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プリパラ10周年記念:森脇監督×依田P×大庭P 超ロングインタビュー

〜『プリパラ10周年記念 大プリパラ展』に寄せて〜 森脇真琴監督×依田健プロデューサー(タツノコプロ)×大庭晋一郎プロデューサー(タカラトミーアーツ)鼎談で10年経った今だから明かせる制作陣のメイキングドラマ/インタビュー

 

「みーんなともだち、みんなアイドル? はんっ、どうでもいいぜ!」

――それこそ、マリオ(CV.橘龍丸)の話も聞きたいですね。当初から、あまりといっしょに考えられていたんでしょうか。

依田:大庭さんが妄想メモで、あまりとマリオを熱く語られてましたもんね。

大庭:そうですね。でも最初考えていたのは、あまりちゃんのみだったんです。まず『アイドルランド』を制作するにあたっては、放送からブランクがあったこともあって、当時の『プリパラ』リアルターゲットの年齢層だった子たちに、自分ごととして『アイドルランド』を見て欲しいなと思っていました。そういうことを考えながら、主人公の年齢設定をしつつ(高校1年生)、あまりというキャラを具現化していきました。

 

 
そこにマリオが誕生したのは……僕が単純にチャレンジしてみたかったというのもあります。アイドル作品で男子と女子のキャラクターが近くにいると、嫌だって人もいると思うんです。それでも楽しく思えるものってなんだろう?って考えたのが、あまりが厨二を拗らせていた時に描いた理想のアイドル像。そこには「自分がこうであったら」という思いも含まれていると思うんです。

――その中には、キラキラしたアイドルだけではなく、マリオのようなキャラもいるっていう。

大庭:“プリパラチェンジ”の可能性のひとつとして、ひとりのキャラクターが二人になる、しかもそれが異性でありながら、昔の描いた理想の自分やイマジナリーフレンドだったらどういうことが起きるんだろう?と。さらに、片方はあの時を忘れてキラキラしたいのに、もう片方はあの時の計画を一緒にやろうぜ!と迫ってくる。「こんなどうしようもない状況ですが、監督、そういうのってどうですかね?」と。

森脇:うんうん。

大庭:あまりちゃんに関しては、監督はすっと入ってくれたんですよ。あまりちゃんがテンパると、ネガティブな方向にパワフルになるっていう性格も、監督が「あるある」って言ってくれて。

森脇:言ってましたね。私自身、日記的なノートをつけていましたし、あまりちゃんみたいな性格の女の子って、昔読んでいた少女マンガにもそういうキャラっていたなぁって。今の少女漫画はわからないけれど、とにかく思い込みが激しくて、暴走しちゃうっていう。

 

 
大庭:さらに、あまりちゃんはちょっとズルいところもあるんですよね。逃げちゃおうとか、考えるのやめちゃおうとか。主人公としての気負いのようなものはないというか。でもそれをらぁらたちが受け入れてくれる。

そして初めてライブをする時に、中学生の時はみんなに馬鹿にされてしまったけれど、同じことを言ったら『プリパラ』ではエールを送ってくれる。そこで、あまりというキャラクターが確立した気がしました。

それに対してマリオは、関係性を賄えたつもりではあります。悪いことをすることに対して、何も悪気がないっていう。で、それに加えて……ちょっとバカ……というか……(笑)。僕はそこはあまり考えていなかったところだったんですよ。それは監督の男の子キャラクターに対するこだわりなんですよね。ですよね、監督。

森脇:はい。

依田:そこは語ってもらいたいな(笑)。

森脇:バカな男キャラって大好きなんです。いつからかな……『マイメロ』に潤くんというキャラクターがいて、その子がね、そういう感じなんですよ(笑)。

以前、小学校に子どもを迎えに行ったとき、体育館側からボールが足元に転がってきたことがあって。それを男の子のほうに向かって投げたら、そのままサッカーがはじまっちゃったんですよ。「わんわん!」みたいな感じで。

一同:(笑)

――かわいい。

森脇:本当にかわいいの。

大庭:男の子らしいエピソード(笑)。最初に僕がマリオをイメージしてスケッチしたものがあって。最初から最後まで、そういうイメージかなと思っていたのですが、バカな要素が加わったことで、キャラとしての幅が広がりました。要は魅力が広がった。マリオが「かわいい」と思える。

森脇:最初は全然バカではないんだよね。

大庭:この世に破滅をもたらす存在、のようなキャラクターなんだけども……。

森脇:私が手掛けると、どんどんとバカになってしまう(笑)。

大庭:でも良いですよね。あまりちゃんだって頭脳明晰というわけじゃなくて、どこか抜けてるところがあって。だから「あまりちゃんの作ったキャラクターなんだろうなぁ」って。

依田:うんうん。

 

 
大庭:だから最終回では、ああいう解決方法になるんだろうなって。あまりちゃんのズルいところで、自分が正義を執行する立場にいなければいけないのに、切羽詰まると、暴力に走ってしまう。あまりちゃんは暴力性を持っているところがあると思っていて。結局マリオになにか言われて答えられなくなると、殴ってしまう。で、勝ちっていう。

依田:最後はクロスカウンター、って企画の最初から話してましたよね?

