アニメ『デリコズ・ナーサリー』インタビュー第3弾:下野 紘さん(エンリケ役)×佐藤拓也さん(ディーノ役)|ディーノとエンリケが大人として父親として成長していく過程を見守ってください
アニメで吸血鬼役を演じたのはたぶん初めてという事実から芸歴論へと発展!?
――また森田さんは吸血鬼役を演じるのは今回が初めてで気合が入ったとおっしゃっていましたが、お二人は吸血鬼役をいろいろされていそうですね。
下野:自分も吸血鬼になったことがないような。怪物になったことはあるけど。
佐藤:僕もあったかな。
(と言いながらスマホで調べる二人)
佐藤:アニメではありませんが、以前、朗読劇や映画の吹替ではやったことがあります。
下野:吹替なら僕もやった!
佐藤:どんな役でも責任があるので、気合が入りますが、どちらかというと、森田さん、小西さん、下野さんというそうそうたるメンバーの中に、自分が食い込んで入っているのが個人的にはおもしろいと思っています。この4人の末席に入れてもらえて、素晴らしい先輩3人とご一緒するので頑張ろうという気合は間違いなく入りました。
――でも下野さんは佐藤さんが後輩だから、みたいな感覚はないのでは?
下野:ないですね。今はそういう部分はだいぶ曖昧で。前後5歳の差なら同級生だと思っていますから。そういうことない?
佐藤:確かに時を経ていくと、段々曖昧になっていきますね。
――芸人さんの世界みたいに、事務所に入って何年とか、厳格ではないですからね。
佐藤:芸歴何年とか言いますけど、それを軸にして、関係性が大きく変わるのかと言えばそんなことはないので。年上の方には礼儀的にちゃんとしようというくらいで。
下野:年齢や芸歴で差があっても、アニメの中では同級生や同じチームになることがあるので。言ってしまうと僕の方が年上なのに、年下役を演じることのほうが多いですからね。そんなこと気にしてもしょうがないし、年齢に関係なく、同じ作品を作っているチームメートみたいな感覚です。
佐藤:でも先輩が多い現場は、ありがたいですね。甘えられるので。
下野:先輩がメインでいてくれると本当に楽です。『デリコズ・ナーサリー』でいえば、イベントや特番収録では、先輩たちがいてすごく助かっています!
佐藤:誤解を恐れずに言えば、僕と下野さんは「そうですね」と相槌を打つ立場なので(笑)。
下野:あとは森田さんと小西さんが二人でやってくれるから。そういえばイベントでもアニメの4人の関係性を感じたね。イベントをちゃんと進めようとするダリと、茶々を入れたり、「そうじゃなくて」と訂正を入れるゲルハルト、それを見守るエンリケとディーノ。
佐藤:まさに作中と一緒でした。
下野:この間の特番収録の時も思ったもん。「二人でずっと頑張っているな」って。
佐藤:そして僕らは「尋ねられたことにはしっかり答えるか」と。
下野:あとは小西さんが森田さんをイジリ始めているから、我々も乗っかるかと。ところで質問って何でしたっけ?
映像を見た感想は絵画のような美しさと1本の映画を見たような充実感
――大丈夫です(笑)。話は変わりますが、2話までの映像を視聴させていただきましたがきれいな上に不思議なエフェクトもかかっていたのも印象的でした。
下野:絵本みたいですよね。
佐藤:装飾の感じが確かにね。動画としてだけではなく、絵として見られるのもいいですね。
下野:それでいて、コミカルな動きもするから、いい意味で違和感がある映像になっている気がします。
佐藤:いい意味での違和感計算されているのだろうと。
下野:ギャップだよね。
佐藤:あとアニメの中で子育てのターンや事件の捜査もターンなど情報量が多いので、腰を据えてしっかり見ると、1話分だけでも1本の映画を見たような充実感があると思うんですよね。
――改めて、数ある吸血鬼ものの作品の中でも、『デリコズ・ナーサリー』はかなり異質な作品だなと。
下野:吸血鬼が登場する作品は、怖さや耽美さがピックアップされることが多いと思いますが、『デリコズ・ナーサリー』もきれいではあるけど、そこに重きを置いている感じではなく、物語の中でシリアスなだけでなく、コミカルな要素もあって、2話まで見た感じでは明るい雰囲気の印象が大きい珍しい作品だなと思います。
――子育てシーンを見ていると、ドタバタコメディに見えるかもしれないところに、貴族という設定が緊張感やシリアス感を出していて。設定の妙を感じます。
下野:しっかりある設定の中で、今こういう事件が起きていて、それが自分たち吸血種にとっての敵や危険性がはらんでいるとちゃんと説明されています。
佐藤:いわゆるステレオタイプの吸血鬼ものというよりは、ダリたちはすごく人間臭くて。
下野:人間臭いよね。というか、みんな、完璧さがない。
佐藤:外見を見ればカッコいいんですけど、実は一生懸命頑張っている人たちのお話なので、その温度差がおもしろいですよね。
下野:序盤はゲルハルトが一番頑張っている気がする。
佐藤:だからいつも眉間にしわが寄っていて(笑)。
下野:ダリの息子のラファエロが粗相をした時もちゃんとお風呂に入れてあげるのは偉いよね。
お二人が感じる4人の関係性とは?
