「頼重は母親的に時行に寄り添って、貞宗は父親のように壁となって彼の成長を促している」TVアニメ『逃げ上手の若君』連載第6回:小笠原貞宗役・青山 穣さんと市河助房役・山本高広さんインタビュー
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』を手掛けた人気作家・松井優征先生が描く歴史スペクタクル漫画『逃げ上手の若君』がTVアニメ化。2024年7月よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送中です。本作の主人公は、信頼していた幕臣・足利尊氏の謀反によってすべてを失った北条時行。時行は逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で仲間と出会い、訪れる困難を「逃げて」「生きて」乗り越えていきます。
アニメイトタイムズでは、本作の魅力を深掘りする連載インタビューを実施! 第6回目は、小笠原貞宗役・青山 穣さんと市河助房役・山本高広さんにお話を聞きました。インタビュー中、テンポのよい会話を繰り広げ、貞宗と助房のように“いいコンビ”感が漂っていたお二人。今回はそんなお二人に作品のことに加えて、声のお芝居に関する深いお話もお聞きしました。
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貞宗は時行の父親的な役割を担っている存在
――最初に、原作を読んだときの感想をお聞かせください。
小笠原貞宗役・青山 穣さん(以下、青山):僕らの世代の歴史ものというのは、暗くて堅くて、とっつきにくいというイメージがあって。ただ、この作品はそういう壁の高さみたいなものが一切なくて、物語がスッと入ってくるんです。
加えて、本作は時行という子供が大人たちをやっつける、やり込めていくという痛快さがあるのも面白いなと思いました。戦いが苦手という性格も含めて、時行は僕らの世代が想像する武将とは真逆なんです。同じ世代の山本さんなら、この感覚、分かりますよね?
市河助房役・山本高広さん(以下、山本):いや、同じ世代じゃないですよ(笑)! 青山さんは役者の大先輩じゃないですか!
青山:何をおっしゃいますか。僕たちの「週刊少年ジャンプ」と言えば、『サーキットの狼』とか『トイレット博士』とかでしょ?
山本:すみません、僕は『北斗の拳』世代です(笑)。でも、「週刊少年ジャンプ」という点で言えば、本作が歴史ものという入口だったことに少し驚きましたね。
青山:しかも、少年漫画だけれど首が飛ぶところをはじめ、ちょっとグロテスクな描写もあって。でも、そういうところもしっかり描かないと、時行が生きている時代の空気が出ないのかなと。
山本:確かに。それでも、青山さんがおっしゃっていたように、暗くなり過ぎずにスッと読めるんですよね。それは松井先生のギャグテイストな作風によるものなんじゃないかなと。史実を描いているけど堅苦しさを感じないので、すごく読みやすかったです。難しい言葉も出てきますが、スラスラと読めたので勉強にもなりました。
――今回お二人が演じる貞宗と助房は、松井先生らしい癖があるけれど愛されるキャラクターだと思います。それぞれのキャラクターにどのような印象をお持ちですか?
青山:これは僕の解釈なのですが、貞宗って、既に親がいない時行の父親的な役割を担っている存在だと思うんです。敵対はしているけれど父親代わり的な存在になっていると、僕は感じてしまったんですよ。
頼重は母親的に時行に寄り添って、貞宗は父親のように大きな壁となって彼の成長を促している。そんな風に僕は感じ取ったんです。どこか父性を感じられるようなキャラクターで、面白いですね。あと、目が特徴的ね(笑)。
山本:ですね(笑)。対して、僕が演じる助房は耳が大きい。
青山:助房はちょっと陰湿な感じもあるよね。
山本:あとはツッコミ役にまわることが多い。かけ合いも含めて、貞宗とはいいコンビです。
青山:本当にいいコンビだよね。演じていて、非常に楽しいですよ。こんないい役、僕が演じてもいいのかな?
――貞宗は原作のキャラクター人気投票で5位になったこともあります。
青山:すごいな、よく僕を配役してくれましたね(笑)。いやいや、オーディションで選んでいただき、本当にありがとうございます。一歩間違えばダメだったという可能性もあった訳だから。山本さんもオーディションで?
山本:実は僕はちょっと特殊で。ある日、他作品のオーディションがあったんですよ。その作品のオーディションは残念ながら落ちてしまったんですけど、オーディション用に録ったサンプルボイスを聞いた制作会社の方が、「本作はどうですか?」とオファーしてくださって。
青山:サンプルボイスを聞いたその方が、助房役か、この作品に山本さんが合っていると思ったんだ!
山本:そうだったんですかね? そもそも僕はアニメより外画の吹き替えをやることが多かったので、声をかけていただいたのが意外過ぎて、すごく驚きました。
青山:へぇ! それで呼ばれたってのは、すごいね!