一目惚れから始まったタッグ結成秘話。制作現場では“健全”な殴り合いも!?　『杖と剣のウィストリア』原作・大森藤ノ先生×漫画・青井 聖先生インタビュー

アニメ制作現場でスタッフとの“健全な”殴り合い!?

ーーアニメ化の企画がスタートするにあたって、おふたりから制作サイドにオーダーしたことはありますか？

大森：こちらから一方的にオーダーするというより、スタッフのみなさんと話し合いながら作り上げたという感覚があります。私や青井先生の提案はもちろん、𠮷原監督から提案をいただくこともあって。お互いに意見を出し合って、言い方は悪いですが、“健全”に殴り合っているような。意見を出し合うことで、作品がより良いものになっていく、そんな良い空気感が流れていて、本当に素敵な現場だと思いました。リスペクトし合える関係性っていいなぁって。

ーーアニメの監督やスタッフさんから、「原作の方と気軽にやり取りできる方がやりやすい」というお話はよく聞きます。

大森：そうですね。環境作りから良くしていただいたおかげで、言いたいことを共有し合えたのかなと。最初はお互いに遠慮しつつも、言いたいことはしっかりお伝えして、最後は監督にお任せしました。そうして完成した第1話は、思わずひっくり返るほど素晴らしかったですね。

ーー青井先生の元にもキャラクターの設定など、色々回って来たと思いますが、いかがでしたか？

青井：実力のある方々に携わっていただいているので、キャラクターデザインに関しても、一発でゴールが見えるラインのものを上げてくださっていたんです。僕からはシルエットのコツや「このキャラは四角っぽくすると描きやすい」「足の長さはこれくらい」など、細かい部分の意見を言うくらいでした。その後にはバチバチに格好良い絵が上がってきたので、本当に恵まれているなと。また、そのちょっとした調整によって、原作ファンの方にも納得いただけるものになったと思います。アニメーターさんにおんぶに抱っこで、素晴らしいものを作っていただいているという気持ちです。

大森：アニメは総合芸術だと思うので、一人も欠けてはダメだと思ってます。みんなでヘコみが出ないように注意しあって、良いサイクルで回っているんじゃないかなって。

天﨑さんの声を聞いて「ウィル役はこの人しかいない！」と確信

ーーキャスティングの話し合いにも、おふたりは参加されたとか。

大森：そうですね。各キャラの候補が出そろったところで、監督から「この方どうですか？」という提案をいただいて、選ばせていただくような流れでした。その中でも強く印象に残っているのが天﨑さんで、声を聞いた瞬間、「天﨑さんがいいです！」と言ってしまったんです。

青井：オーディションに参加してくださった全ての方の声を聞いたのですが、やはり天﨑さんは光り輝いているなと。

大森：私達の持つウィルのイメージに一番近かったんです。音響さんサイドはもう少し高めの声を想定していたそうなんですが、お話しする中で、「少年漫画の王道＝天﨑さんだったんですね」と言っていただいて、自分の中でも改めて腑に落ちました。

ーー毎回アフレコに立ち会われているそうですが、キャストのみなさんにアドバイスすることはあるのでしょうか？

大森：私は基本的に、みなさんが持ってきたお芝居を聞くのが好きな人間なので、化学反応を見たい気持ちもあるので、自由にやってもらっています。ディレクションが必要な際は、監督や音響監督さんと話し合って、お伝えしてもらっていました。

青井：大森先生と一緒ですね。一応原作の意図などを共有して皆さんと確認することがあるくらいです。声優さんの演技が素晴らしかったので、ふたりでアフレコを楽しんでいました。

大森：本当に贅沢な時間を過ごさせていただいています。

青井：そもそもキャストさんが豪華すぎますよね。

ーーキャストのお三方のインタビューの中で、コレット役の天野さんは、中の人自身もコレットそのままとおっしゃっていました。

青井：確かに。天野さんはかなりコレットらしいですね（笑）。

大森：天野さんと音響監督さんのやり取りを見ていると、思わずクスッと笑ってしまうので、コレットらしいところがあるかもですね！

ーーマスコット的なキャラクターであるキキも可愛いですが、演じるいなせあおいさんも現場では微笑ましいそうですね。

大森：いなせさんも色々な意味ですごいです！　『ウィストリア』の役者さんはみなさん、ハマり役ですね。

青井：特にエドワルド役の遊佐（浩二）さんと、ワークナー役の関（智一）さんがいらっしゃると、作品がぎゅっと締まって、劇場版みたいになるんですよね。どこか高級な感じがして堪らないです。