『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』野原しんのすけ役・小林由美子さん&監督・佐々木忍さんインタビュー|「夏休みの絵日記の1ページがこの映画で埋まったなら、こんなに嬉しいことはありません」
驚きと感動がいっぱいのアフレコ収録
ーーアフレコ時の印象的な出来事をお聞かせください。
小林:アフレコ収録前に、毎回監督が挨拶してくれるんです。これは監督ならではだと思うんですけど、達筆でいらっしゃるので、習字の横断幕を書いてくれることもありましたし、今作の意気込みを紙芝居(※2)で描いてくださって、みんなそれを見て「うわ~、面白い~!」って。そこで一気に士気が上がりました。
佐々木:「今回はこういう映画ですよ」と説明しているものなのですが、一部はSNSでも公開しています。
※2:『クレヨンしんちゃん』公式Xにて公開中
佐々木:今回のアフレコ収録では、ゲストキャラクターの収録時に、恐竜の鳴き声も何人か声優さんにやってもらったんです。プロの本気の咆哮はとても迫力がありました。
あとは、小林ゆうさんと金田朋子さんが一緒に収録現場にいると、面白い化学反応が起きるなぁと思いましたね(笑)
小林:良い化学反応ですよね。あとビリー役の北村匠海さんが恐竜に詳しいみたいでしたね。
佐々木:そうなんですね!知らなかった(笑)
小林:やはり恐竜が好きな方は多いですね。恐竜にはロマンが詰まっていますし、研究心もかき立てられるんでしょうね。
ーー今作には北村匠海さん、オズワルドさんといったゲストキャラクターも大活躍されています。
佐々木:北村匠海さんに関しては、「本当にビリーをやってもらえるんだ!」という感動がありました。今作のビリーという役は、北村さんをイメージしていたので、本人に演じてもらえると聞いて、ホッとした気持ちというか嬉しかったです。アフレコでもイメージ通りで、思い描いていたビリーがそこにいました。
オズワルドさんはアフレコ時も芸人さんとして、スタッフを楽しませてくれるという感じで、自分の紙芝居を見せた時もツッコミをたくさん入れてくださいました。
小林:そのシーンを生で見たかった!
佐々木:プロにツッコミを入れていただいたので、本当に貴重な機会でしたね(笑)。
小林:前回のゲストの方もそうだったんですけど、(オズワルドさんは)収録時に「初めて声優をやりました」というレベルじゃないお芝居をされるので、「こっちは商売上がったりだよ!」と思うくらい(笑)。
佐々木:オファーした時には「声質的にもいいし、向いているだろうな」という勝算はありました。アンモナー伊藤自体が、伊藤さんを意識したキャラクターですから。
小林:それはすごいですね。チュウ役の畠中さんも貴重な4言のセリフを全力でやっていただき、それをネタにしっかり宣伝してくださって、改めて「すごい方々だな」と思いました。
野原しんのすけの根底
ーー小林さんが野原しんのすけを演じるうえで、大切にしていることはありますか?
小林:「5歳の男の子である」という根底の部分は大事にしています。しんのすけは破天荒だし、5歳児以上の動きをするんですけど、根底にあるのは5歳児。辛いことがあったら悲しいし、楽しいことがあったら嬉しいと素直に表現します。
完璧な野原しんのすけではなく、「5歳の男の子が冒険をするという気持ちを常に持ち続けよう」と思いながら演じています。だから、スーパーマンにはなりたくないし、なってはいけないと思うんです。しんのすけを周りの人々が支えてくれて、背中を押してはくれるけど、それは野原しんのすけが5歳の男の子だから。
ーー監督が『クレヨンしんちゃん』を制作するうえで、大切にしていることはどんなことですか。
佐々木:一番は自分が楽しく作ること。そして、スタッフが作品作りにおいて、遊べる余地を残すということです。
TVシリーズを観ていると、スタッフさんの個性が爆発している回がありますよね。大人が楽しそうに作っているのは、観ている人にも伝わると思います。もちろん子どもに観てほしい作品なんですけど、「側で観ている大人の心も、なるべくなら掴みたいな」という気持ちも少し持っているんです(笑)。
小林:大事なことです!
ーー今作は、風間くんの「なんだか特別な夏が始まりそうだな」というセリフの通り、夏休みの思い出がテーマの1つになっています。おふたりにとって、印象的な夏休みの思い出がありましたら、お聞かせください。
小林:夏休みは、私にとっても特別な時間でした。おじいちゃん、おばあちゃんの家に行ったり、色々な場所へ遊びに行ったり、楽しい思い出がたくさんあるんですけど……。
夏休みの最後の3日間は、徹夜で宿題をするというのが毎年恒例だったんです(笑)。親に怒られながら「お母さん、すみません。絵日記を描いてもらってもいいですか。なるべく私が描いたふうで~」、「お兄ちゃん、すみません。算数のドリルやってもらってもいいですか。答えを3割ぐらい間違った感じで~」とお願いして、手伝ってもらっていました。
ーーご家族が協力してくれたんですね。
小林:大いに文句を言われつつ、「はい、その通りでございます。分かっていますので、お願いします!」って(笑)。毎年同じ流れになるので、家族からは「去年と同じことをやっているじゃないか」と言われ、私は「はい、本当にすみません」と言いながら宿題をする。夏休み最後の3日間は本当に地獄でした(笑)。
どんなに楽しい夏休みの思い出があっても、最後に必ず地獄の3日間になるというのが私の夏休みのルーティーンだったので、自分の子どもたちには「宿題をやらないと、地獄の3日間になるから、計画を持って宿題をやった方がいい」と体験談として伝えて、少しずつ取り組ませています。
ーー佐々木監督はいかがでしょうか?
佐々木:夏は暑いので、プールや涼しい図書館に行くことが多かったんですけど、そんな中、夏休み映画を観に行くというのが一番の大きなイベントでしたね。
この映画は夏公開なので、「夏だ!クレヨンしんちゃんだ!!!」と一夏の思い出になってもらえたら嬉しいです。
ーー子どもたちが、絵日記に映画の思い出を描いてくれるかもしれませんね。
小林:ぜひ描いてもらいたいです! 夏休みの絵日記の1ページがこの映画で埋まったなら、こんなに嬉しいことはありません。
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]
『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』作品情報
あらすじ
そんなある日、世界中がおどろくビッグニュースが飛び込んでくる!
なんと!現代に恐竜をよみがえらせた一大テーマパーク"ディノズアイランド"が東京にオープン!
「すごいゾ!オラも行きた~い!!」
念願かなって特別に招待されたしんのすけたちカスカベ防衛隊は、
いざディノズアイランドへ!
世界中が注目するテーマパークで、恐竜たちとの出会いに大コーフン!
世間では恐竜の大ブームが巻きおこり、まさに恐竜フィーバー!アゲアゲな夏に!!
一方同じころ、カスカベの河原では、シロが小さな恐竜"ナナ"と出会う。
夏休みをともに過ごし、「大切な思い出」と「ひと夏の成長」を得るしんのすけたち。
しかし、ナナには大きな秘密があって――。
そんな中、ディノズアイランドから恐竜たちが大脱走!カスカベで!東京で!恐竜パニック!!
今年の夏は史上最大のアンビリ~バボ~~~!
キャスト
(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024