人を惹きつけてやまない『鬼滅の刃』――竈門炭治郎の生き様から気付く幸せのヒント|家族愛、謙虚な姿勢、向上心、彼の言動から人生を振り返る
『鬼滅の刃』は2016年より少年ジャンプで連載された吾峠呼世晴先生による漫画作品。単行本1~23巻で累計発行部数は1億5000万部を突破。今なお注目を集め異彩を放つ本作は、日本にとどまらず、世界中のファンを魅了し続けています。
時は大正、日本。『鬼滅の刃』はある日鬼によって家族を失い、唯一生き残った妹・禰豆子さえも鬼にされてしまう少年竈門炭治郎が、妹を人間に戻し、家族を奪った鬼を討伐するために“鬼狩り”の道を進む物語です。
家族の惨事を目の当たりにし、悲しみと後悔に打ちのめされていた炭治郎は、その後水柱・冨岡義勇に出会うことに。そこで叱咤され、奮い立たされた炭治郎は、鬼殺の道を目指し上弦の鬼を倒すまでに成長していきます。そこには、炭治郎の謙虚で素直な性格、どこまでも澄んだ優しい心、そして絶対に諦めない心がありました。
今回は、そんな強く優しく何度打ちのめされようとも前を向く、炭治郎の成長や生き様から、逆境にさらされても前を向き感謝を忘れずに生きる“幸せのヒント”を紐解いていきましょう。
目次
家族愛
炭を売る心優しき少年・炭治郎は、竈門家の長男。自身も子どもであるにも関わらず山を下りて炭を売り、家族を支えていました。そのような日々を炭治郎は「生活は楽じゃないけど幸せだな」と喜びを感じながら暮らしていました。家族が鬼に襲われた日も、悪天候にもかかわらず、皆に美味しいご飯を食べてもらいたい思いで街へ炭を売りに下山していました。
また、妹の禰豆子も鬼になる前、竈門家の長女として家族の幸せを一番に想い暮らしていました。ある夜、自分の着物を縫い直していたところに「また着物を直してるのか 買わないとだめだな新しいのを」と言う炭治郎に「いいよいいよ大丈夫 この着物気に入ってるの それよりも下の子たちにもっとたくさん食べさせてあげてよ」(コミック1巻第第3話引用)と返す禰豆子。自分の事よりも家族の事を考える優しさ、そして何度も直して着物を着る“物を大切にする”禰豆子の行動は、便利なものに溢れ物が手に入りやすい今の時代を生きる私たちに気付きを与えてくれますね。
謙虚
柱稽古の最中、上弦の鬼と闘った事のある炭治郎は隊士達から一目置かれています。そんな中、自分の力に驕らず、自分も隊士の中の1人としておにぎりをにぎったり、共に稽古に励んでいる謙虚な姿勢が見られます。
また炭治郎は、刀鍛冶の里で鬼の妹の命よりも里の人間の命を優先したことから、岩柱・悲鳴嶼行冥に「君は剣士の鑑(かがみ)だ」「私は君を認める…」と言われています。ところが炭治郎は「いいえ違います 決断したのは禰豆子であって俺ではありません 俺は決断ができず危うく里の人が死ぬ所でした 認められては困ります」(コミック16巻第135話引用)と返します。
褒められたことに対して自分の判断ではなく禰豆子あっての事、と驕らない炭治郎。頑固でもありますが、常に自分を律し、謙虚な姿勢を崩しません。
向上心
鬼の始祖・鬼舞辻無惨を絶対に許さない! という思いで、痣が出るまでに成長する炭治郎。柱稽古中は柱の厳しい稽古に怯える隊士が多い中、炭治郎は積極的に稽古に参加します
柱稽古が決まった際は、隊士達が怯える中その事を伝えに来た我妻善逸に「自分よりも格上の人と手合わせしてもらえるって上達の近道なんだぞ 自分よりも強い人と対峙するとそれをグングン吸収して強くなれるんだから」(コミック15巻第130話引用)と話し、前向きにとらえています。
また、いつまた鬼が動き出すか分からないと、岩柱の柱稽古の際には団体稽古でなかったため、自主的に稽古を行い、動かざる石と向き合いました。