――あと1話でダリとゲルハルトの関係性は、冒頭シーンから見ても単純なものではないなと思いました。
佐藤:家柄やキャラクターに基づく上下とかいう関係性ではなく、お互いにリスペクトをしながら接しているのかなと。それがどこかでほころびたら全部瓦解してしまいそうなくらい危ういバランスを繋ぎとめているのかなと思っています。
下野:そんな二人をエンリケとディーノは見守る側だったけど、まさか子育てという形で、自分たちにも降りかかってこようとは。
――でもエンリケもディーノも家庭の中では問題を抱えています。
下野:現段階ではそれほど表立っては大きな問題が見えるわけではないですけど……。
佐藤:物理的には、ね。
下野:それはディーノのところもそうでしょ?
佐藤:そう。執事にも心配されていますけど(笑)。「とりあえず、自分が何とかするから見てなさい」という段階でしょうか。
ディーノとエンリケが大人として父親として成長していく過程を見守ってください
――では全体的な見どころとご自身の役柄的な見どころのご紹介をお願いします。
佐藤:キービジュアルを見た時から、ものすごく緻密なイラストで力が入っているなと思っていたので、「この絵を動かした時、どうなるんだろう?」とすごく気になりました。そして1話と2話を見てみたら「スタッフの皆さんが並々ならぬ愛情で作ってくださっているんだな」と感じました。またアニメ本編はもちろん、OPとEDも素晴らしくて、新しい情報を教えてもらうたびに「素敵な作品に携わらせていただいてよかったな」という想いが募っていくばかりです。
ディーノは……面倒くさい人です(笑)。自分を完璧だと思っている面倒くさい男が、ダリの「ナーサリー」に巻き込まれたことで、大人としても父親としても成長していくところを見届けていただければ。
下野:吸血鬼ものの作品で、連続殺人事件が起きる、すごく壮大なお話の中に、子育ても並行して行われていくという、とても斬新な設定で。僕らのお芝居と素敵な絵と素敵な音楽によって物語が紡がれていきますが、どんな展開になって、最終的にはどう着地するのかがまったく見えないところがこの作品の魅力かなと思っています。
演じていると子育てのことばかり考えてしまいますが、よくよく考えてみたら「殺人事件を解決するために我々は集められたんだよな」と気付いて。特に2話では、事件のことを忘れるくらい、子供のことしか描かれていなくて。そのあたりのバランスをうまく調節しながら今後物語が進んでいくと思います。
エンリケは4人の中でバランサー的なポジションではありますが、実は彼は大人になり切れていないからこそのフランクさであって。そんな彼が少しずつ、成長していくところが注目ポイントかなと。
――課題は子育てと夫婦関係の向上でしょうか。
下野:夫婦関係に関してはたぶん向上させる気があまりないと思います(笑)。エンリケ自身は奥さんに対して、それほど執着していない気がしています。あくまでいい家族を作る上で、奥さんの力が必要だという認識なのかなと。今後も奥さんと娘たちとの関係性の変化も気にしながら見てください。
作品概要
あらすじ
吸血種たちの最高統治機関である《血盟議会》からある任務を命じられるものの、ダリはにべもなく断ってしまう。
業を煮やした同期議員であるゲルハルト、ディーノ、エンリケが説得に向かうと、そこには自ら幼子をあやすダリの姿が。
一方巷では、吸血種を狙った謎の連続殺人事件が発生。その黒幕と思われる反社会組織《ペンデュラム》と、ダリの間には、なにやら過去の因縁があるようで……。
『血と誇りにかけて、任務と育児の両立──成し遂げてみせようではないか!』
吸血種の貴族たちによるノブレス・オブリージュ育児奮闘記。
壮麗なゴシックワールド×誇りにかけたドタバタ育児は、果たして両立することができるのか!?
キャスト
(C)末満健一/デリコズ・ナーサリー製作委員会