『刀剣乱舞 廻 -々伝 近し侍らうものら-』山姥切国広役・前野智昭さんインタビュー|「山姥切国広は“もう1人の自分”のような感覚です」――近侍を巡る、悩める山姥切国広とへし切長谷部の距離感
三日月宗近に見えないところで助けられている
――アフレコはみなさんでされたのでしょうか?
前野:まだ分散収録でした。新垣さんや鳥海さんとは一緒で、実際に生で掛け合わせていただいてリアルなやりとりができたなと思います。掛け合いができなかった方たちとも、本編を見ると実際に掛け合いをしているかのような自然な仕上がりになっていたので、それは長く続いている『刀剣乱舞』というコンテンツの強みでもあると感じました。
各々、きっとこの人はこういうアプローチでお芝居を持ってくるのだろうと、それぞれのキャラクターたちのお芝居を(役者の)リアルにイメージしているのだと思います。
――再びキャストみんなで集まってアフレコをしたいという気持ちもやはりありますよね。
前野:そうですね。その方が絶対リアルなお芝居ができるので。もし次作があるような流れになったら今度はまたわちゃわちゃとした雰囲気でやれるんじゃないかなと思います。
――アフレコは新垣さんと鳥海さんとご一緒だったとのことで、現場の雰囲気はいかがでしたか。
前野:まだ画が完全にできていない状態でのアフレコで、アクションシーンはどのような動きになるのかをみんなでディスカッションしながら、細かいやりとりを丁寧にさせていただきました。
山姥切に関しては結構、息芝居が多いシーンも割とあったりしたのですが、全部に息を入れるのではなく、ここはあえて何も入れなくて良いかなとか。そういう相談も結構ありましたね。
――「いいな」と感じたキャラ同士の掛け合いはありましたか?
前野:ほかの刀剣男士たちの掛け合いもいいなと思うシーンがたくさんありますが、燭台切光忠と大倶利伽羅のやりとりが好きです。大倶利伽羅は孤高な雰囲気で、馴れ合いがあまり好きではないような刀剣男士だと思うのですが、そんな大倶利伽羅を燭台切がソフトに諭してあげたりとか。そういった刀剣男士たちのやりとりはほっこりするものがあります。
――改めて、三日月宗近の言動について前野さん自身はどのように感じられましたか?
前野:彼は何手先まで見据えて、その発言をしているのかな?とすごく深いキャラクターだと感じています。三日月の提言によって長谷部も救われた部分もあると思いますし、山姥切国広としても成長へ繋がる部分があったと思うので、やっぱり知らないところで三日月に毎回助けられているんだなと感じました。
――ちなみに三日月宗近とやりとりしている審神者については……?
前野:三日月と審神者の立ち位置が難しく感じましたね。対等な関係のようにも見えるし、ですがそこにはちゃんとした審神者と刀剣男士の関係性もあるんだとも感じますし。
だから、『刀剣乱舞』の核心に繋がるお話なんじゃなかろうかと思いながら見させていただきましたけれども。今後があったらどういう雰囲気で、どんな物語になっていくのか、想像力を掻き立てられる話でした。
――「虚伝」よりも悩んでいるような審神者の姿もありました。
前野:そうですね。“悩める審神者”っていう感じでしたね(笑)。「良かれと思ってやったのだが」という感じで、結構深いシーンだったなと思います。
――アニメ「虚伝」のインタビューの時は、「不動行光」に注目してほしいとお話しされていたのですが、今作でも活躍する刀剣男士が多く、前野さん自身が“気になるキャラ”というのは決め難いですよね。
前野:決め難いですなぁ。(台本に描かれたキャラたちを見つめながら)今作で気になるキャラがいたとしたら……みんな気になるけど、「大倶利伽羅」は気になる。唯一無二な存在感を醸し出しているシーンが結構あったので、大倶利伽羅は戦闘面においても探索面においても今作でいい味を出しているなと特に思いました。
あとは、刀剣男士ではありませんが歴史上の人物の「黒田官兵衛」がすごくいい味を出していました。