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『黄昏アウトフォーカス』古川慎&中澤まさともインタビュー

仁と義一は激辛カレーみたいな組み合わせ? 原作と同じ、彼らの過程をアニメならではの熱量で味わってほしい──『黄昏アウトフォーカス』菊地原 仁役・古川 慎さん、市川義一役・中澤まさともさんインタビュー

じゃのめ先生原作(講談社『ハニーミルク』所載)の『黄昏アウトフォーカス』がアニメ化!

原作は、同名作と『残像スローモーション』『黄昏アウトフォーカスoverlap』『宵々モノローグ』『黄昏アウトフォーカス long take』など5作品あり、ドラマCD化もされている人気シリーズ。

男子校の映画部を舞台にした青春恋愛群像劇で、アニメのキャッチコピーは「僕らは、レンズ越しに恋を知る。」。今回のTVアニメでは真央と寿、仁と義一、礼と詩音の3組の恋模様を通して、思春期の湧き上がる想いや悩みが描かれます。

アニメイトタイムズでは、各カップルを演じるキャストにインタビュー! 第2弾の今回は、菊地原 仁役の古川 慎さんと市川義一役の中澤まさともさんにお話を伺いしました。

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黄昏アウトフォーカス
男子校の映画部を舞台に交差する、きらきら眩しい三組三様の青春恋愛譚(ラブストーリー)。不良で一匹狼の寿と、映画部で寿を撮影することになった真央。寮で同室の二人が交わした「約束」が、やがて二人を甘く縛りつけて――。映画部部長で人気者の仁と、仁に対抗心を燃やす後輩の義一。ぶつかりながらも、やがて二人は惹かれ合い――。無口で不愛想だが信頼の厚い副部長の礼と、季節外れの新入部員・詩音。不意のキスから、二人の「お付き合い」が始まって――。作品名黄昏アウトフォーカス放送形態TVアニメスケジュール2024年7月4日(木)~2024年9月19日(木)TOKYOMX・BSフジほか話数全12話キャスト土屋真央:松岡禎丞大友寿:内田雄馬菊地原仁:古川慎市川義一:中澤まさとも稲葉礼:江口拓也吉乃詩音:斉藤壮馬加賀利ルナ:市川蒼加賀利テル:柳晃平本條雪孝:大塚剛央千秋実:佐藤元土谷功緒:田所陽向ルディ:内匠靖明九条桐斗:伊東健人スタッフ原作:じゃのめ『黄昏アウトフォーカス』『残像スローモーション』『黄昏アウトフォーカスoverlap』『宵々モノローグ』(講談社「ハニーミルク」所載)監督:渡部穏寛シリーズ構成:成田良美キャラクターデザイン:菊地洋子美術監督:山梨絵里色彩設...

アニメもドラマCDと同じキャストで安心感?絵がある分どう表現していくのかを探りながらアフレコに挑む

――お二人はドラマCDから演じられていますが、TVアニメ化が決まった時の感想をお聞かせください。

菊地原 仁役・古川 慎さん(以下、古川):ドラマCDからアニメになる作品には魅力やパワーがあると思いますが、この作品もそうだったんだなと改めて実感しました。思い起こせばドラマCDの収録が始まったのがコロナ禍に入った頃くらいで、そこからの流れが結構早い感覚もあります。一連の流れは『黄昏アウトフォーカス』シリーズをたくさんの方が愛してくださったからだと思うので、本当にすごいなと思いました。

市川義一役・中澤まさともさん(以下、中澤):正直、ホッとしました(笑)。アニメになったら義一役が他の方に変わるかもしれないという不安で、発表までドキドキ、ソワソワしていました。だから義一をアニメでも演じられると聞いた時はとても嬉しかったです。あとドラマCDでは、音がメインなので、芝居としても表現としても音の輪郭や感情表現がハッキリするように目指していましたが、アニメでは絵で説明してくれている部分もあるので、市川としてどこまで輪郭をハッキリさせるのかや感情表現を強く出すのか、という部分は探りながらやっていたところはありました。

――古川さんはアニメの収録の際、ドラマCDで演じていた時と違う点や意識した点はありますか?

