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『真夜中ぱんチ』長谷川育美(真咲役)インタビュー【連載第4回】

夏アニメ『真夜中ぱんチ』真咲役・長谷川育美さんインタビュー|真咲は人間味のある最高の主人公!「この子を演じるのは、ただただ楽しかったです」【スタッフ・声優インタビュー連載第4回】

真咲は不器用なだけ

──第1話では、真咲がひとりなんだ、と改めて感じる場面もありました。第1話を振り返ってみるとどのような思いがありますか?

長谷川:はりきりシスターズの時に近しい状況で廃虚に行ってみたからこそ、当時の記憶がフラッシュバックしてきてしまって。しかも、はりシスの橘花(CV:安済知佳)、乙美(CV:近藤玲奈)は学生時代からの仲間だから特別なんですね。しかも当時も、ひとりでいた真咲のところに来てくれたふたりで。だから、真咲自身の学生時代の記憶って、この2人だと思うんです。

真咲は強がっていますけど、そのふたりと決別するのは相当辛いものがあると思います。一生懸命に取り組んだ結果の決別なので……単純に真咲がどうしようもないから、悪いやつだから、ってわけでもないんですよね。「一生懸命だったんだよね! でも付き合い方がうまくいかなかったんだよね!」っていうのが、ちょっと切ないところというか……。まあ、確かに真咲も悪いんですけども(苦笑)。

でも、純粋に一生懸命だったんですよね。人間関係を築くのが下手くそで、不器用なだけ。

──そういう意味では素直なんですよね、すごく。第1話の終わりも最高でした(笑)。

長谷川:第1話はりぶと真咲の出会いがメインに描かれていますが、最後は叫び散らかして(笑)。ファイちゃんって勢いを出すのが上手じゃないですか。あの感じでアフレコでも来てくれるので、私もその勢いに乗せられて、思いっきり逃げる演技が出来ました。

──長谷川さんが印象的だったセリフというと?

長谷川:なんだろうな……。 やっぱ「死ね」は好きですね(笑)。そのシーンをファイちゃんがアフレコの時にめっちゃ褒めてくれたんですよ。「今の“死ね”、めっちゃ好き!」って。それが嬉しかったです(笑)。

あと面接のシーンも面白かったです。変な人ばっかり来るっていう。ツッコミ役もこれまであまり経験がなくて……私はお笑いが好きなんですけども、個人的にはツッコミってボケより難しいと思います。ツッコミが決まることで笑いが増幅するんですよね。ツッコミの仕方で笑いの量が決まると思うと、切れ味も出したい。でも切れ味一本調子でいくとつまらない。「ツッコミって難しいなぁ!」って思いながら、取り組んでいました。

──確かに、その塩梅は難しいですよね。第1話の時はどういうディレクションがあったんでしょうか。

長谷川:真咲は叫びセリフや思い切りのいい発言が多いんですよね。だからついつい勢いよく言いがちなんですけど、当初のアフレコでは「それだと元気キャラに聞こえちゃうかも」と。

真咲自体をあえてカテゴライズするなら、元気っ子ではなく、オタク寄りの陰キャだと思います。だから快活に叫びすぎてしまうとキャラブレしてしまう。そういうディレクションをいただいたことで、叫ぶときも少しねちっこくして、陰を入れると言いますか。そういう軸が出来ました。

──それこそ、絶妙な塩梅でもありますね。

長谷川:でも楽しかったですね。それを意識したらどんどん馴染んできて、考えずともそう叫べるようになりました。純粋に元気な子を演じることはありましたけど、真咲を演じたことで、陰なキャラだからと言って声を張らないわけではないんだなというのが掴めました。私はどちらかと言えば、陰の方ではないので、そこは真咲とは違うところなんです。陰の中でも、いろいろな種類があるんだなって。

──陰の中でグラデーションがある感じですね。

長谷川:そうそう。ただ大人しい感じでもなく、外ではおどおどするけど、身内に入れば態度が大きくなるっていう。真咲もそういう感じだから、りぶに対しては強く出ますし(笑)。そういうのも細かく分けていかないとキャラがブレてしまうというのは、この作品を通して勉強になりました。

長谷川さんと真咲との共通点は意外なところにも……?

