一番自分の琴線に触れるくらいかっこいいなと思っていたのが「山陽新幹線 500系こだま」だったんです──TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』新エンディング主題歌「KO. DA. MA.」THE ALFEE 高見沢俊彦インタビュー
ジェイアール東日本企画・小学館集英社プロダクション・タカラトミーの3社が原案となる『シンカリオン』シリーズの最新作、TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド(以下、シンカリオンCW)』。本作のエンディング主題歌は、豪華アーティストが実在する新幹線をモチーフにしたタイトルで主題歌を書き下ろす“UTA-RAIL♪PROJECT(ウタレール プロジェクト)”として展開されています。
4月からエンディング主題歌を担当したmeiyoから、バトンはTHE ALFEEへ。7月14日(日)の放送からTHE ALFEEの新曲「KO. DA. MA.」が、新エンディング主題歌としてお披露目されました。
本稿では、「山陽新幹線500系こだま」をモチーフにした楽曲ということで、7月31日の「こだまの日」に合わせてTHE ALFEE 高見沢俊彦さんにインタビューを実施。新幹線が大好きという高見沢さんの、鉄分濃いめのトークをお楽しみください。
一番自分の琴線に触れるくらいかっこいいなと思っていたのが「山陽新幹線500系こだま」だったんです
――SNS上ではファンの皆さんが「高見沢さんは山陽新幹線の500系こだまが一番好き」「徹子の部屋でも新幹線について語っていた」といった投稿をされています。そんな新幹線好きの高見沢さんのところに、今回の話が来た時の感想を教えてください。
THE ALFEE 高見沢俊彦(以下、高見沢):コロナで全国ツアーができなかったものですから、早く新幹線に乗りたいと思ってましたよ。もちろん新幹線はどれも好きですが、今走っているものの中で、形や色を含めて一番自分の琴線に触れるくらいかっこいいなと思っていたのが「山陽新幹線500系こだま」だったんです。
今回、『シンカリオンCW』のエンディング主題歌のお話をいただいた際、幾つかのアーティストに新幹線を振り分けて曲を作るプロジェクトということだったので、THE ALFEEがどの新幹線を担当するかわからなかったんです。
それが、本当に偶然にも僕が好きな「山陽新幹線500系こだま」だったんです。もう野球のドラフト会議で1位を引き当てた監督のような嬉しい気持ちで、楽曲制作に気合いが入りましたよ。
――鉄道や新幹線がお好きとのことですが、『シンカリオン』というアニメ自体はご存知だったのでしょうか?
高見沢:もちろん知ってましたよ。新幹線がロボットになるなんて僕が見逃すわけないじゃないですか。ロボットアニメは『鉄人28号』の時代から大好きで、『シンカリオン』はアニメの設定とかも凄くしっかりしていて、そういう部分でも注目していました。
――『シンカリオンCW』は主人公の大成タイセイを中心に、九頭竜リョータとフォールデン アカネの3人がメインキャラクターになっています。THE ALFEEもメンバーが3人ということで、各キャラクターをメンバーに当てはめるとしたら誰がどのキャラになると思いますか?
高見沢:いや~あんなカッコイイ子は誰もいないと思いますよ。アカネはクールなキャラクターなので、クールといえば桜井(賢)なのかな。お調子者のリョータは坂崎(幸之助)で決定ですけど(笑)。
でも、僕はタイセイみたいに「何かを守れる、カッコイイ人に」なんて言えないしなぁ。タイセイとアカネのどちらにも似ている気もするし、どちらも違うような気がします。
――個人的には鉄道愛を語っている時の高見沢さんはタイセイのようで、ステージ上だとアカネのようにカッコイイ印象です。
高見沢:アカネは日本人とフランス人のダブルですよね。僕と髪の色が似ているので、ちょっとアカネかもと思いましたが、僕はタイセイほど真っ直ぐではないですから(笑)。
――そんな高見沢さんといえばオリジナルの変形ギターも有名です。『シンカリオン』モデルの変形ギターにも期待して良いでしょうか?
高見沢:実はもう『シンカリオン』モデルの変形ギターは完成していて、ちょっとわがままを言って「E5はやぶさ」モデルと「500こだま」モデルの2本を作ってもらったんです。
(写真を見せながら)これが「E5はやぶさ」モデルのギターです。
一同:かっこいい!
