に不思議なんですけど、メンバーっていう感じがします。

仲もいいし、遊びに行ったりするけどベタベタし過ぎるわけでもない。でも仕事の経験を一緒に共有し合っている。結束バンドだけの、他の作品にはない関係性は築けているのかなと思っています。

――9月から12月まで開催される『結束バンドZEPP TOUR 2024 “We will”』を、どんなものにしたいですか?

長谷川:『結束バンドLIVE-恒星-』がすごくいいライブになったと思っているので、少し怖いです。あれを超えるものにしなければいけないので。それまでにフェスもあるので、そこで経験を積んで、少しでも成長した姿で臨みたいです。まだ、私もどういうことをやるのかわらかないですし、ツアーってやったことがないので、とにかく体調管理はしないといけないと思っています。私たちは声優という本業もあったりするので、それも含めた体調管理も大事になるので、これまでのライブとはまた違う臨み方をしなければいけないと思っています。

――でも、きっとリハーサルは楽しいでしょうね。

長谷川:楽しいです! 練習は何も苦じゃないので。そこで、負担が大変だと思ってくださる方もいるんです。でも、みんなはそんな事は考えないでほしいというか。ファンは楽しんでくれたらいいんだよ!って思うんです。心配とかは、それこそ身近な人がしてくれていたりするので、私はこんなにも楽しいし、やれることが楽しいから、余計なことを考えないで、とにかく楽しみにしながらライブに来てほしいなと思います。

 

 

――では最後に、劇場総集編と結束バンドの活躍を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

長谷川:こうやってTVアニメが終わってからだいぶ時間が経って、このタイミングで改めて劇場総集編を劇場で観ていただけるというのは本当に贅沢なことだと思っています。しかもOPは映像も新しく作ってくださって。ここにきて新しい結束バンドを見させてくれるのか!と。私は内部の人間だけど、新しいものが見れるのは毎度毎度嬉しいです。

これまでもいろいろな人に観ていただけている実感はあるんですけど、それでもまだまだ知られていないと思っているので、劇場総集編で興味を持ってもらって、リアルライブにも足を運んでいただき、結束バンドの輪がもっと広がっていったら嬉しいなと思います。もちろん、今まで応援してくださった方も、改めて違った楽しみ方で『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:/Re:Re:』を楽しんでいただけたらと思います。

 
[文&写真・塚越淳一]

 

作品概要

劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:/Re:Re:

あらすじ

「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりは、ギターを愛する孤独な少女。

家で一人寂しく弾くだけの毎日だったが、ひょんなことから伊地知虹夏が率いる「結束バンド」に加入することに。

人前での演奏に不慣れな後藤は、立派なバンドマンになれるのか――

キャスト

後藤ひとり:青山吉能
伊地知虹夏:鈴代紗弓
山田リョウ:水野朔
喜多郁代:長谷川育美

(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス

 

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