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アニメ『デリコズ・ナーサリー』下野 紘×佐藤拓也が作品を知った時の気持ちは「戸惑い」と「おもしろそう」

アニメ『デリコズ・ナーサリー』インタビュー第3弾:下野 紘さん(エンリケ役)×佐藤拓也さん(ディーノ役)|ディーノとエンリケが大人として父親として成長していく過程を見守ってください

 

ダリとゲルハルトとの収録が多かった佐藤さんと子供チームとの収録が多かった下野さん。その影響は?

――子供との距離感で難しかったことや意識されたことはありますか?

佐藤:一番難しかったのは子供と一緒に収録できなかったことですね。各回チームに分けての収録だったので。

下野:僕はエンリケの娘のエレーナとルチア以外の子たちとも一緒に収録できました。アニメがオンエアされる段階ではボリュームの調整はされていると思いますが、現場ではすごかったです。アレをそのまま、流してほしかった(笑)。映像では大人たちが会議をしている時に子供たちの声のボリュームは下げられていましたけど、現場では元気な子たちがずっとしゃべりっぱなしで。

佐藤:僕は、そういう状況も見られずに収録しているものですから、「寂しいな。残念だな」と思いつつも、情報がないままで「うちの息子はこうであるはず」みたいな自分勝手なイメージを持ったまま、ディーノとして演じられたのは逆によかったのかなと思います。

 

 
下野:そうかもね。一緒に収録しているとそのシーンもやらなければいけないから、息子がどう思って、どう考えているのかを知っていないといけないけど、ディーノは息子について何も知らないお父さんだもんね。もしかしたらテオドールと一緒に収録しなかったのはそういう意図があったんじゃない?

佐藤:そこまで考えていたとしたら怖いですよ。まだこの取材時点では、親子の会話のシーンはそこまで見れていないので、完成した映像ではどんな空気感になっているのか楽しみです。

下野:エンリケは表向きにはいいお父さんなので、大人たち3人が重要な事件について話し合っている時もエンリケだけは娘たちと遊んでいて。娘たちがかしましいので、エンリケは「ごめんね」と言うのか、「わかった、わかった」と言うのかのどちらかで。子供たちの勢いがこういうものなんだなというのは実際の収録で見たり、聞いたりしているので、子供たちに若干圧倒されればいいのかなと。そういう意味ではやりやすかった部分もあります。

 

収録で同じシーンを何度も録り直して、充実感を感じた佐藤さんと不安でいっぱいになった下野さん。下野さんがやっと安心できたのは……

――『TRUMPシリーズ』という舞台から派生したアニメということで、収録や脚本、演出などで普段とは違うなと感じた点はありますか?

下野:同じシーンを何回もやったことでしょうか。その都度、アプローチを変えて何度も。それは僕だけじゃなく、キャスト全員あったと思います。「ここをちょっとこういう言い方にしたら、どうなるのか見てみたいです」みたいな。そんな実験的な要素も含まれているのかなということを感じました。

 

 
佐藤:僕らキャストも、監督や音響監督などもお互いに見えている景色は同じはずなのに、「わかりました。じゃあ、ここに赤を加えてみましょうか」みたいな、トライ&エラーを繰り返すところは、舞台の稽古に似ているのかもしれません。

収録を終えた時に「もっとすればよかった」とか「ああしていたらどうなったんだろう?」という不安や後悔はどうしてもつきものですが、この作品ではテスト→本番という一連の流れだけではなく、挑戦できる機会がたくさんもらえて、「いろいろやったな」と「試してもらえたな」と思えたことはよかったかもしれません。

――そういう方法だったことで、お芝居に活かせた点はありましたか?

佐藤:全員で収録できたわけではなく、更にディーノは他人に興味がない人間だったので、「ああ、こういうふうにやっていいんだ」など、自分の芝居を深めさせていただく、いい機会になったのかなと思います。

下野:僕の場合は「いろいろと試しにこうやりたいんです」と話し合いながら、やっていったわけではなく、後日に聞いたので、オーダーやディレクションをもらった時、「このシーンはこうしたほうがいいんじゃないかな」という戸惑いは最初の頃、少しありました。そして同じシーンを繰り返していくと、「これ、ダメか?」とか「何がダメなんだろう?」とか「じゃあ、どうしたらいいんだろう?」と。

佐藤:シーンを録った後のスタッフの話し合いの時間が長かったですよね。

下野:向こう側から「少々、お待ちください」と言われて、「あれ? この方向性じゃなかった?」って。

佐藤:心配になってくるんですよね。「違ったかな」みたいな。

下野:長い話し合いの後も「じゃあ、こうしてください」としか言われなくて。だから、「あのシーンはいろいろ試したかったんですよ」とあとで聞かされた時、「早く言ってよ~」と思いましたね。しかもそれを言われたのが収録の終盤の10話くらいの時で。そこまでは緊張感と困惑がありました(笑)。

 

 

ダリとゲルハルトは「どちらいいお父さんになるかな」?

