夏アニメ『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 Season Ⅱ』:小林裕介さん(イスカ役)×雨宮 天さん(アリスリーゼ役)インタビュー|イスカが不利な戦いをひっくり返す展開、そしてコメディチックな燐とアリスと母のミラべアとの関係性にも注目!
細音 啓さんの人気小説が原作のアニメ『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』の待望のSeason Ⅱ が2024年7月10日より放送中。
戦いを繰り広げる帝国に属するイスカと、皇庁の女王の娘として生まれたアリスリーゼの二人は戦場で出会い、戦いを重ねるうちにひかれていくが許されない恋。そして激しさを増す戦いと権謀術数を尽くした駆け引き。果たして2人の運命はいかに?
2020年10月にアニメ化され、同年12月に終了しましたが、約4年の年月を経て、Season Ⅱ の幕が上がります。放送開始を記念して、イスカ役を演じる小林裕介さんとアリスリーゼ役の雨宮 天さんによる対談をお届けします。Season Ⅰを経て、イスカとアリスの心境の変化は? Season Ⅰを振り返りながらSeason Ⅱの見どころを語っていただきました。
SeasonⅠも充実した内容だったが、Season Ⅱ を収録していくと物語のイントロだったと思えた
――Season Ⅰを振り返った感想と印象的だった回やシーンを教えてください。
小林裕介さん(以下、小林):Season Ⅰ は、帝国と皇庁がいったいどういう対立関係にあったのかというイントロダクションみたいなところだったんだなと、Season Ⅱ を演じてみて改めて感じました。お互いの関係値や情勢を、いろいろな伏線を張り巡らした上で、ここから本番が始まったなと。そう思うと、イスカとアリスのイチャイチャも今となっては懐かしく感じます。
印象的だったのは、アリスとの共闘シーンですね。音楽などの力も相まって、印象的なシーンになったかなと思っています。
雨宮 天さん(以下、雨宮):Season Ⅰを先日見返してみて、とても充実していたんだなと思いました。そしてアリスとイスカの出会いがどれだけ運命的なのかも感じました。敵国同士でありながらも二人は息も合うし、一緒に戦った時も呼吸がピッタリ合っていて、本当に運命の二人なんだなと思いました。
また国同士のお話ということもあって、二人を取り巻く周りのキャラクターたちの立ち位置や境遇などもすごく練られているんですよね。政治的な駆け引きや思惑なども絡み合い、それぞれのキャラクターにちゃんと役割があって、充実感を感じたSeason Ⅰでした。
印象的だったのは7話(「楽園 -アリスの一番長い夜-」)で、燐(りん)が睡眠薬をジュースに盛ってイスカを連れ去った車内でのシーンが好きです(笑)。どちらの陣営にバレてもまずい状況なのに、アリスは隣で寝ているイスカを見て、ほっぺをツンツンしたり、寄りかかってきたイスカを吹っ飛ばしたりして。アリスは何があってもいつも通りマイペースなんだなと思ったし、アリスと燐のほのぼのとしたところも見られたのもよかったです。イスカがちゃんと一回、アリスに失望するところもいいですよね。イスカから「こんなことしちゃうんだ」と言われたりして(笑)。
――敵同士の二人がひかれ合うという設定はよくありますが、共闘したり、ましてやここまでイチャイチャするのは珍しいですよね。
雨宮:絶妙ですよね、そのバランスが(笑)。どこかほのぼのとしていて。
小林:そうだね。緊張感のあるシーンの途中にイチャイチャシーンが挟まれることが多々あって。それがあるから見ていてもあまり疲れないのかもしれませんね。
雨宮:確かに。あとキャラクターたちがみんな、どこかに愛らしさがあって。イスカは純朴な少年ですし、ミスミスもあれで隊長という……。
小林:こら!(笑) でも、まだ隊長らしいところを見たことがないような……。
雨宮:どうして隊長になれたのかな?
小林:何かあるんじゃない? もしかしたら頭がすごくいいのかもしれない。
雨宮:いいのかな? ジンにバカにされている印象があるし、しかも体力もないし、走るのも遅いし、泳げもしないし。
小林:そこまで言う?(笑)
雨宮:あと、すごくストイックに見えて、実は抜けている燐とか。あれでドジっ娘で、よく空回りしたり、後先考えないところとか。
小林:みんな、どこか欠けているよね。
――そんなコミカルな緩和の時とシリアスな緊張状態が1話の中にあるから楽しめるんですよね。
雨宮:キャラクターも多いし、ずっとバチバチだと疲れるでしょうから。
Season Ⅱのイスカは、Season Ⅰ以上に胃もたれするほど甘く!?