大庭:していましたね。絵を描いて「こうなんです」って。さすがにクロスカウンターはよくないかなと……(苦笑)。それでああいう形に。

ちょっと話はそれてしまったんですけども、マリオは監督のおっしゃっていた、そのちょっとしたバカさみたいなものが含まれていたから愛されていたと思うんです。やっていることとしては、酷いこともしているんですよ。でも本人はあまりのためにやってるから、罪の意識がない。「かわいい」と「可哀想」がいい塩梅に重なって、悲壮に見えない。それって『プリパラ』の特徴でもあると思うんですよ。

どんなに大きな事件が起きても、いろいろな要素がバランスよく重なることで、悲壮感が漂わない。

森脇:そうですね。マリオが最後に「プリパラ、そんなに好きなのか?じゃあ……しゃあねえな」というセリフがありますが、あの即断即決具合というか(笑)。悲壮が漂う暇もなくて。要はマリオはずっとあまりに求愛しているんですよね。

大庭:そう。あまりのことだけを考えているから、じゃあそれはしょうがない、自分が消えるわって。そして、その言葉には、みれぃの「プリパラは好きぷり? じゃあ大丈夫!できるぷり!」にも重なっているんだけど、「じゃあ大丈夫」じゃなくて。「じゃあしゃあねえな」って。

――どうでもいいぜ、って言いかけたけども。

大庭:「どうでもいいぜ」という言葉は、最後の「究極合神アマリオン 一破滅と創造の狂想曲一」の歌で意味が変わりましたよね。投げやりなどうでもいいじゃなくて、世間の目とかそういうのなんてどうでもよくて、自分を貫くという意味での「いいぜ」になった。あの歌に関しては、監督がすごくこだわっていましたよね。「ヒーローものの歌にしたい」と。

森脇:そうですね。私のイメージとしては、爽快感のあるものにしたいなと。

 

 

――4月に開催された『プリパラフレンドシップメモリー』で「究極合神アマリオン 一破滅と創造の狂想曲一」も初披露となりましたね。殺陣もあって。

依田:すっごく良い感じでしたよね。

森脇:やっぱりね、バカにしかできないことってあるんですよ。だからこそ、大きなことができる。それって男性の良いところだと思うんです。

依田:それだけ純粋ってことですよね。

大庭:ちょっとバカな主人公のもつ突破力って大きいと思うんですよね。例えば2話の、あまりちゃんが逃げる方向にパワフルに突破する場面とか。

森脇:2話は特にウケてましたよね。

大庭:でしたね。最後まで見ると、ふたりの知能指数ってわりと同じだなぁなんて思ってしまいます(笑)。

 

『プリパラ』史上最大のアイドル

――『アイドルランド』オリジナルキャラであるポォロロ(CV.林鼓子)の誕生秘話についても教えて下さい。

 

 
大庭:今までなかったアイドル像を出したいなと思っていました。最初、マリオがボーカルドールという位置づけで良いのかなぁなんて思っていたんですけども、そうじゃないよな、これはと。

ファルルがいて、次にジュリィがいって、そのジュリィはとにかくピュアで。さらに、ファララ、ガァララがいて。ボーカルドールは世代を遡るごとに、よりイノセントでピュアな感じになっていくんですよね。まあ、そういうことも考えつつも「大きいアイドルがいたら面白いよな」と(笑)。

――物理的に。

大庭:そうです。しかも、ひとりでアイドルランドにいて、油断したら大きくなってしまった、っていう。「小さなあまりちゃんと大きなボーカルドールであるポォロロがライブをしたらどうなるんだろうね?」と……乙部(善弘/CGディレクター)さんに悩んでもらいたかったという(笑)。

依田:あれは完全に、3Dに対する挑戦ですよ(笑)。しかもそれをまたうまくやったなぁって。

大庭:大きいことに対してコンプレックスがあって、「人間を怖がらせちゃうかもしれないから」泣き虫というところまでは自分で考えて。ポォロロの特別な力である、イガイガ虫がニコニコ虫になる、ということに関しては、土屋(理敬/シリーズ構成)さんに考えてもらっています。土屋さんがポォロロにもギミックを持たせたいと。

森脇:ああ、そうだったんだ。土屋さんだったんだね。さすが。

 

 
大庭:監督はポォロロのアイドルデビューのシーンには思い入れが強かったですよね。ポォロロをみんなで迎え入れて、お風呂に入れてあげて……って。

森脇:私、ああいうの大好きなんですよ。もっとたくさん描きたかったんだけど。池に入って髪の毛がパーッと広がって、みんながシャンプーしてあげて、とかもっと克明に描きたかったな。

――「もっと描きたかった」という思いは依田さんたちにも?

依田:そもそも描いていないこと、明かしていない裏設定もあります。ただ、それをすべて明かしてしまうと、あまりに夢がなさすぎる気もするんです。だから裏設定はどうであれ『アイドルランド』というのは現実と地続きの、リアルなものとしてユーザーに捉えてもらえたらと考えていました。

 

 

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