古川:ドラマCDでは、ここまでという実尺が決まっているわけではなく、基本的には自分のセリフの尺の制限がありません。でもアニメになると本編24分の中で、このエピソードのどのセリフとSEと演出を組み込んでいくのかをあらかじめ計算してからの割り振りになっています。いただけるセリフのスピードや秒数が決められてくるので、アニメになったことで非常にタイトなセリフ回しになったため、大変でした(笑)。

中澤:そんなことがちょこちょこあったね。モノローグとセリフの切り替えが早かったり。

古川:早いんですよね。あと仁はセリフ数が多いので、「お前、しゃべんな」と思いながらやっていました(笑)。

中澤:それは言い過ぎ!(笑) でもいっぱいしゃべってたね、仁は。

――義一も言葉数が多いキャラクターですよね。

中澤:義一も性格上、自分の気持ちをあまり表に出さないし、隠しがちなところも相まって、モノローグは割と強くて。それに仁もよくしゃべるから(笑)。

古川:基本的にあまり間がないんですよね。大変でしたね。

中澤:大変だったけど、チャレンジだなと思いながらやったところはあった。

古川:なるようになれと(笑)。

中澤:その分、口パクのない、背中向きの時やオフのセリフでどこまで遊べるかみたいなところはありました。

古川:まさともさんは、積極的に遊びにいってましたからね。

中澤:やれることは、思いついたらやってました。

古川:それでOKになるから逆にビビるという(笑)。

中澤:「え~っ!? やってしまったんですけど、いいんですか?」ということが多かったなって(笑)。

古川:先輩すごいなと思いました(笑)。

中澤:こうやっていつも余計なことをしちゃって。

古川:でも、それがアニメならではの遊びになってくるし、ドラマCDとの違いなんじゃないかなって。見てくださるファンの方も「こういうところで遊んできたな」と喜んでくださると思います。

――アドリブをされたところは原作ファンの方ならわかる?

中澤:わかると思います。あと映画部の3年生で言えば、うちの事務所の内匠靖明が演じるルディもだいぶ好き勝手にやっているので。

古川:本人はまじめにやってると言ってましたけど……。不真面目な人なんて一人もいません!(笑)

中澤:わちゃわちゃした感じでやっていましたね。ドラマCDの収録は最初の『黄昏アウトフォーカス』はみんなで録れましたが、『残像スローモーション』やスピンオフの『黄昏アウトフォーカス overlap』の時はコロナ禍に入っていたので完全に分散収録でした。古川くんと会えない時もあったので、アニメの収録は楽しいです。

古川:お互いに身を削りながら(笑)。仁と義一の関係性も相まって、削り合い……。

中澤:せめぎ合いで(笑)。

古川:BLならではというところやスポーツものとはまた違うところがありました。

仁と義一の映画作りのスタンスや想いの違いがありつつ、お互いを少しずつ理解していくストーリー

――仁と義一にフォーカスしている第5話からのストーリーやエピソードの魅力とは?

中澤:お互いの本心が見え隠れするところでしょうか。本心が見えない時にどう触れていこうかとか。この二人の物語は、どちらかといえば性格や映画への向き合い方、本心など仁を中心に語っている部分があって、逆に義一の本心が見えない部分があったけど、本当に思っていることや大切にしていることに対して、繊細な押し引きや駆け引きをしているところが、他の二組のカップルのエピソードとは違った魅力があると思っています。

古川:仁についていえば、モラトリアムからどう足を踏み出していくのか、というところなんじゃないかなと演じていて思いました。この作品はBLとジャンル分けされていて、菊地原 仁と市川義一の恋愛模様が一番ど真ん中にあるものだとはわかっていますが、僕個人としては市川義一という人間に対する感情と、自分が今ここで何をなせるのだろうかという自問自答、高校3年生としての焦りみたいなものがあって。正直、こんなふうに考えられる高校生はいないと思いますが(笑)、大人になろうとしている人たちのお話なんだなと思っているんです。