――またイスカとアリスは、戦闘シーンでは凛々しくカッコいいのに、日常パートになるとおもしろかったり、かわいいギャップがあるのもいいですね。
小林:あまりにもその両方での経験値の差が大きいんですよね。戦いに身を投じることの経験値はレベル100くらいあるけど、人間関係、ことに恋愛に対してはレベル1くらいしかない状態なので、演じる時もキャラを意識せずに、セリフから受けた印象をそのままお芝居で表現しました。Season ⅡではSeason Ⅰ以上に甘めにしてほしいという要望がありました。だから、だいぶ胃もたれするかもしれません。
一同:(笑)
小林:そのくらい、たっぷりやっています。でもそれはストーリー上の大事な演出ゆえで、イチャイチャと緊張がいいバランスのキミ戦で序盤をそんなに甘くするということが何を意味するのか………是非先の展開を楽しみにしていて欲しいです。
――Season Ⅱシリーズが動き出した時の感想をお聞かせください。
小林:Season Ⅰが終わった時点で、「Season Ⅱもやります」とふわっと聞いていました。ここまでの間に、ラジオ(『小林裕介と雨宮天のキミ戦RADIO』)もやっていたこともあって、それほど間隔が空いていた気がしていなくて。キャスト同士でも集まって、ご飯を食べに行ったりもしていたので。
雨宮:みんな、仲良しで。今回が約4年ぶりの収録というのを聞いて、「そんなに経っていたんだ!?」と驚いたくらいで。
――ということは。今回のアフレコも難しさを感じたり、緊張することもなく?
雨宮:アフレコは緊張しました(笑)。役を演じるのは久しぶりなので、ちゃんとアリスを演じられるかなと思ったことに加えて、Season Ⅱは、制作チームが新しくなったこともあって。収録の一番最初のほうで、「Season Ⅱではバラエティ部分は思い切り突き抜けていきたい」と説明していただいたので、今までのアリスでありながらも、また違った色付けも必要なんだなと思った時、「その加減は大丈夫かな?」という不安もありました。
そして実際に演じてみたら「アリスは今期ではこんな表情もするんだ!?」という驚きや発見も多かったので、同じキャラを演じていつつも、新しいキャラを演じているように感じる瞬間もあって。そのバランス感をちゃんと取れているのかなという緊張感はありました。
小林:僕はあまり緊張しなかったですね。むしろSeason Ⅰの時は分散収録になりたての頃で、最初のほうは雨宮さんとも掛け合う機会もなかったので、ふわふわした状態でしたが、今回は可能な限り、掛け合っているシーンは一緒にグループで録れていて。だから掛け合いで生まれる、会話を重視したいなと思っていたので、Season Ⅰで作ったものをそれほど引きずらずに、もしズレていたら監督(稲葉友紀さん)やアフレコ演出(長崎行男さん)が正してくれると信じてやらせていただきました。
また雨宮さんがおっしゃっていたように、Season Ⅱはバラエティ色が強いシーンがあり、アリスだけ盛り上がっているように感じられるといけないので、アリスの熱量に負けないように恐れずにやりました。関係値がこの数年で育ったので、テスト収録が終わった休憩中にも「アレ、あそこまでやって良かったかな?」とか、「やりすぎだったよね?」などディスカッションした上で収録の本番に臨めたので、Season Ⅰの手探りだった時よりはやりがいがある収録でした。
――それだと、完成したアニメの1話を見るまではドキドキなのでは?
小林:そうですね。
雨宮:本当に(笑)。アフレコの時点では絵などもまだ作り掛けの状態だったので、「雰囲気がつかみ切れているのか」とか「テンション感がそろっているのか?」などまだドキドキ中です。またアフレコでは「もっとギャグを大きく、やっちゃっても大丈夫です」というリテイクが結構多かったので、私は最終的にうまく着地できたのだろうかという不安を抱えたまま、放送を待っています。
――「もっともっと」と言われても、どこまでやっていいのか、悩ましいですよね。
雨宮:Season Ⅰの12話で作り上げたものがあって、それを踏まえてのSeason Ⅱだけど、「もっともっと」となると、アリスでいられているかという想いもあって。Season Ⅱの序盤の展開はラブコメ色が特に強いので。
――「Season Ⅱ で、アリス、キャラ変してない?」とか言われたりして(笑)。
雨宮:それもあって。キャラが変わっちゃったと思われるのか、新たな魅力を発見できたなと思われるのかは、こちらの技量もあるのかなと思いますね。