高見沢:色で「E5はやぶさ」とすぐにわかりますよね。しかもERDAのロゴも入れてもらっていますから。
――元のギターの形はフライングVですか?
高見沢:いえ、ESP のアローというギターが基本です。このギターのお披露目を8月のイベント(THE ALFEE 2024 Wind of Time 50年目の夏祭り)でやろうと思っています。
※編集部注:ESP のアローは世界的に有名な日本のエレクトリックギター会社の手によるもの。変形ギターの先駆け的存在であり、高見沢さんが色々使用していることでも有名。
あえて「我が儘」というフレーズを入れた想いとは?
――今回の楽曲に関して、アニメ側から「こういう曲を作ってほしい」といったオーダーはありましたか?
高見沢:とにかく「アルフィーらしい楽曲をお願いします」という要望はありました。
だから「任せてください!」っていう感じでしたね。あと、楽曲のタイトルに「こだま」を入れてほしいというのもありましたが、それは最初から絶対に入れようと思っていたので全く問題ありませんでした。その2つくらいです。細かい指示はなかったですね。
――楽曲を聴いた印象ですが、特にイントロのドラムのリズムは、正に新幹線の走行音のように感じました。
高見沢:まさにその通りです。新幹線のスピード感をイントロで表現したいというのがありました。
――「山陽新幹線500系こだま」をモチーフにして楽曲を作るにあたって、どのようなアプローチで作詞・作曲したのでしょうか?
高見沢:普通は新幹線というと移動が目的ですけど、『シンカリオン』は「大切なものを守る」といった使命があるじゃないですか。歌詞に直接的には「守る」みたいな言葉は入れませんでしたが、新幹線のように自由に走って生きるみたいなことを織り交ぜたいと思って作りました。
あと、レールと人生を重ね合わせるといった考え方を、子どもたちにも分かりやすいように表現しています。
――歌詞の中で特に印象的だったのが、サビ終わりの「我が儘に 未来を生きろ!」というフレーズです。受け取り方によってはネガティブな印象にもなる「我が儘」という言葉を、あえて使ったのはどうしてでしょうか?
高見沢:「我が儘」という言葉をコーラスにした時に、綺麗に聞こえたというのが一つの要因です。
あと、今の時代は色々な制約が多いじゃないですか。例えば、音楽であればタイパ(タイムパフォーマンス)重視でギターソロはいらないとか、イントロを入れないで尺を短く作れとか。もちろんミュージシャンとして必要な場合は取り入れるので、ギターソロがいらないと思ったら入れないですし、いると思ったら当然ですが入れています。
そういった良い意味でのミュージシャン的な「我が儘」みたいなものは貫き通したいと思っていいます。だから、決してネガティブなイメージで「我が儘に 未来を生きろ!」と言っているわけではなく、自分らしく生きるとか、自分を曲げないという信念を持ってほしいということですね。
――THE ALFEEで10代に向けたメッセージソングというと「19 (nineteen)」があります。今回の「KO. DA. MA.」と「19 (nineteen)」の歌詞を比べると、全体的に眼差しが優しくなっている印象を受けました。このあたりは年齢や経験を重ねた心境の変化などがあったのでしょうか?
高見沢:やはり年を重ねたからかもしれないですね。ただ、「19 (nineteen)」は10代に向けた部分もありますが、かつて10代だった人たちに向けた曲というイメージもありました。僕らが出会ってTHE ALFEEを結成したのが19歳だったので、19歳という年齢には自分の中でも特別なイメージや想いがあって、そのタイトルをつけたんです。
――この二つの楽曲に共通する部分として「孤独」という歌詞があります。「19 (nineteen)」では孤独な夜みたいに一人であるのに対して、「KO. DA. MA.」では孤独だけど一人ではないというのも歌詞から感じました。
高見沢:そうですね。「KO. DA. MA.」も最初は孤独なんですが、偶然に彼女と出会って何か変わった、その何かを探しに行こうみたいな感じです。その「何か」が何なのかはまだ分からないけど、それでも未来に向かって走っていこうというポジティブな気持ちをこの曲に込めています。
――まだアニメ本編に「こだま」のシンカリオンが登場するか発表されていませんが、今回の楽曲が発表されたことで『シンカリオン』ファンの中には「これでこだまタイプのシンカリオン登場が確定だ!」と喜んでいる人もいるみたいです。
高見沢:これで登場しなかったらショックですよね。必ず出てくれると信じたいです。