「観ている人の心を揺さぶる作品」――映画『きみの色』で躍動するキャラクターたちに命を吹き込んだ、日暮トツ子役・鈴川紗由さん、作永きみ役・髙石あかりさん、影平ルイ役・木戸大聖さんにインタビュー
『きみの色』を通じて得たもの、学んだこと
ーー今回の声優としての経験が他の舞台や実写の仕事に影響を与えたことはありましたか?
髙石:たくさんのことを学びました。最初に声優というお芝居で意識していたのは、声だけだったんです。でも「声」だけを意識していると良い声が出なくて……途中で「これはお芝居なんだ」と気づいて、きみの心で声を出したときに、知らない声が出て「ああ、これだ」って。場所は違えど、お芝居の中には心があって、でも聞こえてくるのは声で。繊細でありながらも、厚みを持たせて、ときには遠くに届けるように表現して。そういう技術的な部分でも多くを学びました。
鈴川:「水金地火木土天アーメン」の歌詞が完成して、その喜びでトツ子がスキップしながら歌うシーンがあります。そのときのアフレコでは、監督が部屋に来て「大声で歌ってみよう!」と。今までは失敗を恐れて一歩勇気を出せずにいたんですけれども、そのシーンを録るとき、思い切って歌ってみて。そしたら監督が笑ってくださったんですよね。その声が入って録りなおしになったんです(笑)。でもそれがすっごく嬉しくて、もっと喜ばせたい!って思いました。それと、失敗を恐れずにやりきることの大切さを学びました。自分の中で殻を破った瞬間だったように思います。
木戸:僕は小さいころから、あまり自分の声が好きではなかったんです。よくある自分の電話の声が嫌い、みたいなことですけど。でもこのお仕事を始めてから少しずつ自信を持てるようになった中で、今回声だけで表現をするお仕事に出会えたこと、しかもオーディションで選んでいただけたということは、今までの積み重ねの何倍もの嬉しさがありました。今回の経験が、役者としての自信を深めてくれました。
ーー最後に、映画を観る方に受け取ってほしいメッセージを教えてください。
髙石:きみたちと同じ年代の方も、悩んでいることやキャラクターたちの感じていることに共感できる作品です。また、私たちより年上の方々からも「涙を流した」「感動した」というお声をたくさんいただいています。老若男女問わず、皆さんに観ていただきたい作品です。
鈴川:同年代の方には思春期特有の悩みなどに共感していただけると思いますし、それ以外の年代の方々にも、懐かしい気持ちで観ていただけるんじゃないかなって。何か大きな事件が起こるわけではないですが、3人の日常が真っ直ぐ、優しく描かれています。心が浄化されて背中を押してくれる作品です。
木戸:このインタビューを読んでくださっている方たちが想像している色や音楽を遥かに超えてくる、そんな美しさがこの映画にはあります。ぜひ大きなスクリーンで観ていただけたら嬉しいです。
[インタビュー/逆井マリ 撮影/胃の上心臓]
『きみの色』作品情報
2024年8月30日(金)全国公開
あらすじ
高校生のトツ子は、人が「色」で見える。
嬉しい色、楽しい色、穏やかな色。そして、自分の好きな色。
そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、
街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。
学校に行かなくなってしまったことを、家族に打ち明けられていないきみ。
母親に医者になることを期待され、隠れて音楽活動をしているルイ。
トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。
バンドの練習場所は離島の古教会。
音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。
周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり―
やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。
会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。
2024年夏、好きになる。
キャスト
(C)2024「きみの色」製作委員会