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【推しの子】『15年の嘘』解説|アイの願う“嘘”と“愛”

TVアニメ『【推しの子】』の物語は、これから更に仄暗さを増すーー作中劇『15年の嘘』の目的と登場人物を解説|実は第1巻から登場していた「カミキヒカル」って何者? アイの“本当の願い”とは

2024年7月よりTVアニメ第2期が放送されている、人気漫画『【推しの子】』。

輝かしい芸能界を舞台に、様々なキャラクターのリアルな生き様が描かれる本作。現在放送中の「2.5次元舞台編」を経て、物語は更なる深みに到達します。

本稿では、これからの『【推しの子】』において重要な要素となる作中劇『15年の嘘』について解説します。原作漫画155話(2024年7月18日(木)更新)の内容を含みますので、ネタバレには十分お気をつけください。

どうか、ハッピーエンドのその先も「全部まとめてハッピーエンド」になりますように。

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新たな舞台の幕が開く──人気マンガ『東京ブレイド』の舞台稽古が始まった。劇団ララライの役者達に囲まれ、大きく飛躍するかな。かなの才能を認めながら、ライバル心を激しく燃やすあかね。才能と熱意のある役者が集う中、アクアは演技すらも利用してアイの死の真相を追い続ける──。そしてアイドルとして母の背中を追い続けるルビーは......。作品名【推しの子】第2期放送形態TVアニメシリーズ【推しの子】スケジュール2024年7月3日(水)〜TOKYOMXほかキャストアクア:大塚剛央ルビー:伊駒ゆりえ有馬かな:潘めぐみ黒川あかね:石見舞菜香MEMちょ:大久保瑠美姫川大輝:内山昂輝鳴嶋メルト:前田誠二鴨志田朔夜:小林裕介鮫島アビ子:佐倉綾音吉祥寺頼子:伊藤静雷田澄彰:鈴村健一GOA:小野大輔金田一敏郎:志村知幸アイ:高橋李依スタッフ原作:「【推しの子】」赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)監督:平牧大輔助監督:猫富ちゃお 仁科くにやすシリーズ構成:田中仁キャラクターデザイン:平山寛菜サブキャラクターデザイン:澤井駿 渡部里美 横山穂乃花総作画監督:平山寛菜 渡部里美 横山穂乃花 稲手遥香 監物ケビン雄太アクションアニメーター:あもーじーメ...

作中劇『15年の嘘』の概要と目的

『15年の嘘』は、星野アクアとその師匠的存在である五反田泰志が企画する、“実際に起きたアイドル殺傷事件をベースにした実録映画”です。

もちろん、このアイドル殺傷事件とは、アクア、星野ルビーの母親であるアイのこと。アクアはこの映画を制作・上映することによって、アイを殺した犯人と関連する人物を糾弾し、復讐を遂げようとしています。

当時、なぜアイが殺されたのか。そしてアイが殺された裏で何が起きていたのか。アイはもちろん、彼女と関わりの深い人物を役として再現し、現在の役者にあてがうことで映画化が企画されました。

『15年の嘘』登場人物

こちらでは、作中劇『15年の嘘』に登場する人物と担当役者をご紹介。重要人物に焦点を当て、アイ生前時点のエピソードもあわせて解説しています。

アイ(演:星野ルビー)

『15年の嘘』のモデルとなった「アイドル殺傷事件」の被害者であり、当時一気にスターダムを駆け上がった伝説的アイドル。

本作でアイを演じるのは、娘である星野ルビー。構想段階では不知火フリル、黒川あかねがアイ役の有力候補でしたが、生前のアイと幼き頃のルビーを知る本作の監督・五反田の進言により、急遽候補者の一人に名が上がります。

そして、復讐の念を燃やすルビーも、アイを演じることを決心。憧れのアイドルであり、殺された母親を演じるという、タフな状況に置かれながらも、無事に撮影を終えました。

「『15年の嘘』は「アイ役の役者が加害者を許すかどうか」で作品全てが変わる」。ルビーは一体、どれほどの覚悟でアイを演じたのか。ぜひ、本編を読んでお確かめください。


少年A=カミキヒカル(演:星野アクア)

