『ツイスターズ』日本語吹替版 ケイト役・小芝風花さん×タイラー役・津田健次郎さんインタビュー|ケイトとタイラーの対照的なキャラクター像。誰かのお芝居に寄り添って演じる、吹き替えならではの難しさと面白さ
吹替の仕事では「自分以外のお芝居の組み立てを身をもって体感する」
ーー小芝さんは今作が二度目の吹替のお仕事になりますね。
小芝:自分自身で演じる訳ではなく、観たお芝居を再現する必要があるので、やはり難しいなと。加えて、今作は掛け合いがかなり速く、ページ数のある台本が一瞬で通り過ぎていって……。
津田:色々な人が同時に話しているシーンが圧倒的に多かったので、そもそも自分がどの声にセリフを当てるのか、チェック段階で聞き取るのは大変でした。あっという間に進んでくので、「うわっ、もうこんなところまで来てる!」みたいな(笑)。
小芝:(笑)。私が収録した段階では、津田さんの声だけ入っていたので、自分の中での道標になっていたんです。チェック用の映像には字幕もなかったので、自分が付いて行けているのかも分からなくて。『ツイスター(1996年公開の映画)』も観て、「どんな風に声を当てているんだろう?」と改めて確認していました。
ーー収録現場でのディレクションについてはいかがですか?
小芝:学生時代のケイトを演じる場面で、「もう少し子供っぽく、くだけた感じで良いかも」という指示をいただきました。最初は「気象学の天才」というイメージを持っていたので、常にしっかりしている人だと思ったんです。ただ、色々な経験を踏まえたうえでの“差”を出す必要があるなと。冒頭はしっかり説明するというより、学生ノリで楽しんでいる感じを意識して演じました。
ーー津田さんから見た小芝さんのお芝居の印象も伺いたいです。
津田:しっかりとした気持ちでお芝居されている印象で、本当に素晴らしかったです。吹替で観ると勢いのある表現がストレートに伝わってきました。小芝さんが持つフレッシュさや繊細さによって、ケイトの感情もより伝わりやすい気がします。
ーー様々なフィールドで活躍されているおふたりですが、吹替というお仕事の面白さはどこにあると思いますか?
津田:“誰かのお芝居に寄り添って演じる”というのは、洋画の吹替以外では少ないと思います。小芝さんが先程仰ったように、自分のお芝居とは違う組み立て方に対する違和感は当然あって。ただ、相手の表現に寄り添っていくなかで、それがピッタリとハマる瞬間もあるんです。
自分以外のお芝居の組み立てを身をもって体感する。もしくは、自分の感覚と役者さんの感覚の違いをどう乗り越えるか。もちろん合わせるだけでは面白くないので、そこに自分の感覚を持ち込んでいく必要もあります。そういった部分には、独特な面白さを感じますね。
小芝:(何度も頷く)
ーー先程からずっと頷かれていますね(笑)。
小芝:とても勉強になります!(笑) お芝居の間(ま)が日本とはかなり違っていて、海外の方の演技は息がすごく多いんです。「ッチ」「ンー」「マッ」とか。そういう音や感覚は、日本人同士の会話では出てこないので、洋画の吹替ならではだなと思います。引き出しにないお芝居や海外の方のナチュラルなやり取りを体感できるので、いつか自分の演技に使える日が来るかもしれないですね。
[インタビュー・撮影・編集/小川いなり 文/失野]
『ツイスターズ』作品情報
8月1日(木)全国ロードショー
配給: ワーナー・ブラザース映画
あらすじ
キャスト
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