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『義妹生活』上野壮大監督に聞いた制作秘話

夏アニメ『義妹生活』・上野壮大監督に聞く制作秘話・裏話・見どころ

 

第11話「兄 と 妹」

――第11話を制作する上で、意識したところやこだわりのポイントをお聞かせください。

上野壮大監督:10話からの最終章は、それぞれが想いに蓋をして別々の方向に歩き出す、けれどそれぞれの道、考えていることはこんなにも似ていて……という構造です。

11話でも沙季は大学に、悠太は予備校に、別の場所で時間を過ごしますが、沙季と工藤の言葉は悠太に、悠太と夏帆の言葉は沙季に、と響きあっていくように構成しました。

 

 
そういった響きがラストの「ごくふつうの17歳の「兄 と 妹」に…俺たちは少しずつ…近づいている」、この言葉に、だけど……、なのに……、それでも……、言葉にできない、すり合わせできない、心情がにじみ……本当に素晴らしいお芝居でした。

制作的な内側の話で恐縮ですが、TVシリーズ1クールの11話というのは、12話よりも色々な皺寄せが起き、かなり困難な現場になりがちです。そんな話数を支えてくれたスタッフ、特に演出のいとが(しんたろー)さん、安東(大瑛)さんには本当に助けてもらいました。作品への理解度が高く、自分が気づくまでもなく色々な問題を制作部と協力して解決してくれていて、本当に心強かったです。

そういえば、11話のラスト、渋谷で真綾たちと集合する場所の後ろには、大きな美術館の広告がありました。オランジュリー美術館収蔵、クロード・モネの「Matin」、日本語で「朝」という絵を使わせていただいております。「朝」は古い言葉では「あした」とも読みます。これ以上は野暮ですね。少ないカットのために調整していただいた関係者の方々へ、ここに大きな感謝を。

 

 

――三者面談の中で、悠太が亜季子のことを「母」と呼ぶシーンが印象的でした。悠太と亜季子の関係を描く際に、意識したところやこだわりをお聞かせください。

上野壮大監督:悠太にとって、「母」と呼ぶことのハードルは、亜季子さんや太一、沙季に対する思いだけではなく、どうしても失った、分からなくなってしまった生まれの母親によるものが小さくは無かったと思います。

あのシーンが印象的だったのは、10話、自転車で坂を登りながら、中空に浮いてしまう「おかあさん」というお芝居も含めて、その微妙な心情を演じることができた天﨑さんの力が大きかったです。そしてそのお芝居を引き出してくれたのは、上田さんが演じてくれた亜季子さんが1話からずっとあの亜季子さんでいてくれたからに他なく、そうあれたのは、あの太一さんが、あの沙季が家族として縁を繋ごうと、日々を過ごしてきてくれたからでした。

 

 
「義妹生活」が恋愛の物語である側面ももちろんあるけれど、「家族(生活)の再生」の物語でもあるというシーンだったと思います。

――Bパートでは、工藤英葉の言葉により、一度自覚した悠太への想いが分からなくなる沙季の姿が描かれました。工藤と沙季の対話シーンで、こだわったポイントをお聞かせください。

上野壮大監督:もうこれに関しては園崎さんと中島さんのお芝居が素晴らしかったということにつきます。

作画や美術、色彩、撮影、編集、音響、全てのセクションがそこに向かって、最後押し上げて、なんとか近づこうと、寄せていけました。

 

 
ハリネズミのパペットも可愛かったですね。演出の安東さんが、細かく修正を重ねて意図を汲んでくれていてありがたかったです。色彩も最後で兄妹に見えるように、桂木(今里)さんに細かく調整を重ねてもらいました。窓際の光の元で、工藤が手で撫でるカットだけ他のカットよりハリネズミの背中が柔らかく見えたのも、撮影さんの本当に素晴らしい仕事だと思います。ありがとうございました。

 

 

 

(C)三河ごーすと・Hiten/KADOKAWA/義妹生活製作委員会
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