アイの殺害に深く関わりのある人物であるとともに、アクアとルビーの父親であるカミキ。かつて劇団ララライに所属しており、ワークショップに参加したアイと出会います。

アイ、アクア、ルビーとの共通点はなんといっても瞳の中に宿る星です。作中でもたびたび話題に上がるこの星は、「人を騙す目」「嘘つきの目」などと表現されてきました。

その言葉通り自分を嘘で塗り固め、人に愛されるような自分を演じていたカミキ。幼い頃から芸能界にいたカミキは、その嘘で世を渡ると同時に、深い苦しみも味わいます。

そんなときに出会ったのがアイ。「嘘つき」という共通点のもと、二人はともに時間を過ごすことになりますが……。


『15年の嘘』でカミキを演じるのは息子であるアクア。容姿は生き写しのようであり、衣装に着替えると見分けがつかないほど、姿や顔立ちが似ています。

演者としてだけでなく、脚本として本作に関わっているアクアの葛藤、疑念、苦悩の描写は必見です。

実は単行本第1巻から登場していたカミキ

「アイ殺傷事件」諸悪の根源的存在のカミキですが、実は単行本第1巻から登場していました。

第2話から、ストーリーの冒頭に挿し込まれているインタビュー描写。このインタビュアーがカミキである可能性があります。

第2話〜第4話までのインタビューに関しては推測の域を出ませんが、第5話の五反田監督のインタビューの場面では『15年の嘘』が飾られており、第9話冒頭のアクアのインタビューは、第152話にてカミキとアクアが対峙する場面へと繋がりました。

細やかな謎が張り巡らされる『【推しの子】』。今後も様々な伏線が回収されていくことでしょう。


旧B小町メンバー(演:有馬かな、黒川あかね、MEMちょ)

かつてアイとともにB小町として活動していた、ニノ・高峰・めいめいを、有馬かな・黒川あかね・MEMちょが演じます。

アイの死による人気の低迷により解散の運びとなった旧B小町。『15年の嘘』の撮影には、旧メンバーも見学に訪れ、当時を振り返る描写が描かれました。

その中でも異質な描写が目立つのが、有馬かなが演じたニノこと新野冬子。旧B小町のスタートアップメンバーであり、最初期の人気メンバーとして活躍しました。しかし、アイがB小町に加入してからは人気が薄れ、ファンはアイに着くように……。

人間であればそんな状況に何も思わないはずはなく、「アイの失墜を誰よりも願い」そしてアイの「誰よりも憧れた信者」であったニノ。カミキヒカルとのつながりも示唆されるなど、未だに謎の多い人物です。


原作・赤坂アカ先生の描き下ろし小説『45510』(第1期OP主題歌、YOASOBI『アイドル』モデル小説)では、上記のような旧B小町の知られざる一面が描かれています。原作漫画に登場する細やかな描写の伏線にもなっていますので、一読をオススメします。

■赤坂アカ先生描き下ろし小説『45510』はこちら

上原清十郎(演:姫川大輝)・姫川愛梨(演:不知火フリル)

売れない役者、上原清十郎と朝ドラ女優姫川愛梨。この二人は夫婦であり、二人の間には息子の姫川大輝がいます。

息子の大輝は、TVアニメ第2期で描かれた「2.5次元舞台編」における舞台『東京ブレイド』で主演を務めた天才役者。一家揃って演劇の道に進む「演劇一家」です。

しかし、その実態は芸能界の闇そのもの。大輝は清十郎と愛梨の子ではなく、カミキヒカルと愛梨の子どもであることが判明します。

当時のカミキは11歳。愛梨(フリル)が見せる醜悪な表情に、思わず背筋が凍ります。

そして、本作で清十郎を演じるのは、他でもない息子の大輝です。「父親の役として母親に対峙する気分」を「最悪」と評しながらも、どこかスッキリとした表情を見せる大輝。彼にとっても、ひとつの区切りがつく瞬間だったのかもしれません。


子ども役A・B=アクア・ルビー(演:ツクヨミ)

子ども時代のアクアとルビーを演じるのは、謎の子ども「ツクヨミ」。転生直後の星野兄妹の歪さ、気持ち悪さを的確に演じ、制作に貢献しました。

ツクヨミの出自は長らく伏せられていましたが、第145話にて判明。その正体は、星野兄妹の転生前である雨宮ゴロー・天童寺さりなに命を助けられたカラスでした。ツクヨミもまた、転生した一人(一羽)だったというわけですね。

助けてもらった恩から、もしかすると誰よりも星野兄妹を案じていたツクヨミ。映画出演も事故的なものでしたが、第145話で見せてくれたどこか幸せそうな表情が印象的です。

<次ページ:【超ネタバレ注意!】映画『15年の嘘』とは、何だったのか>
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