シリーズが描く“普遍の愛”を次の世代へと繋いでいきたい――『ヤマトよ永遠に REBEL3199』古代進役・小野大輔さん×アルフォン役・古川慎さんインタビュー
古代にとっての雪は「道標のような存在」
ーー森雪は今回の鍵を握る存在だと思います。おふたりが感じる雪の魅力をお聞かせください。
小野:これは長くなるぞ……。
古川:盛大な惚気が始まる!(笑)
小野:古代進と自分がリンクしている部分があって、役者としても古代としても雪は必要不可欠な存在だと思います。何と言うか……ふたりでひとつとしか表現しようがないんです。ずっと想いが通じ合っていて相思相愛なのに、どこか古代は踏み出せないし、雪はひたすら待っている。引き離されても、お互い絶対に会えると信じていて、どこまでいってもそれは変わらないんですよ。でも、そこには普遍の愛があるなと。逆にこれ以上進展してしまうと、もしかしたら壊れてしまうのかもしれません。
だから古代が古代であるためには雪がいないといけない、と今回のシリーズでも改めて感じました。どちらかがいなくなったら、おそらくもう片方も生きていられないんじゃないかなと。そんな究極の愛の形や彼女の強さに惹かれています。
雪に比べて、古代は下を向いて立ち止まってしまうことも多いんです。そういう時に背中を押してくれたり、前で「こっちに来い」と呼んでくれたり、この12年間でそういうことが何度もありました。いつも古代を前に進めてくれるのは雪なんです。だから道標みたいな存在かもしれません。
ーー古川さんは雪についていかがですか?
古川:大いにアルフォンの視点が入る気がするので……。
小野:(声を潜めながら)この場で言っておいた方が良いよ。そうしないと、僕がバカップルの片割れみたいになっちゃうから……。
古川:12年続いていて、たくさん募る想いがあった訳じゃないですか。先ほどあった番宣の収録では、小野さんが「ずっと雪とイチャイチャするストーリーはどうですか?」と福井さんにメッセージを送っていました。個人的にも観たくなりましたね。しっかり30分かけてお互いのどこが好きでどこを頼もしく思っているのか、逆にここが嫌いだけど愛しているっていう話を理路整然とやってほしい!
小野:きっとふたりとも可愛いぞ!
一同:(笑)。
小野:「古代進は地球を守ったぞ!」なんて空に向かって言っていますから。あれは……可愛いぞ!
古川:まだふたりとも20代だから若いんですよね(笑)。
小野:でもあればっかり描いたら、逆に見ていられないかもしれない(笑)。アルフォンから見た雪の魅力も言ってくれたまえよ!
古川:言ってみれば、アルフォンの立ち位置って間男なんですよ。それは僕も承知していますし、だからこそ描けることがあるんだろうなと考えています。これはメタ的な話も含むのですが、雪さんってとんでもなく一途な人じゃないですか。そこがやっぱりアルフォン的にも魅力だと思うし、多くのファンのみなさんに素敵な女性だと思わせてくれる大きな力だと思うんです。
そこに容姿や声の綺麗さ、行動派な一面や精神的な強さも重なって、かなり理想的な女性像に仕上がっている。その中に弱音を吐いてしまうところや人間的な可愛さも持っているので、そういうところをアルフォンは見ているんだろうなと。
ーーおふたりの的確な分析に圧倒されてしまいました。
小野:僕はただ惚気ただけだったけれど……。
古川:やはり恋という靄の中にいたら、誰しもそうなるんじゃないですかね。僕は1歩も2歩も引いた目線で見ていたから。
小野:でも楽しみですね。これだけ語ってくれるということは、そこにロマンスがあるんだと思います。
古川:物語の中心になってくる要素だと思うので、考える余裕はたくさんあるんですよ。
ーーありがとうございます。『ヤマトよ永遠に REBEL3199』から登場するキャラクターでおふたりが注目している人もぜひ挙げてもらえますか。
小野:僕は北野誠也です。彼の存在には安心感がありつつ、同時に言いようのない不思議な部分も感じていて。彼には絶対何かがありそうだなと。そんなキャラクターを鳥海浩輔さんが演じているので、絶対に今回の鍵となるキャラクターだと思います。
古川:僕は、アルフォンの部下であるイジドールですね。この人、本当にどうなるのかわからないんですよ。そういう意味で、爆弾を持っている可能性があると僕自身は予想しているので、今後の物語を楽しみにしていてください。
ーーリメイクシリーズも開始から12年が経過していますが、小野さんのなかで大切にしてきた軸を伺わせてください。
