アニメ好き女子による究極の「ドリームボーイフレンド」が登場!? ピクサーで活躍する村山さんに聞く、本作のキャラクター誕生秘話!|『インサイド・ヘッド2』キャラクターアートディレクター・村山佳子さんインタビュー
2024年8月1日(木)に全国公開される、ディズニー&ピクサーの最新映画『インサイド・ヘッド2』。
シリーズの主人公であるライリーとその感情たちの成長を楽しみ、そして思春期の彼女に訪れた新しい感情たちが繰り広げる"感情の嵐"に誰もが共感する本作は、ピクサー史上最大のヒットを記録しています。
アニメイトタイムズでは、本作のキャラクターアートディレクターを務め、ピクサーで大活躍中のクリエイター・村山佳子さんにインタビュー!
村山さんは、日本の高校を卒業後、アメリカに留学しカリフォルニア州パサディナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(美術大学)へと編入。
様々な企業でキャラクターデザインとして携わり、アメリカでキャリアを積み上げた後、2022年にピクサーへ入社すると『私ときどきレッサーパンダ』のキャラクターデザインを担当。
その功績が認められ、なんと入社2年にして、本作ではチームを束ねるキャラクター・アート・ディレクターに就任した天才的なクリエイターなのです!
本インタビューでは、村山さんが担当したお仕事のお話から、キャラクターの誕生秘話、アニメーターとして活躍するために必要なことなど、貴重なお話を伺うことができました。
インタビュー終了後には、村山さんがデザインを担当した新キャラクター・イイナー(CV:花澤香菜)のイラストを特別に描いていただきました!
世界トップのアニメーション企業で、チームを束ねる村山さん
ーー本日はよろしくお願いします。村山さんは普段はアメリカの方で生活されているんですよね?
村山佳子(以下、村山):そうですね。もうなんだかんだ20年ほどアメリカで働いています。
ーー村山さんはアメリカでも日本のアニメ作品をかなり見ていらっしゃると聞きました。
村山:クランチロールとネットフリックス、プライム・ビデオ等をよく使って、たくさん見ています(笑)。
ーー普段ピクサーの社員さんたちと、日本のアニメについて話したりします?
村山:はい! アニメや漫画が大好きな方ばっかりなので、社用のコミュニケーションツール内でアニメクラブがあるくらい。
最近では『とんがり帽子のアトリエ』がアニメ化されたニュースで盛り上がっていましたよ(笑)。大体、社員同士で情報共有をして日本のコンテンツもチェックしています。
ーー凄く楽しそうですね。アメリカで素敵なキャリアを築いてきたかと思いますが、本作『インサイド・ヘッド2』はピクサーの中でも最大のヒットを記録しています。
村山:凄くびっくりしてるんですけど、やっぱりみんなが一生懸命作った作品がたくさんの人に楽しんでもらえているということなので、すごく嬉しいです。
ーー村山さんは本作でキャラクターアートディレクターを担当されていますが、具体的にどのようなお仕事をされていたのですか?
村山:まずキャラクターデザイナーとしては、イイナー、ハズカシ、ライリー、ランスを担当しました。アートディレクターとしては、キャラクターデザインチームのリーダーとして必要な情報を集めたり、「これいつまでに提出してね」とか、そういう管理もやっています。
デザインが終わった後、次のプロセスとして、モデリング等があるんですけど、その方たちが2Dから3Dにデザインを反映する時に、必要なアドバイスがあれば、私がそこに行ってお手伝いしていました。
イイナー
ハズカシ
ライリー
ランス・スラッシュブレード
ーー今作はどのようなアドバイスをされたのでしょう。
村山:デザインが決まった後、モデリングをしていくんですが、実はイイナーのような一番簡単そうなキャラクターこそ難しいんです。まず2Dのデザインだと、顔は平面の扱いになり、目をどれだけ大きくしても、違和感が少ないんです。ですが、3Dモデルとなるとそうもいかない。
顔が円から球体になるので、目にも奥行きができます。また、イイナーは、ちょっとだけ鼻が出てるんですけど、目が大きいせいで中心に目鼻が集まりすぎている印象になったりする。それを修正するとまた別のところで問題が生じて、それを修正して……の繰り返しです。
モデルのスタッフと毎日のように話し合って今の形になっています。
ーーキャラクターをデザインする時には、モデリングをする際のすり合わせ作業も意識されますか?
村山:私はそれを意識して作るタイプです。キャラクターアートディレクターに就任した際に、前作を担当していたアルロザーノ氏に話を聞きに行ったんですよ。
その時に、「自分のデザインのプロセスの際に、他の方のプロセスをインバイト(受け入れる)しなさい」とアドバイスいただきました。
これから、二人三脚でファイナルプロダクトを作り上げていくにあたって、自分の意見も相手の意見も、作業に取り掛かる前に理解していたほうが効率が良いですし、互いに気持ちよくできます。紙に描いている時点で修正するほうがよっぽど早いです。なので、私はそういうマインドで仕事をしています。
ーーなるほど。キャラクター名や、キャラクターの雰囲気などが与えられた上で、村山さんの作業が始まるのですか?
村山:キャラクターの名前と、性格、そして1番重要なストーリーの中でどういう役割を持っているかを監督からいただいてデザインしています。続編で難しいのは、1作目のルールとかスタイルに沿わなきゃいけないことです。
なので、新しいキャラクターをデザインする時は必ず、ヨロコビ達を並べて描いています。ニュアンスのレベルになってくるんですけどね。
ーー当たり前ですが、似ていたり被っていると駄目ですもんね。
村山:被ってしまうことはあまりないですが、なんせ本作のキャラクターは自由度が高いので(笑)頭の中に登場するから何でもありじゃないですか。
『インサイド・ヘッド』っていう世界の中から飛び出さないように意識していましたね。