――事件解決のために一緒に行動するダリとゲルハルトについての印象をお聞かせください。まずダリについてお願いします。

下野:ダリはいろいろできそうな雰囲気があるけど、できていない人だよね。

佐藤:「全部俺に任せろ」と言いつつ「あとで考えるかな」という感じで。「これで大丈夫かな」と思うけど、「仕方ないな」と周りに思わせてしまうのは、彼の持つカリスマ性や愛されるところなのかなと思います。

下野:きっと能力が高いし、ゲルハルトが執着しているように、事件の解決には彼の力が必要なのは間違いないと思うけど、子育てに関しては「全然ダメだな」なのに、むしろ子育てのほうに重きを置いているんですよね。そうなった事情は理解できるけど……。

佐藤:3人がダリの能力を高く見ている、もしかしたら買いかぶっているために、「お前ならもっとできるはずだろう」と、ついイライラしてしまうんでしょうね。

――ゲルハルトについてはいかがですか?

下野:意外と子育てができている気がします。ダリへの対抗心からかもしれないけど。

佐藤:泣き叫ぶ子供に「自分でやりたまえ!」って、顔も見ずに言い放っていましたけどね。だから「ゲルハルト、頑張れ」と思いながら見ています(笑)。

下野:ダリへの負い目と対抗心によって頑張れているんじゃないかな。

佐藤:エンリケとディーノは見守る側で。

下野:「ダリとゲルハルト、どっちがいいお父さんになるかな?」みたいな。

 

 

子供たちの声をまったく聞くことなく、収録した佐藤さんが初めてテオドールの声を聞いたのは第1話の映像!?

――ゲルハルト役の小西克幸さんは「収録で下野さんとまったく一緒にならなかった」とおっしゃっていましたが……。

佐藤:あっ!? 僕もです!

下野:一緒になったことあるじゃん!

佐藤:2回くらいですね。

下野:じゃあ、あるじゃん! 小西さんとはすれ違っただけで一度も一緒に収録できなくて。

佐藤:僕は初回からダリとゲルハルトと一緒に収録することが多かったですね。

下野:しょうがないじゃないか(えなりかずき風?)。

佐藤:だから「エンリケってどんな人なんだろうな?」と思っていました。

下野:(佐藤さんを差して)こういう人が多いと思います(笑)。だからみんなが知らない部分を今、補完しているでしょ!? 僕は子供たちやペンデュラム(犯罪組織)の人と一緒にやったりしていたから。

佐藤:お互いに知っているところ、知らないところがありますね。

――ちなみに小西さんも子供チームと別録りで、子供たちの声を聞きながら収録されたとおっしゃっていました。

佐藤:僕は収録の順番の関係で、子供チームの収録前だったので、子供の声を聞けないまま収録に臨んでいました。

下野:そうだ!? 収録の時に声は聞けていたもん。

佐藤:子供たちよりも先に録ることが断然多かったので、テオドールの声をちゃんと聞けたのは、1話と2話の映像を見させてもらったのが初めてでした。

下野:テオドールはあまりしゃべらないしね。

佐藤:うちの子はおとなしいので。

 

 

佐藤さんいわく、テオドールは想像上の息子!?

――あとダリ役の森田成一さんから、皆さん、イベントで我が子が一番かわいい自慢をされたとか。

佐藤:結局、そうなってしまいますよね。「ダリ家の子供、かわいいよね」とはなかなかならないわけで。

下野:ならない、ならない。不思議と愛着が深まっていったよね。

佐藤:イベントの時点でもまだよく把握できていなかったからこそ、余計に子への想いや愛着が湧いてしまうんでしょうね。

――ディーノが作中で、子に厳しかったので、それを聞いて安心しました(笑)。

佐藤:もちろんテオドールを愛していますよ! ただ子供へその想いが届いているかといえば別なのが難しい話で。

下野:うちのルチアとエレーナには、僕の愛が届いていると思うから。

佐藤:真っすぐ育っていますよね。

下野:良くも悪くも素直にね。遠慮もないしね。

 

 

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