小野:『ヤマト』という作品が持っているテーマを一言でいえば、“普遍の愛”です。それは変わらないものだけど、ずっと在り続けるかというとそうではなくて。次の世代へ渡していくものなんだと思っています。
僕はヤマト世代の次の世代なので、『ヤマト』自体は僕が生まれる前に始まった作品なんです。でもそんな自分が新しい時代の『ヤマト』を背負わせてもらった。そして同じ艦に乗るみなさんも、ヤマト世代の方もいればここから知る方もたくさんいらっしゃって。
そんな僕らが『ヤマト』を作ったら、今度は受け止めてくださる方たちが日曜の夕方に観てくれる小中学生になっている。『ヤマト』はただただアニメが好きな人だけのものではなくて、もう一度国民的なアニメになってまた次の世代へと繋がろうとしているんです。
僕も古代のように生きたいけれど難しいから周りの人に支えられているし、古代だって波動砲をみんなで撃つことになった。そこには愛が必要で、ひとりでは生きていけないんです。その愛を次の世代に伝えていくということを、役者としても古代進としても使命として自分の心の中に持って、ずっと演じています。
ーー『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の展開にあわせて、前作となる『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』のTV放送もスタートしています。改めて見返してほしいシーンはありますか?
小野:やはりラストシーンです。最後に『REBEL3199』のタイトルが大きく出てきたので、すぐ次回作へと進めるのかと思いました。あの終わり方は実は初めてだったんです。『2202』は、真田志郎の大演説で特にしっかり終わっていましたし。
僕は『2205』から今回の『3199』は既に始まっていたんじゃないかなって思っています。デザリアムという存在があまりにも謎で、そんな彼らが本当に恐ろしくて。『2205』を演じ切ったはずなのに不安を覚えたこと、その反面次回作への期待が膨らんだことを覚えています。
ーー古代の立場もこれまでとは少し変わっていますよね。
小野:まさしく中間管理職でしたね。もうトップに立てばいいのに、古代はそれをしないんです。やはり自制してしまうし、心は強いけれど内省的な一面が強いから、中々前に進めない。それも含めての古代進なのかなと。
もうひとつ大きいのは、土門竜介の存在です。彼が古代を大人にしてくれたと思っています。『3199』第一章で土門が、「これからはみんなで背負っていく」と話しているシーンにはグッときました。それを古代ではなく、土門が言うことに感動してしまったんです。『3199』をご覧になる前にぜひ『2205』を振り返っていただきたいなと。
ーー『2205』の古代と土門と言えば、「こっちは経験者だぞ」のシーンは印象に残っている方も多そうです。
小野:一瞬格好良いなと思いつつ、「でも、土門に大人にしてもらってるじゃん」と思いました。「なんで言わない」「なんで相談しない」とは言うけれど、「あなたもウジウジしていたじゃないか」って。そういう意味でも、やはり土門は印象的でしたね。
ーー最後におふたりから、上映を楽しみにしている作品のファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
小野:スタッフのみなさんが物凄い時間と手間をかけて仕上げてくださっています。だからこそ稀に遅れてしまったりもするのですが、劇場にかけるからこそ1話1話のクオリティが毎回高い。枚数をかけているし書き込みも半端ないし、これでもかと動きます。声を入れている段階では全ての絵が完成している訳ではなく、音もついていないので、劇場で鑑賞すると僕たちもファンのみなさんと同じように感動するんです。こんなにも素晴らしい艦に乗れていることを誇りに思います。
もっと大きな括りで言うと、日本のアニメーションの素晴らしさを、新しい『ヤマト』で存分に感じていただけると思っています。ぜひ期待していてください!
古川:僕は新参者なので、受け入れてもらえるかという気持ちもありますが、絶対観に行く価値のある作品です。原作を知っている方もリメイクシリーズを追ってくださっている方も楽しめると思いますので、よろしくお願いします!
[インタビュー・撮影/胃の上心臓]
『ヤマトよ永遠に REBEL3199』作品情報
あらすじ
キャスト
(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会