『ヤマトよ永遠に REBEL3199』福井晴敏総監督×ヤマトナオミチ監督インタビュー|主人公・古代進が背負う作品に圧し掛かる重み。物語に込められた現実世界とのリンクとは?
2012年から展開されている不朽の名作『宇宙戦艦ヤマト』のリメイクシリーズ。その最新作『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』が、いよいよ2024年7月19日(金)より全国の映画館で上映されます。
アニメイトタイムズではその上映に先駆け、今作の中核を担う福井晴敏総監督&ヤマトナオミチ監督へのインタビューを実施しました。
今回は、前作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』を経たキャラクターたちがどんな物語を紡いでいくか、そして作品に込められたテーマなど、映画の鑑賞前に知りたい情報を中心に伺っています。
ご一読いただくことでより作品を楽しめるはずなので、ぜひ今作の鑑賞前にチェックしてみてください!
過去作を知っていても予測がつかない展開に
ーー前作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』のラストで告知された『ヤマトよ永遠に REBEL3199』がいよいよ上映開始となります。まずは今の心境をお願いします。
福井晴敏総監督(以下、福井):本当にお待たせして申し訳ないという気持ちです。前作がああいった結末を迎えたからには、少なくともその1年後には上映しなければなりませんでした。結果的に2年以上の時間が空いてしまったため、まずはお待たせし過ぎたことをお詫びしたい気持ちが一番にあります。
ヤマトナオミチ監督(以下、ヤマト):個人的には新たなスタッフの座組も含め、積み重ねのための時間がいくらあっても足りないと考えていました。申し訳ない思いもありつつ、お待たせした期間の中で、ようやくみなさんにお見せできる状態に持ってこられたと思っています。
ーーヤマト監督は、今作から新たにリメイクシリーズの監督を担当されています。その経緯についても、お聞かせいただけますか?
ヤマト:前作では、幾つかのエピソードで演出を担当させていただきましたが、その後、紆余曲折あって福井さんからご連絡いただき、自分としても『宇宙戦艦ヤマト』やSF作品が好きだったので、ぜひという形で監督の仕事を受けさせていただきました。今は何とか福井さんに認めてもらえるように、一生懸命頑張っています。
ーー福井さんからの依頼がきっかけだったんですね。
福井:元々忘れようのない名前ですが、前作の時に演出として良い仕事をしていただきまして、「この名前は絶対に覚えておこう」と思っていました。その流れで次の現場をまとめる人は誰にしようかと考えた時、真っ先に思い浮かんだのがヤマト監督だったんです。
ーーここから今作の物語について、掘り下げていきたいと思います。前作では、土門竜介たちが新たな風を吹かせていました。それを踏まえたうえで、今作はどのような展開が描かれていくのでしょうか?
福井:もう40年前の作品になりますが、オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』と『ヤマトよ永遠に』は登場する敵は同じでも作品としてのカラーが全く違う、前作が無かったことになっていると感じるくらい雰囲気に違いがあるんです。そこで今回は、これまで登場したキャラクターたちのドラマをきちんと踏まえて、大河ドラマ調に構成しています。雰囲気がかなり変わって、前作よりさらにソリッドな印象になっているんじゃないかと。
ヤマト:前作と比べて、地に足のついたところから積み重ねていくような物語になっている分、キャラクターひとりひとりの抱えているものがより具体的になっていると感じます。
福井:第一章は原作にある程度近いですが、今作はかなり違う流れを辿ることになると思います。色々なところが変わっていて、この先は誰も予想できない方向に進んでいくので、原作を知っている方も、そうでない方も楽しめると思います。
ーー逆に変えずに大切にしている部分はあるのでしょうか?
福井:『ヤマト』という作品は、戦艦大和の形をした艦が宇宙を旅するスペースロマンという側面があるので、そのスケール感はきちんと継承したいと考えていました。過去作の印象的なシーンやカットは極力再現しているんです。過去作とは意味合いが異なる状況もありますが、そういった部分にもきちんと取り組んでいます。
アニメーションは実写では実現不可能に近いスケールのことをド派手にやれる媒体で、『ヤマト』や『ガンダム』はその最前線。そういう意味で、『ヤマト』でしか見られないスペースバトルやスペクタクルの部分についても力を注ぐ必要があるなと。
ヤマト:カット単位で福井さんから「ここは原作準拠で」「ここは原作と同じ表現を今の技術でやってくれ」と指示をもらうことがありまして。だからこそ、原作からのファンの方の印象をふまえた作品に仕上がっていると感じます。ただ、原作はその当時のトップクリエイターの方々によって生み出された映像なので、実は容易に再現できないこともあるんです。
ーー福井さん自身が、原作に準拠するよう指定したシーンがあると。
福井:最低限それをやっておかないと、“リメイク”と謳うアリバイがなくなってしまうと言いますか。当時からのファンのみなさんが共通して持っている印象的な部分は、間違いなく拾っていきたいと思っています。