──お笑い好きというお話がありましたけど、普段は動画も見られるんでしょうか?

長谷川:見ます! それこそ芸人さんのYouTubeチャンネルばっかり見ていますね。特に見ているのは、ラランドさんや、Aマッソさんのチャンネル。他にも女性芸人さんのチャンネルをよく見ています。特にラランドのチャンネルは……悪口が面白い。

──(笑)。そういう意味では、真咲も……。

長谷川:そうなんですよ! いや、語弊があるかもしれませんが、綺麗事ナシで言うのであれば、悪口って面白いじゃないですか。でもあれって、ラランドさんだからこそというか……すごいバランス力で。ふたりとも語彙力もリズムもよくて、すっごく面白いです。

──逆に長谷川さん自身が動画収録やイベントなど表立ったステージに出演する際、意識していることはありますか?

長谷川:性格的に飾れないというか。取り繕うことが苦手なので、わりと素に近い形で喋っていることが多いです。もちろん、取り繕ったキャラクターを作るのもひとつの方法ではあるんですけども……例えば、そのキャラで嫌われてしまった場合は「次はどういうキャラでいこう」となってしまう。でも、素でやって嫌われたらそれはもうどうしようもないので、そっちの方が楽だなって。

──全員とうまくやるのは無理ですもんね。

長谷川:そうそう、そうなんです。素でやって嫌われるなら、それはしょうがないと思っています。私も二十数年生きてきて、もう変わりません!って。逆に作ったら悩んでしまいそうだなって思います。

──話を聞けば聞くほど、真咲に似ているような……。

長谷川:確かに取り繕うキャラじゃないですものね(笑)。でも、 叩かれるとやっぱり弱いところがいいですよね。

真咲の心の変化が詰まった「編集点」

──長谷川さんはエンディングテーマの「編集点」を真咲として歌われています。ポエトリーリーディングのような曲調が印象的で、オープニングテーマの「ギミギミ」と合わせて良いワンセットになっていますよね。

長谷川:ですね! 真咲らしさもあるし。NewTuber的な始まりと終わりになってて。

──最初に「編集点」を聴かれたときはどのような印象がありましたか?

長谷川:衝撃的でした! 周りのキャストから「どういう歌なの?」と聞かれていて。私は詳しいジャンルとか歌のことは分からなくて。私はずっと「静かめのMOROHA」という説明をしていました(笑)。

──なるほど(笑)。

長谷川:事前に真咲のキャラソンがあるとは聞いていましたが、真咲が歌うイメージがなさすぎて。「ギミギミ」のような曲は真咲っぽくはないし、どういう曲が出てくるのか想像つかなかったんですけど、実際楽曲いただいて「なるほど! 確かにこれは真咲っぽい! むしろこのラインしかないかも!」って。

私自身、こういうタイプの曲を歌ったことがなかったんです。レコーディングには、リモートで本間監督が参加してくださって。最初は不安もあったんですけれども、監督が聴いていてくれたので、安心して録ることができました。

塩梅も難しいなと思っていたんですよね。 というのも、真咲はきっと“歌うま”のキャラではなくて。歌が上手だったら、もっと商売精神を出して“歌ってみた動画”をいっぱい出してたはずなんですよね。だから少し悩んだんですけども……ここはここ、って感じで。「この塩梅だと真咲っぽいですかね?」「薄くなっちゃいますかね?」と相談しつつ歌っていきました。

──キャラソンの楽しいところでもあり、難しいところですよね。

長谷川:そうですね。TVサイズだと、サビは真咲の心情を表しつつしっとりめに歌わせてもらっているのですが、フルサイズだと最後の方は開けたような気持ちで歌っているので、ぜひその変化を楽しんでもらいたいですね。

──真咲の人生がぎゅっと詰まってるんですね。

長谷川:そうですね。その合間にもセリフが挟まってきて、気持ちの変化が歌詞として描かれています。ぜひフルで楽しんでもらいたいです。

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