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『義妹生活』上野壮大監督に聞いた制作秘話

夏アニメ『義妹生活』・上野壮大監督に聞く制作秘話・裏話・見どころ

 

第9話「義妹 と 日記」

――第9話を制作する上で、意識したところやこだわりのポイントをお聞かせください。

上野壮大監督:これまでの話数、これまでの日々はふたりにとってどれも、どれも特別でした。けれどふたりにとって、この日だけは同じように特別だったとはいかない、そういう決断があった話数でした。これから、どんなふうにして、どうやって過ごせばいいのか、分からなくなってしまった悠太の前に髪を切った沙季が現れる。そしてその姿は、亜季子さんに見せてもらった写真みたいに少し幼く、本当の妹みたいに見えて——、書いていてつらくなってきました。

 

 
9話のコンテ時も、かなり自分を追い込んで内に入りながらやってしまったので、コンテ作業終盤くらいの自分のやつれた姿をみて、演出の小林(美月)さんに「コンテが進めば進むほど、どんどん小さくなっている……」と言われたのを思い出しました。

なんか思い出して具合が……、頑張って質問に答えていこうと思います……。

――第3話、第7話、そして第9話に、沙季の視点で物語を振り返る「日記パート」がありました。今回の日記パートでは、幼い沙季が抱きしめるシーンが印象的でしたが、第9話で日記パートを表現する際に、特に意識した点をお聞かせください。

上野壮大監督:日記パートですが、同じ形式を採用しつつも、実は本質的には3つとも異なるものとして演出をしていました。

第3話の日記パートは、期待することを諦めていた沙季が、新しい家族の中でふれたあたたかさをどう受け止めたのか、に軸足を置いていました。なので演出も、どちらかというと日々を肯定的に、一つ一つの時間がどれも手放したくない、これまで失っていた何かを埋めるような、日記に対してポジティブな印象になるように作っています。

 

 
第7話の日記パートは、言語化できないもやもやとした感情に答えを出していく過程でしたね。その日々はどれも苦しく、どちらかというと残したくはない、けれどどうして書かずにはいられない、そういった居心地の悪いものでした。なので、演出もできるだけ断章になるように、感情の浮き沈みが大きくなる部分同士がぶつかり合うように、感情が繋がらないように日記を切っています。つまり、お芝居がとても大変になる設計だったのですが、中島さんのそれは素晴らしかったです。

そして、第9話の日記パートですが、7話でその状態だった日記はもう限界な訳で……。

 

 
日記がついに壊れてしまい、現在の時間にまで流れ込み、過去なのか現在なのかも分からないひどく不安定な状態です。冒頭から、日記から始まる構成もそれが理由です。日記を書き始める前の記憶まで混在し始めて、気づけばホットミルクの前夜に聞いた、太一さんの日記にまで迷い込みます。

想像の中の海では、自由だった子供姿になっていて、悠太と兄妹みたいに遊び、OPまで本編と混ざり合い、不可分な混沌として日記が壊れてしまったことを表現しています。

髪を切った後で、沙季にもこれが日記では無いことを伝えてもらって、置き去りにしてきた、眠らせてきた、幼い姿の沙季を抱きしめます。

これ以上解き明かしてしまうのは沙季に申し訳なく……。

日記パートに関してはこの辺でご容赦ください。

 

 

――沙季が悠太のことを初めて「兄さん」と呼ぶシーンが印象的でした。あの一言に、沙季の様々な想いが込められていましたが、収録時のエピソードや、演出においてこだわった点をお聞かせください。

上野壮大監督:9話の収録時、異質な空気感でした。

テストや本収録の後 、本当は、すぐに今回収録した(する)お芝居に対して検討やすり合わせを始めなければいけないのですが……。

悠太の「好きだ」、沙季の「兄さん」、受け止めるのにどうしても時間がかかってしまい、誰もすぐに話し出せず……。それは、ダビングの時もそうでした。

演出は、特に何もしてない気はしますが、撮影中に花火が上がってしまいました。

この花火は劇的な、ロマンチックな演出として、ではありません。

そういった夏の恋の象徴をあとにして、2人は家に帰るのだ、ということを描くためでした。

 

 

 

(C)三河ごーすと・Hiten/KADOKAWA/義妹生活製作委員会
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