今まで憧れていたものや足を突っ込もうとしていたこと、無理をしようとしていたこととか、そういうものがこのストーリーで一番共感できるところであり、魅力じゃないかなと思っています。

中澤:義一は、仁を含めた3年生を敵視していますが、ただ3年生が目障りだからというわけではなくて、映画へのスタンスや作り方、何を大切にしなければいけないのかという考え方などの違いであって。お話が進んでいくと、義一が映画作りをする上で考えていること……人間関係について、大切にしていることなどが少しずつわかっていって。シリーズ第一弾の『黄昏アウトフォーカス』では見えない部分が今回しっかりフォーカスされているので、おもしろみがありました。でもそれをアニメの第1~4話では見せないようにしなければいけないという難しさもありました。

――掛け合いをしてみて、お互いのお芝居についての感想をお聞かせください。

古川:ドラマCDの時のことはあまり覚えていないのに、いざ収録でお互いのキャラがしゃべり出すと、「こんな感じ!」と思い出していたので、感覚をつかむのは早かったです。

中澤:1回演じているしね。

古川:義一を演じている、まさともさんは僕よりも年上で先輩なのに、何でこんな青臭い芝居ができるんだろうかと。

中澤:ほめてる? ほめてる?(笑)

古川:だって、様々な作品やジャンルで、いろいろなキャラをやられるじゃないですか? でもカドがめっちゃ立った青臭さみたいなものは、掛け合いをしながら横で聞いていて「ああ、いいな」と思えて楽しかったです。

中澤:僕は、古川くんのどっしりした低音が好きで。だから仁がしゃべり出した時は濃いな……というかむしろ3年全員が濃いなと思ったし、絶妙なバランスがいいなと。義一も2年生の中では濃いほうだと思っていたので、僕の芝居と古川くんの芝居がうまくマッチングできて嬉しいなと思いながら演じていました。

古川:二人は激辛カレーみたいな組み合わせですよね(笑)。

中澤:それも、わざと辛くしたカレーではなく、スパイスで濃くなっていったカレーで(笑)。

古川:周りとは違った濃さですから。

――二人共、映画監督という同じ役職を務めることで、それゆえにお互いのことをより見えるし、気になるんでしょうね。

中澤:その上で認め合っていて。特に義一は、仁のスタンスに対しては並々ならぬ想いがあって。そういう描写もあるので、アニメで楽しみにしていただきたいです。

古川:映画に対して、向いている方向がまったく違っていて。どちらかといえば、僕は義一のスタンスに近いからいいなと思っています。でも仁のスタンスも生きていく上では絶対に誰かがやらなくてはいけないし、必要なことでもあって。

中澤:だから仁の考え方も理解できるんですよね。作品作りの面でも大切なものが見えてくる、いい作品だなと思います。

――相手のキャラクターの「ここが好きだな」と思うところはありますか?

中澤:仁は、ヘタレなところですね(笑)。でも時々、カッコよくて。そこもたぶん義一と合っているのかなと。

古川:クオリティを求めて、作品を見つめていく視線ですね。モノを作っている人間からすれば、一番大事な芯になるところなので、好きだなと思うし、だから彼の言い分もすごくわかるし。それに自分が好きなことについては冗舌に語るんですよ。そういうタイプってなかなかいないんですよね、現実世界では。

好きな理由や素晴らしさをしっかりアピールしたほうが、モノを作っていく上でも実生活でもいい方向に働くんですよ。犯罪に触れなければ(笑)。「これは本当に素晴らしいんだ」と言い切れるところがいいなと思いました。

――義一はかなり語りますよね。

中澤:語り口が感情にあふれていて。ひくけど、共感できるんですよね(笑)。

(C)じゃのめ・講談社/「黄昏アウトフォーカス」製作委員会
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